名場面を再現してみた。byシオン
流石のシオンも少し焦っていた。このままではマズイ。大岩を受けると圧倒的な質量で潰されるからだ。煩わしい水の拘束を魔力を込めて引き千切るが、またすぐに構成され再度拘束される。
流石に面倒である。
故にシオンは威力を弱めたフレイム・ボムを爆発させ、水の拘束を吹き飛ばした。
「あまり調子に乗るなよ!」
フレイム・ボムを周囲に落としまくった。
おかげでシオンの足下の周囲は更地が広がった。
「ふぅ、だいたい片付いたか───」
しかし、すでに大きな球体の岩はシオン目掛けて急降下していた。
「しまった!」
シオンは両手に魔力を込めて超巨大な大岩を受け止めた。
「こ、こんなもの………」
グギギギッッ!!!!!
足元の爆炎と炎の羽根も強化して必死に耐える。
「ここここ、こんなものでーーーーー!!!!!!」
質量に押し潰されてどんどん降下してついに地面まで着地した。
「うぐっ、グググッ!こんなもので終わる私じゃ!なっ────」
うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
ドッーーーーーーーン!!!!!!!!
ついに地面に激突して大きな音とともに大きな穴を作った。魔力の尽きた大岩は粉々になり大穴の中で瓦礫となって崩れ去った。
周囲には大きな砂煙が立ち込め、約5分間周囲が見渡せない状態だった。
生き残ったのはこの土魔法を使っていた一年生達だった。四組のパーティーで人数は12人。最初の川辺にて土魔法を使って地面に姿を隠してシオンが森に行くのを見送ったのだ。
少し離れた場所で魔法を行使していたので助かったと言う訳である。
「や、やったよ!あの魔王……じゃなかった。魔王級?でいいや。シオンに勝ったんだよ!」
「ああ、一矢報いてやったな」
兄妹で喜ぶレオとレア。他の土属性の仲間達もお互いに抱き合い喜んでいた。
「しかし、土属性の魔法使いが12人も集まればあんなに大きな岩を作れるんだね。初めてやったけど凄いよね」
「だなぁ~少し前の俺達には無理だったと思うぜ?」
うんうんと仲間達も頷いた。
「最後は私達で戦うけど、流石に魔力が空っぽよ。棄権する?」
「そうだな。俺も、もう無理だ。お前達はどうだ?」
他の仲間達も首を振った。
「なら──」
「あら?まだ帰って貰っては困るわ」
!?
レオが言いかけた時、どこからか声が聞こえてきた。
「嘘だろ……」
「ひっ、アレで倒せてないの!」
「あれを見ろ!」
仲間が指を差した先には、大穴から浮いてくるシオンがいた。流石に服はボロボロになっていたが。
「やってくれたわね。流石にこの私も死ぬ(失格)かと思ったわ…………この私が死ぬ所だったのよ…」
ワナワナと震えてシオンは感情を爆発させた。
「この私をここまで怒らせたんだ!ただで済むと思うなよ!!!」
くぅ~、まさか異世界でドラゴン◯ールの悟空とフ◯ーザの戦いを再現できるなんて最高ー!♪♪♪
でも、今回はフリー◯である私が勝つんだけどね。
口調とは裏腹に、シオンは心の中で歓喜の踊りを踊っていた。
シオンは一年生達の魔法を見て、今回の企画を思いついたのだった。何処までも自分ファーストなシオンであった。
一年生達はガクガクッと震えてシオンを見ることしか出来なかった。
「特別に私の本気の魔法を見せてあげるわ」
一年生達の快進撃はここまでだった。
「我はフレイムマスター。この世の全ての炎を統べるものなり。我が炎は神すら屠る。全ての者に滅びの業火を与えん」
シオンの頭上に巨大な炎の球体が現れた。
そしてその炎は蒼炎となり、タマゴから『何か』が生まれるように、その炎は形を変えていった。
「蒼炎ってあんなに大きな炎で出せるの………」
その呟きに答える者はいなかった。
「さぁ、ご褒美よ!邪神すら消滅させる炎!カイザーブルーフェニックス!!!!」
レオ達が最後に見たのは美しい鳥の炎だったという。
こうして学年合同実習はシオンの一人勝ちで幕を閉じたのだった。
この実習は、映像を配信する魔導具により、学園中に放映され、大いに話題となった。今期の一年生の実力に目を見張る教師に、いつも一年生の敗北の実習を塗り替えた作戦。そして大魔王シオンとの戦い。
後に、この実習の映像は新入生の授業に取り入れられやる気を促進させる教材となったとか。
レオ達は惜しくも敗れたが、あのシオンにダメージを与えて後一歩まで追い詰めたことで、時の人となり騒がれることになる。
当のシオンは────
「いやー、久し振りに全力を出して魔法を放てたし、好きな名場面を再現できたし、満足満足♪」
本当なら軽く避けられた魔法であったが、クラスメイトに花を持たせる気持ちもあったので、一石二鳥であった。噂など気にせずに──
「今度は何をしようかな~」
すでにまた、とんでもないことを考えているシオンなのでした。




