第6話 落とし物はなんですか♪見つけにくいものですか♪
「ほんと〜に、てっぺん組に異動で良かったの?第一課誠刃隊への推薦もあったって聞いたのに。」
俺はあの後、てっぺん組に異動願を出した。
「ここは他の部隊と違って、何もかも自給自足でギリギリ、給料は少ない、部署内の評判は悪い……うぅ、泣きたい……」
「逆に聞くけど……なんでそんなに冷遇されてるんだこの部隊は…部隊っていうか、俺が来るまで一人だったわけだし。……正直八課がまだあるなんて思ってなかった。」
今日から正式にこの支部に移り住むことになったから、空が一緒に荷解きを手伝ってくれている。
と言っても、俺はしばらく強制休養だけど。
「あー、知ってたのね。そうそう、天壊事件で部署丸ごと空っぽになってたから、そこに私が新たに組織作ったってわけ。あの有名な天変突破隊の後続だったから、余計に警戒されちゃってて。……まあ、根本的な理由は私にあるんだけど。」
天変突破隊壊滅事件ーー。
通称、天壊事件。
虚楽制圧部の過去で、最もタブー視される事件。
「空は……黒川玄斎のこと、何か知ってんのかい……?」
「元第八課天変突破隊の隊長?うーん、その人が裏切ったから部隊がひとつ壊滅したーってやつ?事件自体、あたしがまだ子供だった時だしね」
「……そっか。」
ずっと聞きたかったことなのに、期待してた答えを貰えなかった。
唯一の生きる意味になるはずだったのに。
俺は、何をすればいいんだろうか。
なんのために生きればいいんだろうか。
仲間を守れなかった俺は……。
ずっとそんな事を考えていた。
ーー夜。
あの時の夢を見て、目が覚める。
冷や汗が滴り落ちる。
一度目が覚めるとずっと眠れなくて、睡眠不足の日々が続いている。
ガサガサ……。
物音がしたので部屋の外に出てみると、空が隊服を着て、外に出かける準備をしていた。
「ん?……眠れない?」
子供に戻ったみたいに、コクリと頷く。
「じゃあ、今からちょっくら虚楽に行ってくるんだけど、一緒にどう?」
「そんなコンビニに行くようなノリで行くもんなのか虚楽って……それに今俺一応休養中なんだけど。」
空はニヤッと何か企んでるように笑う。怖いんですけど。
「まあまあ、私がいる限り、死なせないから安心してちょーだい!……それに今晩は零徒を狩り行くわけじゃないのよ。」
「……?じゃあ一体何しに……?」
「落し物を探しに行くの。」
すれ違う零徒は空が瞬殺してってくれる。
この道なり……見覚えがある。
もしかして……
「よし、到着!!」
空に導かれるまま、着いたその場所は……
烈日隊の仲間が次々に零徒化していった場所。
隊長を迎えに行った場所だった。
「茨の心に本当は良くないかもって考えてたけど……やっぱり寂しいじゃない?何もないっていうのは。だからせめて、一緒に仲間たちの遺してった物、探せたらなーと思って。あの時、ここの空間はねじ曲がって、座標が歪んだから探すのに苦労したわ。」
「なんで……そこまでしてくれるんだ。俺は何もっ……何もまもれなかったのにっ……」
息苦しくて、呼吸が乱れる。
空が背中をさすって座らせてくれる。
なんだかずっと子供みたいで情けない。
「ちゃんと守ってるじゃない?仲間達が遺してくれた命を。落し物の中で1番輝いててまぶしいったらありゃしない。おかげで、全く関係ないあたしが見つけて拾っちゃったわ。茨、あんたをね。」
「でも……あの時……」
そう……俺はたしかに、空が駆けつけてくれる直前は……
「死ぬ気だった、でしょ?全く、許さないわ!ちょっーと遅れてたら危なかったんだから!!
…………なーんてね!そんなこと言わないわ。あんたを拾ったのはあたしの勝手だしね。」
空は隣に座って夜空を仰ぎ見る。
「ひとりだけ残されて、置いてけぼり食らうなんて……そんなのまっぴらごめんよね、
だからこそ、一緒に進もう」
星に向かって手を伸ばす。
「天辺にいるあの人達を、追い抜いて、振り向いて、ドヤ顔する。
……背筋伸ばして、お天道様に胸張って、己の道をまっすぐ生きる。
これが、我らがてっぺん組のルール。たった一条だけ。覚えやすいでしょ?」
「……たくさん作ると覚えられないから一条にしたんだろう?」
ふっと笑う。笑ったのは、いつぶりだろうか。空は安心したようにニコリと笑う。
「それもそうだけど、あたしなんてこの一条のおかげでこの世界に生きてる〜みたいなとこあるから。
……逆に、それだけで生きていけるのよ。」
その時の瞳は、どこか遠い場所を見ているような、そんな気がした。
「あのさ、昼間、黒川玄斎のこと聞いただろ?」
一息つく。人に言うのは初めてだ。
「黒川玄斎は、俺の師匠なんだ。天壊事件で行方不明になって、ずっと探してる。虚楽制圧部に入隊したのも、師匠を探すためで……」
「なるほど、なんかピンポイントで聞いてきたなーと思ったら。じゃあ、今晩は仲間の落し物と一緒に、お師匠様も探しますか!」
空は勢いよく立ち上がって、辺りをガサガサし始めた。
ーーこの人となら、前に進むのも悪くないかもしれない。
「空!落し物拾ってくれた礼に、この前言ってた、主人公の座?ってやつ、返す!カバンの中いっぱいだから!」
「本当に!?やったーー!!これでやっと次回からあたしのターンきたーー!!」
「ん?!?なんか臭うな……っておいこれお前が路上ゲロライブした時のアレだろ!?」
「ちょっ!あんたはデリカシーどっかに落としてきたんじゃないの!?そっち優先で探しなさい!今すぐっ!」
…………
『どうやら主人公チェンジは失敗に終わったみたいだ。結構良い流れだと思ったのになあ。まあいいや、また別の方法を探そっと。
あ、そういえば、あの方法やってなかったw忘れてた。
人生ってさ、そんな都合よくいかないもんだよ。
ーー次はちゃんとやるからさ』
天の声草生やすなw




