仲間募集
『優勝確率0.00004%』
ノアの宣告から数分後。
レンは路地裏の段ボールの上に座っていた。
「終わってるな」
『はい』
「否定しろよ」
『事実を優先しました』
「そういうとこだぞ」
レイヴンが隣で笑う。
コメント欄も盛り上がっていた。
『草』
『ノア容赦ない』
『優勝無理じゃん』
『でも見たい』
『頑張れ』
レンは空を見上げる。
世界ランキング戦。
世界中のトッププレイヤーが集まる大会。
今の自分じゃ勝てない。
それは分かる。
だが。
「ノア」
『はい』
「勝つ方法あるか?」
数秒の沈黙。
ノアは静かに答えた。
『あります』
レンが顔を上げる。
『戦力不足です』
『現在の戦力』
『レン』
『ノア』
『レイヴン』
『以上』
レイヴンが吹き出した。
「少ねぇな」
『世界ランキング戦の推奨チーム人数は五名です』
『最低でもあと二名必要』
レンは腕を組む。
仲間。
昨日まで友達すら少なかった自分が。
世界を相手に戦う仲間を集める。
なんだそれ。
だが。
その時だった。
コメント欄に妙な流れが生まれる。
『仲間募集しろ』
『配信者らしく』
『公開オーディションやれ』
『それ面白そう』
『見たい』
レンは嫌な予感がした。
そして。
ノアが言う。
『合理的です』
「やめろ」
『公開募集を推奨します』
「絶対ろくなことにならない」
『現在の登録者数』
『182万人』
「聞きたくねぇ」
『応募者数は期待できます』
レイヴンは腹を抱えて笑う。
「やろうぜ」
「お前もかよ!」
だが。
現実問題。
仲間は必要だった。
レンは深くため息をつく。
「……募集するか」
コメント欄が爆発する。
『きたああああ!!』
『応募する!』
『世界戦メンバー募集w』
『歴史的瞬間』
『絶対カオス』
レンは頭を抱えた。
その時。
ノアの瞳が突然光る。
『警告』
「今度は何だ」
『応募者が一名』
「早すぎるだろ!?」
『二名』
『三名』
『百七十二名』
『一万四千二百六十三名』
「増え方おかしい!!」
レイヴンが大爆笑する。
『十万』
『三十万』
『百万人』
「世界終わってる!!」
ノアは冷静だった。
『訂正』
『現在応募者数、百三十七万人』
レンは無言になった。
その時。
応募リストの一番上。
ノアがある名前を表示する。
【白銀】
全員が固まる。
「……は?」
レイヴンも固まる。
コメント欄も止まる。
そして。
その応募メッセージには一文だけ書かれていた。
『興味があります』
レンは頭を抱えた。
「敵だろあいつ!!」
だが。
ノアは静かに呟く。
『興味深いです』
そしてさらに。
二人目の応募者が表示される。
【世界ランキング第3位】
【参加希望】
静寂。
レンはゆっくり天を仰いだ。
世界ランキング戦まで、あと七日。
どうやら。
本当に世界が動き始めたらしい。




