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常夏の夜の夢 四 色のない世界で見つけたものの話

 ふと気がつくと私は、色のない世界にいた。

 匂いも何もない。あぁこれは夢だなと漠然と感じた。ふわふわする感覚の中、灰色だけの世界を、目的もなく歩く夢。

 どこまで歩こうか。今すぐ引き返そうか。あれ、つい最近同じようなことした気がするな。その時はどこまで歩いたんだったか。

 歩いていった先には少女が一人、しゃがみこんで何かをじっと見ていた。少女といっても高校を卒業したくらいの若い女。短い髪で、垢抜けない。

 そんな少女の背後に立ち、私は彼女が見ているものを見た。

 彼女の足元には黒くてもやもやした何かが横たわっていた。それはかろうじて人の形をしていて、今にも死にそうで、私は、あぁこれは私なんだと悟った。

 小笠原晴子ではない。笠原晴羅、だったもの。こんなところにいたのか。

「虫の息だね」

 私が少女に語りかけると、少女は「うん」と頷いた。否定せんのかい、と苦笑した私の前で、少女はゆっくり立ち上がり――

「でも」

 少女が振り返って、その顔が見えて。途端、世界に色が戻って。

「まだ死んでない」

 少女の服にも色がつく。

 赤い、赤いパーカーだった。

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