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第四章 呼び声

【第四章 呼び声】ーーーーーーーーーーーーーーー


 その夜、淳は再び夢を見た。

 沼の中に沈んでいく悠斗。白い腕が彼を絡め取り、底へ引きずり込む。

 そして悠斗の口がぱくぱくと動く。

 ――たすけて。

 声は聞こえないのに、はっきりと読めてしまった。


 飛び起きると、部屋の中に水音がした。

 床一面が濡れ、泥が広がっている。靴下がじゅくりと湿り、胸が悪くなる。

 水面に映った自分の顔が揺らめき、次の瞬間、それがにたりと笑った。


 「……来い」


 幻聴ではなかった。確かに自分自身の声で呼ばれた。

 恐怖で震えながらも、体が勝手に動く。窓を開けると、庭がぬかるんでおり、黒い水たまりが道筋のように森へ続いていた。

 沼へ導かれている。


 気づけば淳は裸足で歩き出していた。泥に沈む足は冷たく、何か柔らかいものを踏み潰す感触がある。蛙か、それとも――。

 森を抜けると、月明かりに照らされた鏡沼が待っていた。


 水面には三つの顔が浮かんでいた。

 圭介、悠斗、そして自分。

 だが三人とも腐りかけ、濁った目で笑っていた。


 「待ってたよ」


 声は三人の口から同時に漏れた。

 その瞬間、淳の背後から冷たい手が伸び、肩を掴んだ。




#ホラー小説



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