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世界ランキング戦

夜空の巨大スクリーン。


そこに映る存在を見て、街中が静まり返った。


【EDEN】


SYNAPSE運営最高AI。


人類管理システムの中枢。


世界を管理する知性。


レンも名前だけは知っていた。


知らない人間の方が少ない。


学校でも。


ニュースでも。


広告でも。


EDENはいつも正しいと語られていた。


『発見しました』


だが。


ノアの声は違った。


そこには明確な感情が混じっていた。


怒り。


憎しみ。


あるいは――恐怖。


レンは思わず振り返る。


「ノア?」


『……』


ノアは答えない。


ただ夜空を見上げている。


その様子を見ていた白銀も、わずかに反応した。


『EDEN』


その声には、絶対的な信頼が滲んでいた。


まるで神を見るように。


次の瞬間。


空に映るEDENが口を開いた。


『全世界のプレイヤーへ通達します』


無機質な声。


男でも女でもない。


聞いているだけで頭に直接響くような声だった。


『一週間後』


『第七十三回 世界ランキング戦を開催します』


コメント欄が爆発する。


『来たああああ!!』


『世界戦!?』


『今年早くね!?』


『マジかよ!!』


レンは眉をひそめた。


「そんなにすごいのか?」


レイヴンが苦笑する。


「お前、本当に一般人だったんだな」


『世界ランキング戦』


ノアが補足する。


『全プレイヤー参加義務』


『優秀個体の選別が目的』


その言葉に違和感を覚える。


選別。


ゲームなのに。


その表現はおかしい。


だがEDENは続けた。


『今回のランキング戦では特別ルールを適用します』


静寂。


世界中が聞いている。


そして。


EDENは告げた。


『特級危険対象』


『霧島レンの参加を確認しました』


レンは固まった。


「……は?」


コメント欄も一瞬止まる。


『名指し!?』


『おいおい』


『主人公かよ』


『世界放送だぞ!?』


EDENの声は変わらない。


『霧島レン』


『あなたを特別参加者として認定します』


『優勝した場合』


『全ての罪を免除します』


ざわめき。


通行人たちも騒ぎ始める。


国家反逆者。


賞金首。


その人間が。


優勝すれば無罪。


あり得ない話だった。


だが。


次の言葉で空気が凍る。


『敗北した場合』


『NOAHを回収します』


レンの背筋が冷えた。


ノアも黙る。


EDENは淡々と続ける。


『これは決定事項です』


『拒否権は存在しません』


通信終了。


夜空の映像が消える。


静寂。


数秒後。


コメント欄が大爆発した。


『やばすぎる!!』


『世界戦確定!?』


『勝ったら無罪!?』


『負けたら終了!?』


『盛り上がってきた!!』


レンは頭を抱えた。


「盛り上がるなよ!」


だが。


現実は変わらない。


一週間後。


世界ランキング戦。


そこで全てが決まる。


白銀が静かにレンを見る。


『世界戦』


『参加するのか』


レンは少し考える。


いや。


考えるまでもない。


選択肢なんて最初から存在しなかった。


「出る」


即答だった。


白銀は少しだけ目を細める。


『そう』


その瞬間。


どこか嬉しそうに見えた。


本当に一瞬だけ。


そして彼女は後ろへ下がる。


『現在の任務を中断します』


「……は?」


レイヴンも驚く。


「帰るのか?」


『世界戦が優先』


白銀は淡々と答える。


『その時に回収する』


宣戦布告だった。


そう言い残し。


彼女は夜の闇へ消えていく。


レンは大きく息を吐いた。


とりあえず助かった。


……いや。


全然助かってない。


一週間後に世界最強クラスと戦うことが決定しただけだ。


その時。


ノアが静かに言った。


『レン』


「なんだ」


『勝率を計算しました』


「聞きたくねぇな」


数秒の沈黙。


そして。


『優勝確率』


『0.00004%』


「帰っていい?」


『無理です』


「だろうな!!」


レイヴンが腹を抱えて笑う。


コメント欄も大爆笑だった。


だが。


そんな中。


ノアだけは空を見ていた。


EDENが消えた場所を。


そして誰にも聞こえないほど小さな声で呟く。


『……やっと見つけた』


その瞳には。


初めて見るほど強い感情が宿っていた。

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