託された。
寝ていたワイバーンは動けないのか、攻撃を耐えている。
「シオンちゃん、どういうこと?」
「多分だけど、寝ているワイバーンは孕っているか卵を守っているんだと思う。敵対しているワイバーンに落とされて、傷を負ったけど自分の子供を守っているんじゃないかな?」
「な、なるほど。それなら辻褄が合うな。でもどうする?このまま待っていれば一体は死ぬだろうが・・・」
シオンは目を大きく開いていった。
「どちらが『悪』か見ればわかる!このフレイムマスターの前で不条理は許さない!」
「あっ、シオンちゃんダメっ!」
シオンはロケットエンジンのように、飛び出していった。
「炎よ!あのクソトカゲを焼き払え!フレイム・ウィップ!」
森が焼けないように、炎を鞭のようにしてワイバーンを攻撃した。
炎の鞭は飛んでいるワイバーンの足に当たり、熱さで悲鳴を上げた。
キシャァァァァ!!!!!!
「逃がさない!」
翼を羽ばたかせて上昇するワイバーンと違い、足に炎を噴射して上昇するシオンとでは上がるスピードが違った。
あっという間に上を取るとシオンはワイバーンに向かって魔法を放った。
「我が炎よ。この手に集まりて刃となせ。フレイム・ブレード!」
長く伸びた炎は圧縮され、刃の形となってシオンは振り降ろした。
高温の刃は容易くワイバーンの身体を真っ二つにしてしまった。
「ま、マジか!シオンちゃん、一人でワイバーンを倒してしまったぞ」
「あんな魔法見たことないわ。あれもオリジナルかしら?どれだけ凄いのよ」
シオンの戦いを見ているしかできなかった紅き炎のメンバーだった。
グルルルッッ!
地上に降りたシオンを威嚇する傷ついたワイバーンだが───
「大丈夫。敵じゃないわ」
シオンは両腕を開いて、武器など持ってないとアピールしながら近づいた。
「シオンちゃん!危ない!?」
止めようとしたがすでにワイバーンと距離が近すぎた。
ワイバーンはシオンに口を近づけたが、噛み付くわけでもなく、シオンの顔を舐めて感謝したようだった。
「マリアさん、回復魔法お願いできますか?」
「えっ、あ、はい!」
マリアは恐る恐ると近づき回復魔法を使った。
「まさかワイバーンに回復魔法を使う時が来るなんて・・・」
新しいケガは大したことなかったが、森に落とされた時の怪我が酷かったようだった。
シオンは気休めだろうが、みんなに内緒で『風魔法』の回復魔法を使った。
「あら、いつもより傷の治りが早いような?」
元々、風魔法の回復量はたいしたことがない。水魔法の補助ぐらいなのだ。
ワイバーンも一命を取り留めたのか、翼を広げて起き上がった。
「あ、やっぱり卵があったよ」
起き上がったワイバーンはシオンに頭を下げた。
「まさか、ワイバーンが人間に頭を下げた?」
「知性が高い個体なのかしら?」
そして卵をゆっくりと咥えると、シオンの目の前に置いた。
ホワイ???
「大事な卵をどうしろと?」
「シオンに育てろって言っているんじゃないか?」
「はぁっ!?どうしろっていうのよ!」
「えっと、ワイバーンは卵を温めるというより、魔力を卵に注ぐことで孵化するって学校で習ったわよ」
「どんな学校ですか!?」
エリーさん!それどこ情報なの!?
「取り合えず魔力を注いで見たらどうだ?何かあれば守ってやるから」
ムラサメさんだけだよ。
その優しさが目に染みるぜっ!
取り合えずシオンは卵に手を当てて魔力を注いだ。
卵が薄く光だした。
「どれくらい注げばいいの?」
「さぁ?」
おい!!!!!
爆発してタマゴが死んだら私がワイバーンさんに殺されるんですがっ!!!!!
シオンの心配をよそに卵にヒビが入った。
おおっっ!?
魔力を止めると、さらに卵が割れて中から子供のワイバーンが産まれた。
「産まれた!!!!」
シオンは産まれたばかりの子ワイバーンと目があった。
「可愛いかも♪」
卵から子供が産まれたワイバーンは見届けると、翼を広げて飛び去っていった。
「えっ、あ、ちょっと!?まっ───」
あっという間にいなくなってしまった。
「あれだけ身を挺して卵を守っていたのに育児放棄ってなによ?」
「いや、ワイバーンは子供が産まれたのを確認した後は放置するらしいぞ?子供が勝手に育つらしい。元々強い魔物だしな。狩りなどの知識は本能で覚えているそうだ」
確か昆虫とかもそうだよね。
「取り合えず、これで問題は解決かな?」
「そうだな。シオンちゃんが倒したワイバーンの素材を回収したら帰るか」
レッドさん達がワイバーンを解体し始めると、シオンと同じくらいの大きさの子ワイバーンがシオンに懐いて、ペロペロと舐めてきた。可愛いのぅ~
「レッドさん、これはどうしたらいいの?」
「う~ん、シオンちゃんを母親と思っているのかもな。魔力を注いで孵化したんだし」
「シオンちゃんたら、まだ会って間もないのに『子持ち』になるなんて。お姉さん悲しいわ」
!?
「私はまだ5歳だもん!」
「愛に歳の差なんて!」
エリーさんにマリアさんも悪ノリしてきた。
ムキーと地団駄を踏むシオンにムラサメさんだけ頭に手を置いて慰めてくれた。
ムラサメさんだけだよ。優しいのは。
「・・・・取り合えずは連れて帰ろうか、お母さん」
ガーーーン!!!!!
どうやら私、シオン・フレイム公爵令嬢はわずか5歳にして子持ちになったようです。
どうしてこうなった!orz




