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デスルーラーII ソウルメイト  作者: kiriko


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決着

リュクサの変化は、口調や態度に止まらなかった。

体の周りに光を纏い、粒子の流れに髪をなびかせ、ただそこに立っている、否、君臨している。


「貴様はあの時、俺の魔力だから利用したのか?」

「そんなわけあるかよ!?」

「ならば、誰の魔力であっても、使えれば利用したと?尚悪いな」

「お前、ほんとに何者なんだよ!?」


シノブの声は、もう悲鳴に近かった。

人を刺したのに、そのことを責められず、なぜマリの件ばかり口にするのかがわからない。

ノエルのことを、大切だとは思わないのだろうか。


「大切かどうかなど、貴様の知ったことではない」

「っ!?お前、僕の心まで…!?」

「隠したければ、去れ。今なら見逃そう」


一体これはどういうことなんだと、シノブは脳内の記憶に手を伸ばすが、届かない。

リュクサの記憶にたどり着く前に、マリの笑顔ばかりが蘇って、涙が溢れてくる。

だから結局、何も言えなくなった。

ただ嗚咽を堪え、しゃくり上げるだけの存在になり果ててしまった。

リュクサはそんなシノブを一瞥した後、彼を静かに床の上に下ろした。


「教えろよ、デスルーラー?マリの魂は、ちゃんと天国へ…」


聞こうとしたけれど、やめた。

リュクサの視線が相変わらず鋭く、口を開けば今度は何を言われるかわかったものではない。

シノブは汚れてしまった服を叩きつつ、リュクサを指差した。


「いつか見てろよ!俺はお前の上に立つ!必ずだ!」

「どうやって?」

「それはこれから考える!俺の幸せはな、お前の死とともにある!覚えとけ!」


それきりシノブは去って行った。

彼の去り行く姿を見送ると、リュクサは床に膝をついたままのノエルを気遣った。


「ノエル、大丈夫か?」

「ええ、もう魔力で塞ぎましたから」


ノエルは自身も特級魔術師になったことで、自身の傷を自分で癒せるようになった。

厳密に言えば魔術師協会に所属していないので、「自称特級」なわけだが、この際細かいことはいいだろう。

ノエルもリュクサも禁術に足を踏み入れた時点で、天国には行けない魂なのだから。


「ノエル」

「はい?」

「俺は決めた」

「何をでしょう?」


リュクサは光の粒子を帯びたままの状態で、ノエルを真っすぐに見据える。


「もう、守られてばかりの弱い俺を封印しようと決めた」

「では、守る側になると?」

「当然だ。俺の大事な専属医を傷つけさせるわけにはいかない」


ノエルはようやく立ち上がり、光に包まれるリュクサを優しく抱きしめた。

すると瞬く間に光はリュクサの体内に吸収されていく。


「どうしたんだ、ノエル?」

「少し驚いているのです。あなたの中での私が、これほどにも大きい存在だとは、正直思いませんでした」

「あなたは、恩人で、専属医…そして、ソウルメイトだ」


ソウルメイトという新しい立ち位置までもらえて、ノエルとしても嬉しい限りだ。


「あなたは元々そういう性格なのですよ、リュクサ。今までつらかったですね…魔力も、本当のあなたも隠しながら生きてきて…」


もしかしたら、少し傲慢なところは父に似ているのかもしれず、ノエルの前で本性を出せばそこを指摘されるのではと思っていた。

だが、彼はそうしなかった。

ありのままのリュクサを受け入れ、「そのままでいい」と言ってくれている。

こんな存在を、「ソウルメイト」以外のどんな言葉で表現したらいいのか、誰かに教えてほしいくらいだ。


ノエルの傍にいたいというので、リュクサを自室に連れて来たノエル。

しかし、いざ連れて来てみると、リュクサはベッドの真ん中に陣取って寝息を立てていた。

こうしてみると、まだ少し子供のような面差しが残っているなと思える。


「あなたは私をソウルメイトだと言いましたが、私にとってのあなたも同じですよ、リュクサ」


そう呟いてソファの上で眠ろうと移動しかけた時、唐突に手首を掴まれた。


「もう一度言ってくれ、ノエル」

「聞いていたのですか?てっきり寝ているものかと…」

「いいから、言ってくれ。嫌な夜だと思っていたが、今少し感動している」


やれやれと、ノエルは苦笑した。

本来のリュクサになっても、泣き虫なところは変わらないようだ。


「あなたは私の大切な存在だと言ったのです」

「ありがとう、ノエル。俺に友達ができたのは、初めてだ」


その言葉は、シノブが持っていた短剣よりも深く、ノエルの心を刺し貫いた。




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