第2話 こんな約束二度とするもんか
ーー零徒。
今俺たちが相手をしている化け物。
零徒の発生源である虚楽空間の拡大報告を受け、虚楽制圧部第4課烈日隊に任務が下った。
『虚楽拡大を阻止せよ』
いつもの任務だ。
そう思っていた。
仲間たちと現場に駆けつけるまでは。
到着して数分も経たないうちに、
仲間達が、次々に倒れていく。
足元には血。
踏み場も無いほどの赤。
鼻をつく鉄の匂いが気持ち悪い。
そして俺の目の前に居るのは、
数分前まで仲間だったモノ。
虚楽で死んだ人間は例外なく零徒化する。
わかっていたはずなのに。
目の前のそれを、俺はまだ、仲間として見てしまっていた。
「すまねえ、伊月……」
喉が焼けるように痛い。
それでも言葉を絞り出す。
「約束する、てめぇらの魂はちゃんと連れ帰るから……」
ゆっくりと、刀を構える。
「ご介錯ーー奉る……」
俺の言葉は届いただろうか。
だが、躊躇っている余裕はない。
「茨ぁ!!避けろ!!」
隊長の叫び。
その直後ー
気づいた時には、もう懐に入られていた。
「っーーー!!!」
振り向くよりも速く、
腕に刃が突き刺さり、さらに肩を斬り裂かれる。
焼けるような痛み。
視界が一瞬揺れる。
「残念だったな」
振り向きざま、刀の柄に仕込んだ引き金を引く。
「あいにく、そっちは最初っからねえよっ!!」
2発。
至近距離から襲ってきた敵に弾を打ち込む。
崩れ落ちる影。
その隙間から隊長の姿が見えた。
「背中を取られるなんざー」
こんな状況だってのに、隊長はいつものように笑う。
「お前もまだまだだな。帰ったら叩き直すぞ!」
この人が
1番辛いはずなのに。
その瞬間ーー
「茨はーー」
言葉が途切れた。
隊長の体が崩れた。
「……はっ、?」
何が起きたんだ。
さっきまでーー
いつもみたく笑ってたのに。
「隊長…………?」
空間がねじ曲がる。
何か言っている
隊長が、何かーー
それを聞き取る前に。
視界が、途切れた。




