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備品チェックー4

ロウのその様子を見たコーカスが、恐る恐るシエラに声をかけた。


「……おい、その食べ物は、そんなにマズいのか?」


聞かれてシエラは視線を逸らしながら、そうだと思うよ、と答える。


「だって……私の握り飯よりマズいって結果にでてたからね。相当だと思うよ」


「……そんなにマズいのか?お前の握り飯は」


思わず後退りながらコーカスが聞くと、シエラはいやいや、と慌てて手を振った。


「い、今はそんなことないよ!?こないだだって自分で握り飯作ったし!」


『だって、今は使う材料を全部調理場の担当の人が用意してくれてたからじゃない。自分で用意したら絶対おかしくなるじゃない』


どこからともなく、ルーの突っ込みが聞こえたような気がして、シエラが当たりをきょろきょろと見回していると、コーカスは彼女の肩に乗って、ポンポンと肩を叩いた。


「……これからも、食事は野菜をそのまま提供してくれて構わないからな。もし、必要に迫られて調理する場合は、必ず誰かに用意してもらったものを使って、調理するようにな」


「ちょっと、失礼過ぎない!?」


ぷりぷりとシエラが怒っていると、げっそりとやつれきった表情のロウが戻ってきた。


「あ、ロウさん、お帰りなさ……えっと……大丈夫ですか?」


心配そうにシエラが声をかけると、ロウは力なく微笑みながら、大丈夫です、と答えた。


「……確かに、この味だと、使用期限がまだ残ってはいるけれど、破棄したほうがよさそうですね。……うっぷ」


「はい、そう思います」


そう言って、ロウはもう一度、じっとその携帯食料を見つめる。


「……こうなってくると、やっぱり鑑定のスキルレベルはなるべく上げたほうがいい、ということだよね……」


ロウが言うと、そうですね、とシエラは魔石の鑑定を再開しながら頷いた。


「一般的には、鑑定のレベルって、大体3~4くらいから先が、上げにくいって言われてますよね」


「そうそう……結構色々頑張って鑑定の数はこなしてるんだけど、4に上げるのも苦労したし、4からは一向に上がる気配が見えなくて」


「……あくまでも私の個人的な所見になるのですが、鑑定のレベルに関しては、この3~4の先は、鑑定の数をこなすだけではなく、対象物に対する知識なんかを深めていくことが大事なのではないかと思っています」


「知識、ですか?」


首を傾げるロウに、シエラはこくんと頷く。


「例えばなんですが、携帯食料の場合、大体の人が気にするのは味と消費期限ですが、その他にも、その携帯食料がどういったタイプの物なのか、例えばこれみたいに、乾燥固形タイプなのか、ゼリー状タイプなのか、お湯などを使って若干の調理が必要となる調理加工タイプなどがありますし、人によっては食べられない食材などがあるので、その食材が使用されていないかどうかだったり、他の情報も情報として確認する項目は存在しているわけです」


「確かに」


「さらに、味についても美味しいかどうかについては人それぞれ感じ方は違いますが、自分の中で一定の基準、例えば、自分が作った食べ物や、みんなが知っている有名なお店の料理なんかと比べた場合の結果が出せれば、相手に対して、それがどの程度の味なのかを説明できるようになると思うんです」


「なるほど……」


シエラはにっこりと笑ってロウにさらに続ける。


「なので、まずは常にそう言ったことを意識しながら鑑定をする、それから、鑑定したそれがどういったものなのか、企業なんかが公開している情報を確認したりしつつ、鑑定の仕事以外でも、色々なものにふれたり、見たり、食べたり、経験したりする。こういったことを積み重ねていけば、レベル5には案外すぐ上がるんじゃないかな、と」


「ただ鑑定をして、数をこなすだけではだめってことか……」


ロウの言葉に、シエラは頷く。


「最初にスキルを取得するには、数をこなすことが必要だと思うんですけど、そこから先、一定以上にレベルを上げたい場合は、それだけではだめだと思います。実際、最初にいたギルドでは、まずスキルの取得を優先した後、スキルレベルを上げるよりも、いろんな業務ができるようになった方が上げやすい、とギルドマスターに言われて、いろんなことをやりましたから」


小さなギルドだったので、職員が少なかったから、ということもあったが、実際、全員がまんべんなく同じことができたほうがいい、というギルドマスターの方針により、受付嬢であったシエラも、色々な業務を担当する機会が往々にしてあった。


「まぁ、これはあくまでも私の個人的な所見ですので、それでもレベルは上がらないかもしれませんが、一つの方法として、頭の片隅にでもおいておいていただいたら、もしかしたらお役に立つかもしれません」


苦笑しながら、最後の魔石を鑑定し終えて、シエラは大きく伸びをした。


「……物凄く申し訳ないんだけれど」


「?どうしました?」


ロウはパン!と両手を顔の前で合わせるとお願い!と頭を下げた。


「え?え??」


慌てるシエラに、ロウはごめん!と叫ぶ。


「携帯食料の残りの分の鑑定に関してなんだけど、シエラさんにお願いしてもいいかな!?」


「え!?」


ロウの思わぬお願いに、シエラは目を見開く。


「さっきの携帯食料の件で分かったけど、レベル4に上がったところではあるけれど、俺の鑑定結果で出した判断では、正直マズい気がするんだ。ぶっちゃけ、さっきまでやった鑑定分も、不安になってきてるところで……」


「あー……」


携帯食料に関しては、単純な使用期限のみを見て判断していると、さっきのようなまるで罰ゲームかと言わんばかりの携帯食料が、問題なしに分類されてしまっていることになる。それは流石にマズい気がする、とシエラも少し悩む。


「だから、鑑定の作業はシエラさんにお願いして、残りのセーフ分の判定をどうするかの確認と、補充・廃棄それぞれの手続き書類作業をしようかと思うんだけど、どうかな」


ロウに言われて、シエラは少し考えたあと、わかりました、と頷いた。


「確かに、この量の廃棄と、その補充だと、稟議が必要になってくる可能性もありますし、そうなるとまためんど……コホン、大変ですし、外部ギルド所属の私では対応ができないので、それでいきましょう!」


適材適所というやつだな、とシエラは納得し、頷いた。


「本当にごめん!それじゃさっそく、鑑定を終わらせてくれたポーションと魔石の方、対応していくから、携帯食料をお願いしてもいいかな?あ、携帯食料の次は何の在庫確認する?言ってくれればそっちも持ってくるよ」


「ありがとうございます!それじゃ後で……」


こうしてシエラとロウの分業チェック作業が再開し、作業に明け暮れたのだった。

今回は長らく更新が滞ってしまっており申し訳ありませんでした!!

いつもお読みいただきありがとうございます。

誤字脱字につきましても、適宜修正いたします。いつもご報告いただきありがとうございます。

感想、いいねいただけると嬉しいです!

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― 新着の感想 ―
数を多くだけではなく知識量を増やしていくですか、納得できる考え方ですね!情報と知識は重要ですから!
腐っ腐っ腐っ腐っ腐っ。 ゲロ吐くレベルの腐敗食がセーフ判定される鑑定スキル持ちはもっと勉強しないと駄目DEATHよね。
更新ありがとうございます。 備品チェックが中々終わらない笑 続きも楽しみです。
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