第7話社会人を舐めてはいけない。代わりに飴にしとこ?
だいぶ期間空いてしまってすみません。
トモコレが楽しくてさ。
「続いてのニュースです。最近虚楽制圧部の隊員を語り、金銭を騙しとる詐欺が多発しています。」
そんなテレビの声を聴きながら、あたしたちふたりは、目の前の通帳に頭を抱えていた。早くも、てっぺん組解散の危機。
「え?なにこれ?この小説のPVより少ないよ?主人公交代に留まらず、タイトル変更の可能性も出てきたよこれ?まだ給料日まで一週間あるぜ?」
「こ、ここからが本番よ!こんなこと何度もあったし。マイナスじゃないだけまだマシだわ。」
「こんなこと何度もあってたまるか!」
「ま!ここから一週間生き抜く為の特別任務用意してるから!いまからレッツラゴー!」
第八課支部のある街、志都呂町ーー。
商店街が入り乱れる、活気ある街だ。
「ねえ、聞いた?今朝ここを誠刃隊が通ったんだって!!」
「え!?私も見たかったわ〜!帰りもここ通るかしら……?」
町娘たちの女子トークを他所に、あたしたちは古い民家にたどり着く。
駄菓子屋「瑚白」ーー
特別任務「短期アルバイト」でお世話になるところ。
「お空、これで何回目じゃ。いい加減、兄貴たちにヘルプミーしたらどうじゃ?」
「それは勘弁してよ、こーちゃん。」
「おい、空。この爺さん、ほんとにここの店主か?ヤクザの親父じゃなくて?」
サングラスにパリッとしたスーツ。真っ直ぐ伸びた背中。確かに見た目は、そちらの方だけど。
「おい小僧、見かけん顔だな。いいもんやろう。なに、挨拶がわりだ。」
差し出されたのは、タツノオトシゴの飴細工。店主こーちゃんこと、瑚白草馬は、このギャップ萌で生活してると言っても過言では無い。
茨は目を輝かせて受け取ろうとする。
「いいんですか!ありがとうございm……」
「見つけたぁぁぁ!!!!!!」
突然背後から声が聞こえ、少女が斬りかかってきた!
即座に刀を抜き受け止める。
背の低い、耳の先が尖ったエルフ族の娘だった。隊服を着ている。
「一体何事じゃ!?突然過ぎて読者もついて来れんわい!!」
「いや俺達もついていけてないから!それよりこーちゃんは危ないから下がってなっ」
茨は咄嗟にこーちゃんを庇う。
「安心してっご老人!この詐欺グループは私が成敗するからっ!ココ最近、世間を騒がしてる偽隊員による詐欺、あなたたちの事でしょ!?」
娘はそう言うと、至近距離で弓を構える。どうやら、飴を騙し取ろうとしていると勘違いしたらしい。
「はいはい、落ち着いて〜!そんな物騒な物も、こんな路上で晒すもんじゃないわ。あたしたちは第八課。ここに短期アルバイトに来てるのよ」
「飴も、ワシがそこの小僧に挨拶がわりにくれてやったもんじゃ。」
隊員証を見せつける。
この子、格好を見る限り、青年部ってところか。でも、青年部は学生の組織なのに、そんな犯罪者捕まえるような危なっかしい事するのかしら。確かに集金活動は隊則で禁止されてるけども。
「ほ、本物……。なんだ……今度こそ捕まえられると思ったのに。正隊員への道がぁ……」
「誤解が解けたようで何よりだ。飴も無傷だし。」
茨、相当気に入ったのね飴。
「とんだ迷惑掛けちゃってごめんなさい。私は青年部1年生、琴吹 照っていいます。詐欺グループ捕まえたら正隊員になれるって聞いて……」
ん?
「ところで、お爺さん。今、その犯罪者捕まえるための協力金を募ってるんだけど、力貸してくれませんか?」
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・
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・。
「「いやアンタが詐欺師!!!!!!!」」
危ない、自然な流れすぎてそのまま流されるとこだった。
「え?私はただ、犯罪集団捕まえる部署に勧誘されて、その入隊条件が色んなお店に行って協力金集めることで……」
「そんな新興宗教みたいなことしてないわ制圧部。」
照と名乗るエルフ娘は顔を怖ばらせる。
お粗末な課金で隊員になれるほど、この世は甘くない。この子はそんな単純な詐欺に引っかかるくらい、正隊員になりたかったのか……それともただの馬鹿なのか……
「そうか……犯人は身近にいたんだ!!教えてくれてありがとう!今から騙したヤツら詰めてくるっ」
どうやらどちらも正解のようだ。
茨が慌てて止めにかかる。
「待ってくれ、お前さんまだ青年部だろう?そんな危険なこと…」
そう言いかけて腕を掴もうとした瞬間、
一瞬で茨のタツノオトシゴに弓の先を突きつける。
「そのタツノオトシゴの首落とされたくなきゃ止めないで。私は犯人とっ捕まえて、早く正隊員にならなきゃいけないの。早く認められないといけないの。私はちゃんと、戦えるっ」
照の淡々とした口調、殺気立った目。幼く見える見た目からは想像できないようないような、底知れない決意。
浅はかで、我儘で、無謀な勇気。
「私だけが奴らのアジトを知ってる。私一人で手柄立ててやるんだから!手助けは無用。」
照はあたしたちにそう叫んだ後、すぐに走り去ってしまった。
「……良いわ。今に見てなさい。社会人の本気の課金ってやつをね。」




