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第五章 引き裂かれる影

【第五章 引き裂かれる影】ーーーーーーーーーーー


 肩を掴まれた瞬間、凍りつくような寒気が全身を走った。

 振り返ると、そこには――自分が立っていた。


 もう一人の淳。

 泥にまみれ、濁った瞳を光らせ、同じ制服を着ている。口元はにやりと歪み、白い歯の間から黒い泥水が垂れていた。


 「お前は……誰だ」

 震える声で問いかけると、影は愉快そうに笑った。


 「俺はお前だよ。ずっと沼の底で待ってた。……代わりに外に出してくれないか?」


 背後の水面では、悠斗と圭介が笑いながら沈んでいく。

 泡と一緒に手を伸ばし、助けを求めるように見えるが、その指先は淳を掴もうと蠢いていた。


 「違う……違う、俺は――」

 声を張り上げようとした瞬間、影の手が胸元を掴んだ。

 冷たい泥の感触が皮膚に染み込み、呼吸が止まる。


 「入れ替わろう」

 耳元で囁かれた声は、確かに自分の声だった。


 その瞬間、視界がぐらりと揺れた。森の影が裂け、水音が鼓膜を打ち破る。

 ――気づけば淳は、沼の中に沈んでいた。




#ホラー小説

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