表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/63

迫る時間

 サンロアは、椅子に座らされ目の前に置かれたお茶とお菓子に眺めていた。


「すまなかったな、遠慮なく食べてくれ」


対面に座っていたスキンヘッドの男性は、低い声音ではあるが優しい口調で菓子を薦める。


「俺の名前は、ハング・ハウスロット。ここの室長だ」


彼は自分で淹れた紅茶を飲む。見た目に似合わずその所作が美しい。サンロアは思わず見とれてしまった。


「それで、ルークの事だったな。アイツはさっきも言った通り、行方不明だ」

「それは、いつからですか?」


口に含んだ紅茶を、一気に飲み込んだサンロアは聞き返す。


「五日前からだ。その日からこの研究室に来なくなったんだ」


ハングの目に涙が溜まり始める。サンロアが慌てて話を進める。


「何かあったんでしょうか?何か悩んでたとか」

「さぁ?気づかなかったな。まぁ、ここは他所から墓場って言われてるから、嫌になったかもしれないけどな」

「え?そうなんですか?」

「なんだ知らねぇのか」


ハングは立ち上がると、机の上から、何かが入った小瓶を持ってくる。それを、サンロアに渡した。サンロアは、受け取った小瓶を見る。中には、紫の石が入っていた。石は星空を閉じ込めたように、キラキラとしている。


「ここでは、魔物からとった魔石をエネルギーに変換する方法を研究してる」

「これが、魔石ですか?」

「あぁ、これは小型の魔物から取った物だけどな。これ一つじゃ一晩電灯着けるのが、精いっぱいだ。だから、もっと効率的にエネルギーを抽出できないか研究するのがここ……だったんだけどな」


ハングが遠い目をして天井を見る。


「高効率魔力貯蔵装置が出来てからは、研究費が減ってく一方だ。このままいくと、この研究室は閉鎖かもな」

「高効率魔力貯蔵装置には、魔石は使われてるんですか?」

「使われている……ことになっている」


ハングの眉間にしわが深く刻まれる。元々の強面が、さらに威圧感を増していた。サンロアは少し怖気づきながらも、話を続ける。


「ことになってるとは、どういうことでしょう」

「一度内部構造を見せてもらったんだが、確かに魔石に似てる。しかし、あれは違う。断言できる。あれは魔石じゃねぇ。もっとなんというか、うまく言えないがもっと恐ろしいもんだ」

「恐ろしい?」

「魔石は、魔物の一器官だ。要は、生きるために必要なもんだな。単純な臓器の一種よ。だが、あれは……作られた物だ。自然にできたもんじゃない」


ハングは、魔石を眺めながら呟いた。


「あれは綺麗すぎるんだ」


サンロアは首をかしげた。話の続きをしようとしたとき、ハングが急にあぁ!と何かを思い出したらしい。


「そういえば、ルークの奴も高効率魔直貯蔵装置に興味を持ってたな。そっちの研究室に行けば、何かわかるかもしれん」

「その研究室ってどこですか?」

「13研究室だ!」


サンロアは、ハングにお礼を言って部屋を出た。足早に13研究室を目指す。その腕の花弁は、残り二枚になっていた。



最後まで読んでいただきありがとうございます!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ