一五〇.春まき小麦の刈り取られた後を
春まき小麦の刈り取られた後を、籠を抱えた子供たちが歩いて行く。刈り取る時にこぼれた落穂を拾い集める仕事だ。
とにかく刈っては集める麦刈りは、畑の面積が広い分丁寧にやっている時間がない。刈る時、束ねる時、運ぶ時に容赦なく穂がこぼれ落ちる。それらを集めるだけでかなりの量になるのだ。
刈り取った麦は棒で叩いて実を落とし、それらを広げて乾燥させる。鳥が狙って来るのを追っ払うのも、子供たちの仕事である。
そうやっているうちに秋はさらに深まり、早くまかれた秋まき小麦の畑には小さな青い芽が見え始め、段々と秋祭りが近くなる。
そんな頃に、秋祭りを目指して行商人たちがぱらぱらと現れる。
トルネラの農産物や工芸品は質が高いと評判だ。秋口には、初夏に刈り取られた羊毛で編まれた布が出来上がり始める。冬の防寒具として以外に、それらは行商人たちに売れる。布に限らず、紡いだ糸も同様だ。
そうして、売った分買う。
行商人たちの露店には食料品はもちろん、冬の間の娯楽としての本や、チェッカーなどの遊戯盤、ブリキや木で出来たおもちゃもある。そんな風に冬越えの準備はより勢いを増し、トルネラは活気づいて毎日が賑やかだ。
そんなわけで、今日も広場には行商人が品を広げ、仕事の合間に村人たちが覗きに来ている。
玉葱を植え終えたベルグリフも、子供たちを連れてやって来ていた。
ブリキのおもちゃを手に取って、双子がきゃっきゃとはしゃいでいる。龍を模した人形だ。安い造りだが、そんな事は関係ないらしい。二人して掲げ持つようにして、ミトに見せている。
「ミトにい、ドラゴン」
「とげとげでカッコいいよ」
ミトはしかつめらしい顔をして頷いた。
「ドラゴンは強い」
「強い?」
「じいじとどっちが強い?」
「それはじいじ」
「じゃあ、アンジェとどっちが強い?」
「それはお姉さん」
「あれー、ドラゴン強くない……」
「ねー」
「……うん」
三人は何となく片付かない顔をしている。それでも人形の造形は好きなようで、手放す様子はなさそうだ。面白そうな顔をして見ていた店主が、ベルグリフの方に顔をやった。
「どうだね」
「うん、もらおうかな。あとこっちの本も」
「毎度どうも」
双子やミトの欲しがるものを買い、シャルロッテとビャクに本を買い、他のものも物色していると、隣の露店で、サティが紙に包まれたチーズの塊を持ってベルグリフを見た。
「ベル君ベル君、この乾燥チーズも買っていい?」
「ああ、いいよ」
「ベル、オイラこの蒸留酒欲しいんだけど」とカシムが瓶を掲げ持った。
「いいよ」
「ベル、この燻製肉」とパーシヴァルがベーコンの塊を見せた。
「いいよ……いや、なんでいちいち俺に聞くんだ?」
「そりゃ、パーティの財布の管理はお前の仕事だからな」
「ああ、そうか……そうか?」
まだ存続していたんだっけ? とベルグリフは首を傾げた。そもそもカシムもパーシヴァルも自分の財布を持っている筈ではないか。
まあいいかとベルグリフが財布の中身を検めていると、また馬車が一台広場に入って来た。「おーい、ベルグリフさーん」という声がした。
見ると、御者台にすっかり馴染みになった青髪の女商人が座っていて、ぶんぶんと手を振っていた。
商人は馬車を停めるとひょいと飛び降りて、足早に駆けて来た。
「どうも、お久しぶりです。お元気そうで」
「ご無沙汰しております。いつも御足労いただいて」
「いえいえ、わたしもトルネラ好きですし、お互いさまですよ」
商人はにこにこ笑ってぺこりと頭を下げた。そう言ってもらえると嬉しいな、とベルグリフも笑って顎鬚を撫でる。
「そういえば、娘と――アンジェリンとは会っていませんか?」
「アンジェリンさんですか? いやあ、ここのところご無沙汰で。あたし、しばらく西のエルブレン周りをうろうろしてましたから……あ、でも活躍の噂はちょくちょく聞きましたよ」
「そうですか……や、あの子も秋祭りに帰ると言っていましたから、もしかしたらご一緒だったかな、と思いまして」
「うーん、あたしのタイミングには合わなかったですけど……でもアンジェリンさんがそう言うなら、多分きっと帰って来るんだと思います」
青髪の女商人も、幾度もアンジェリンを乗せて行った経験から、彼女の人となりをよく分かっているようだ。パーシヴァルが笑う。
「あいつくらい分かりやすい奴も中々いないからな」
「まー、久々に長く会ってないわけだしね。ベルの方も寂しいんじゃないの?」
カシムもにやにやしながら言った。サティが頷いた。
「そうそう。だってベル君たら、夏の終わりくらいから何となくそわそわしてるんだもの。無事に便りなしなんて言っといてそれだから、寂しいんだねえ」
仲間たちは容赦がない。ベルグリフはバツが悪そうに頬を掻いた。
いずれにせよ、アンジェリンが元気にやっているのは確かなようだ。行商人たちの話を聞けば、オルフェン周辺で何か起こっているようでもないし、恐らく予定通りに秋祭り前に帰って来る筈だ。
いつまでも親馬鹿が抜けないな、とベルグリフは苦笑いを浮かべた。『大地のヘソ』でも帝都でも、自分以上に強く頼もしい姿を見ておきながら、ついつい心配になってしまうのは困ったものだ。
チーズやベーコンを籠に入れて、サティが考えるように目を閉じた。
「んー……ベル君、夕飯どうしようか。食べたいものとかある?」
「いや、任せるよ。ただ、干し野菜の古いやつは使ってしまった方がいいと思うけど」
「なるほど、そうだね。昼で煮込みは食べきっちゃったから、新しく作らないと駄目だなあ……」
「……パン生地はこねてあるが」
とビャクが言った。サティはハッとしたように目を開いた。
「そうだ、わたしが頼んだんだっけ……」
「何かしながらな」
「むー、片手間に言うと忘れちゃうな。反省反省……じゃ具入りパンにしようか。干し野菜とベーコン、あとチーズ入れて……」
「お母さま、わたしもお手伝いするわ!」
シャルロッテがそう言ってサティの手を握る。
「あはは、ありがと。よし、先に戻ろうかな。洗濯物も干してあるし……子供たちおいでー」
それでサティは子供たちを連れて先に帰って行った。
ベルグリフたちオヤジ組は残って、細々したものを買ったり売ったりしているうちに時間が経って、段々と影が長くなって来た。しかし午後も仕事をしていた連中が、今になってやって来たりするから、相変わらず賑やかだ。
買い物を一段落させたあと、ベルグリフたちは村人と旅人が行き交うのを眺めていた。
買ったばかりの蒸留酒をもう飲んでいるカシムが、上機嫌で言った。
「もう秋か。早いもんだなあ、時間が経つのは」
「そうだな。で、ベル。ダンジョンの場所は大体決まったって事でいいのか?」
「ああ。あの魔導球を上手く使って、少しずつダンジョンを形成するような具合になるらしい。一度君たちが魔力を魔獣化して消費したから、そう凄まじい勢いで変化はしないだろうって」
「成る程な。ま、どのみち冬の間はそう人も流れねえだろうから、丁度いいかも知れねえな」
パーシヴァルは頷いて、カシムからひったくった蒸留酒の瓶を傾けた。
確かに、街道が整備されてきたとはいえ、そうそうすぐに人の行き来が始まるわけではないだろう。それにダンジョン自体もギルドも手探り状態だ。あまり最初からどたどたされては、ベルグリフの手に余る。そういう点では非常にありがたかった。
いずれにせよ、長く準備して来た事が本格的に動き出す。
トルネラで畑を耕し、山や森の恵みを享受するだけだと思われていた人生が、突然こんな事になってしまうとは、ベルグリフはまったく想像していなかった。
「……できるかなあ」
呟いた。
ベルグリフはこれまでの戦いや旅路で、思っていた以上に自分には力があるのだという事を自覚するに至った。だがそれでも、長い年月の間に染みついた自己評価の低さはそうそう覆らない。満腔の自信を持って何かをやろうという気概には未だに欠けていた。一々立ち止まってあれこれ確認しなくては気が済まないのである。
尤も、その慎重さと注意深さが、周囲から評価される要因の一つである事もまた事実なのだが。
「パーシーは……どうするんだい?」
「どうするって」
「そのうち旅に出るとは聞いているが……いつになるのかなと思って」
「さあな。ここが落ち着いたらそうするさ。それは自分で決める」
「そうか……カシムも?」
「どうすっかなー。ま、オイラたちの役目はダンジョンが暴走しないかってのと、外から来る冒険者どもの抑えみたいなもんでしょ? そこが上手く回り始めれば、別にする事ないし、元気な連中の仕事取っちゃうからね」
「お前は女がいるんだろうが。長く待たせるもんじゃねえぞ」
「いや、そうなんだけどさ……そうなんだけどさあ」
ぐたーっと体を曲げるカシムを見て、パーシヴァルが眉をひそめた。
「なんだ、もう酔ってんのか?」
「ちげーよ、馬鹿。どっちも大事だからもどかしいんだよ、分かれよ、無神経」
カシムはそう言ってパーシヴァルの肩をばしばし叩いた。
「んだよ、面倒臭せえ奴だな。テメーはそんなに繊細じゃねえだろうが」
「うるせー、実は繊細なんだよ」
二人は互いに睨み合って小突き合った。ベルグリフはくつくつと笑った。
賑やかだ。あの時よりも遥かに年を取っているのに、同じような心地よさがある。もちろんまったく同じとは言えないが、それでもいい。むしろ同じわけがないのだ。ここに娘たちが帰って来れば、また毎日が騒がしくなるだろう。
西の山に太陽がかかって、広場まで影がかぶさって来た。ぼつぼつ帰って夜の仕事の支度でもしようか、とベルグリフは立ち上がった。
○
数日の旅のうちに、暗澹とした気持ちは次第に晴れて行った。立ち寄った町や村でうまい料理に舌鼓を打ち、蒸し風呂なぞにも入って、思い出話に花を咲かした。
落ち込み続けるというのも中々難しいもので、楽しい出来事があると、気持ちは段々と上塗りされて行く。もちろん完全に忘れたわけではないが、それでもオルフェンを出立した時よりも遥かに明るい気持ちで、アンジェリンは故郷へと歩を進めた。
そんな風にしているうちにボルドーへと辿り着き、ボルドーを発った。ここまで来ればあと少しだ。
尤も、乗合馬車はボルドーまでだった。そこからどう行こうか、というのがアンジェリンたちの目下の考え事で、おそらく秋祭りを目指して行く行商人や隊商があるだろうから、それの護衛という態で乗せて行ってもらおうと考えていた。
それが、今は目の前でヘルベチカがにこにこしている。
「ふふ、こんなに頼もしい護衛が一緒ならば、何の心配も要らないわね?」
「そだね……」
アンジェリンはくすくす笑った。
ボルドーに着いたアンジェリンたちは、当然ボルドー家に顔を出した。もうすっかり馴染みであるし、挨拶くらいはしておこうという理由である。
しかしそれだけの筈が、トルネラの秋祭りに絶対に行くと息巻いていたヘルベチカが、難色を示すアシュクロフトを強引に説き伏せて、たちまち馬車隊を編成するや、アンジェリンたちも乗っけてトルネラへと旅立ったのである。
マルグリットが頭の後ろで手を組みながら笑う。
「『これ以上なく安心な護衛がいる時に行かないで、後で行く時にわたしが襲われたらどうするのですか!』ってな。いやあ、傑作だったぜ」
「まー、ヘルベチカさんならこっそり抜け出して行きそうだしねー。アシュクロフトさんもそっちの方が怖いから許してくれたんじゃない?」
「それはあるかもな……でもサーシャも一緒なんだし、安全な事に変わりはなさそうだけど」
とアネッサが言った。ヘルベチカの隣に座っていたサーシャはぶんぶんと首を横に振る。
「何をおっしゃるのですか、アーネ殿! 皆さんとわたし一人を比べるなどおこがましい!」
サーシャまで一緒だった。ヘルベチカは最初、護衛としてサーシャを連れて行く予定だったようだ。
だからアンジェリンたちがいるという事になっては、サーシャは別にいなくてもいいのだが、自分も行くものと信じて疑わぬサーシャを前に、そんな事を言える筈もない。結局一緒に来る事になり、アシュクロフトは頭を抱えていた。
砂糖菓子の箱を取り出しながら、アネッサが言った。
「しかし、トルネラでボルドー姉妹勢揃いか。何気に初めてなんじゃないか?」
「そういえばそうですね」
サーシャが頷いた。今まで個別に、あるいは二人でという事はあったけれど、三人揃って、というのは初めてだ。
今年の秋祭りは今まで以上に賑やかだぞ、とアンジェリンは何だか嬉しくなった。
砂糖菓子をつまみながら、ヘルベチカが嬉しそうに言う。
「そういえば、春は同じような面子でトルネラから戻ったんだったわね。ついこの前の事のような気がするのに、もうそんなに時間が経っちゃったのね」
「あー、そうだったねー。サーシャじゃなくてセレンがいて」
「春告祭の後だったよな。ヘルベチカが盛大に振られてさー」
「もう、マリー! 蒸し返さないで頂戴!」
マルグリットの言葉に、ヘルベチカは頬を膨らました。アンジェリンたちはけらけら笑う。サーシャが顎に手をやってふむふむと頷いた。
「サティ殿は師匠の昔馴染みだといいますし、美人で優しくて腕も立つお方ですから、姉上は最初から相手にされていなかった、という感じでしょうか!」
「ちょ、ちょっとサーシャ! 確かにそうだけれど、もう少しオブラートに包みなさい!」
「え!? あ、すみません姉上!」
サーシャはぺこぺこと頭を下げた。悪気なく素で言っている分性質が悪そうだ。ヘルベチカはくたびれたように額に手をやって嘆息した。
「アッシュがいるのはともかく、本領にいるのがこの子だけというのは中々……経験を積ませるためとはいえ、セレンをトルネラにやっちゃったのは失敗だったかしら」
「大変ですね」
アネッサが妙に共感したようにヘルベチカを慰めた。
今日はロディナまで行ける筈だ。領主の馬車は安物の荷車とは違って車輪も軸もしっかりしている。ロディナまでの街道もすっかり整備されて走りやすくなっており、かなりスムーズに進んでいる。
後ろの馬車から六弦の音が聞こえて来る。ルシールが何か旅の歌を歌っているらしい。
もうじきだ、とアンジェリンは思った。
色々あったが、何とか無事に帰れそうだ。帰ったらまずシュバイツを倒した事を報告しなくてはならない。その際に、イシュメールがシュバイツだったというあまり嬉しくないニュースも一緒に伝えなくてはいけないのが暗い気持ちになるが、それは止むを得ない。もちろん悲しくはあるけれど、今となっては気持ちも落ち着いている。取り乱す事はないだろう。
ヘルベチカ、サーシャと合流して、より賑やかさを増してからは、尚更暗い気分が塗り潰された。
今はもうすっかり元気で、トルネラへの郷愁の念すら心地よい。少しずつ近づいているのが分かるから、胸が高鳴るのに任せておけばいいのだ。
アンジェリンは馬車の椅子の背にもたれた。皮張りで、クッションまであって、座り心地がとてもいい。座りっぱなしでも尻が痛くもならないし、意識して体を動かす必要もない。車輪が地面を踏んで行く律動も心地よく、眠気を誘うかと思われるくらいだ。
窓の外を眺めながら、ヘルベチカが口を開いた。
「初めてトルネラに行った時が秋祭りで……参加させてもらってとっても楽しかったわ。あちこち巡察に行っていたのに、今まで行かなかったのが信じられないくらい」
「わたしは秋祭りは初めてです! どのようなものなのか、今から楽しみで!」
サーシャは興奮気味に腕をぶんぶん振って言った。アンジェリンはくすくす笑う。
「別に特別なものじゃないよ? 皆で歌って踊っておいしいもの食べて……」
「最高ではありませんか!」
「そういえば、わたしたちも秋祭りは初めてですにゃー。春告祭は何度も参加してるのにねー」
「そうだな。このタイミングで帰ろうって時はいつも邪魔が入ったから……」
「でも今度は大丈夫……ふふ、帰ったら早速岩コケモモを採りに行くぞ……」
アンジェリンはそう言ってほくそ笑んだ。摘みながらつまみ食いする岩コケモモが何よりもおいしいのである。もう何年も口にしていないのに、思い出すと口の中に唾液が溢れて来た。あの甘酸っぱさは他の果物にはない。
ミリアムがふむふむと頷いた。
「アンジェ、ずーっと言ってるもんね。これは期待が高まりますにゃー」
「岩コケモモか……ジャムとか干したのは食べた事あるけど、生はないなあ」
「おいしいですよ! わたしもご馳走になりました!」
サーシャが言うと、アンジェリンは口を尖らしてサーシャの頬をつまんだ。
「ずるいぞ……おしおきだ」
「ふぇ……」
頬をむにむにとつねられて、サーシャは目を白黒させた。マルグリットがからから笑う。
「もうちょいの辛抱だろうが、頑張れよ」
「……頑張る」
そんな筈はないのに、口の中に唾液が溜まっていた。ごくりと飲み下して、唇を手の甲で拭う。
「アーネ、薄荷水頂戴……」
「ん」
アネッサは荷物を引き寄せてごそごそと漁っている。
アンジェリンはまた窓の外を見た。風景がゆるゆると後ろへ流れて行く。もう随分日が傾いているが、まだまだ空は青く、刷毛で薄く塗ったような雲がそこここに浮かんでいる。日暮れが近づいている分、空は輝くようだ。
薄荷水を飲みながらぼんやりしていると、馬に乗った護衛の兵士が窓の外に現れた。
「失礼いたします。もうじきロディナに着くようですが」
「そう、ご苦労様。先に行って宿の手配をお願いできる?」
「はっ!」
ヘルベチカに敬礼して、兵士は馬を駆って行った。
「……もう少し」
ロディナを出れば半日でトルネラだ。
赤や黄に染まった森の木々に、青く高い空。そこに溶けて行く家々の煙。暖炉でちろちろと揺れる火を前に、温かい飲み物を手に持って夜更かしする。布一枚隔てた麦藁のごつごつした感触もありありと思い出せる。
そんな事を想像すると、まだ早いと思っているのに、口元には笑みが浮かんでしまう。
アンジェリンは目を閉じた。瞼の裏にトルネラの景色が浮かび、それからベルグリフの顔が浮かんだ。
「あと少し……」