研究に忙しい
それから1ヶ月経ちました。
そしてついに、狙っていた事が起きたのです。
自宅に帰ると、ニコニコ顔のお母様と、疲れてボロボロなお父様がいました。
「お帰りなさい」
「ただいまです。お父様、お疲れですね」
「ああ、シオンの化粧品が飛ぶように売れてな。シリウスも学校があるし、執事などにも手伝ってもらっているがなかなか大変だよ」
「嬉しい悲鳴ってやつですね」
「私も試したけど、すごく良かったわ♪」
「妻が綺麗になるのならいくらでも頑張るさ」
「あなた・・・」
はいはい、ご馳走さまデス!
イチャイチャは子供のいない所でお願いしますね!
「それより、在庫は大丈夫なんですか?」
「あまり余裕がないな。増産はしているが追いついていない状態だ」
「絶対に断れない所の分は確保しておいて、購入制限を設けましょう。一人1個までとかね」
スライムパックは一箱に30日分入っているので一つ買えば当分は大丈夫なのです。
「しかし、材料費を差し引いても、かなりぼったくっても売れるとは・・・・」
「こら、シオン言葉が悪いよ?でもそれだけの効果があるから売れるんだし、問題ないよ」
材料費が銀貨1枚ぐらいで、スライムパックは金貨5枚で売れているのです。
つまり金貨は銀貨の10倍の価値なので50倍で売れている計算になります。
「売上の一部は教会や孤児院にしっかり送ってね?絶対横領するやつがいるから、食料と交換や監査官をつけてきちんと孤児達のために使われたか確認してください。必ず本来必要な方に渡るようにお願いします」
「ああ、わかったよ。全てはシオンが商品を開発して手に入ったお金だ。しっかりと確認して使うとするよ」
自室へ戻ろうとするとお母様が呼び止めました。
「シオンちゃん、その髪はどうしたのかしら?」
髪???
男性達は分かりませんでしたが、お母様は気付いたようです。
「これはまだ試作品なのですが、髪に艶を出すリンスという髪を洗う洗剤を使ったものの効果なのです」
1番作りやすいリンゴの酢を使って、前世でもあった『椿オイル』を混ぜて香りと髪に艶を出すリンスを作ったのだ。これはまだまだ作りかけな状態で、艶の感じもまだ微妙なのですよ。まぁ、良い匂いはするんだけど。
「シオンちゃん──」
「待って!また休学は勘弁してください!それに、スライムパックが売り出したばかりです。今度はもう少し余裕を持って量産してから売り出しましょう。幸い、これは量産しやすいので」
「もう!シオンちゃんたら、お母様の思考を先読みしないで」
いや、もう誰だって分かりますから。
「ハクアもこの匂い好き・・・」
ドキューン!!!
はい!
すぐに作れば良いのですね!
ブツブツ・・・
『学校に専用の研究室を作ってもらって、作業を分担すれば・・・』
シオンはこうなると止まらないのである。
『クククッッ、我が深淵なる頭脳を使えば、研究時間を短縮することも可能なのだ!』
すぐに新たな研究を集中して作ることになったのだった。
シオンは翌日、試供品を『女性の教師』に渡した。
最初は怪しんだ教師陣だったが、その翌日には美しくなった髪に驚き、すぐにシオンを特別対応してくれた。
「ここが空き部屋の教室になります。最低限の備品(ビンとか皿とか試験管)はありますのでご自由にお使いください」
女性の事務員さんにも試供品(賄賂)を渡して学校でも研究を開始です!
「さて、時間のかかる割合調合をここですれば、細かい微調整は家でもできるし、なんとかなるね」
前回のように、メインの薬剤を細かく割って、各試験管に入れて様子をみることになります。
とはいえ、漫画の様に1日で出来るわけではない。
1ヶ月かかる作業が一週間ほど短縮される程度ではあるのだが、忙しくも充実した日々を過ごした。
そして完成した『トリートメント』は先の化粧品より爆発的な人気を呼ぶのは少し先の話である。
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「クククッッ、アーハハハハッッッ!!!!!!ついに完成したぞ!このフレイムマスターの混沌とした頭脳から、この世界では画期的な洗髪剤を完成させてしまった・・・・」
いつもの中二病っぽく完成を喜ぶシオンだったが、だんだんと声が小さくなっていった。
「大丈夫だよね・・?これを売り出して・・・・」
前回の化粧品の加熱した販売欲を思い出してゴクリッと喉を鳴らす。
「売り出す前に想定の3倍は量産をして、家族と相談しないと」
シオンは完成したトリートメントをお母様に献上した。
そして───
「シオンちゃんは天才ね!美の女神様が遣わした天使なんだわ!!!!」
大興奮でシオンを抱きしめました。
煌めく艶の髪にサラサラな手触り。今までなかった洗髪剤に興奮がおさまりません。
「これは問題だな」
「ええ、問題なんです」
シオン達は重大な問題に直面するのだった。




