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アクスルは、薄暗い部屋のなかで、ある集団に取り囲まれていた。
王都のある会員制のサロン。
室内は分厚いカーテンがしっかりと閉じられて、光を拒んだ部屋のいたるところには、煌々としたロウソクの灯り。
数多の炎にゆらゆらと照らされるのは、それぞれフードや帽子を目深にかぶり、仮面や覆面で人相を隠した怪しげな者たち。
十名ほどはいるだろうか。
その仰々しい、威圧的な者らを前に……アクスルはなぜか床の上でうなだれている。
彼の銀色の髪は、闇の中でロウソクの光を受け、鈍い金色に輝いている。正座で身を縮める姿は、懺悔しているかのようだった。
彼もまわりの者たち同様、黒いフード付きのローブで人相を隠しているようだが、彼らの間に流れる空気は、とても仲間というふうではない。
アクスルを冷たく見下ろす集団には燃えるような敵意がある。いくつもの仮面の下からそそがれる、罪人を見るような視線に、アクスルは苦悶の表情。
……アクスルを含め、見るからに怪しい集団であった。
と、その中で、黒フードに黒い仮面をつけた白髪の男がおごそかに口火を切る。
「十一番よ……貴様のせいで……」
怒りの滲む声を聞いて。アクスルは、事前に用意していたらしい紙を彼らに掲げて見せる。
『申し訳ありません。本当に』
そこに書かれた文字だけを読むと、なんだか淡々としているようにも思えるが、紙を両手で握りしめるアクスルの顔には生気がない。
信じられないことに、アクスルは、王城では見せたこともないような低姿勢。恐縮しきりという額には、いくつもの汗の粒。
しかし、絨毯のうえで苦悩する彼に、周りの者たちは厳しい。
「貴様のせいで……! 我らが黒女神様の世間での評判が下がってしまった!」
「どう償うつもりだ十一番! エルフリーデ様が街で肩身の狭い思いをなさっていたら……、……考えるだけでおいたわしい……! っいったいどうしてくれる!」
憤慨する者がいたり、泣き出す者がいたり。仮面らの者たちは、アクスルに詰め寄り怒気も露わ。責め立てられた男は悲壮な表情。
『おっしゃるとおりです』
彼はつらそうに二枚目の紙をヨロヨロと持ち上げる。
どうやらこの男、ここで追及されそうなことを、事前にある程度予想して、返事や謝罪の紙を用意していたらしい。
その周到さと、この、なんだか少し情けない衰弱ぶりがいささか不釣り合いで、場の雰囲気も相まってか、とても気味が悪い……。
さて、もうお分かりだろうか。
アクスル含め、この非常に怪しい集団は、件の《黒女神崇拝会》の者たちである。
つまり、彼らはアクスルの同類という名の推し活仲間。全員が、エルフリーデの崇拝者。
ちなみに、十一番とは、アクスルの会員番号である。




