本当のバトル!
一年生達が二年生を全滅させた頃、後方にて爆発音が聞こえた。
「レオ、聞こえた?」
「ああ、多分シオンが残党を倒したんだろう」
一年生は二年生を全員倒して転移したことを確認した。
「ここからが本番だ」
「少し怖いけどね」
周囲のメンバーと打ち合わせをしているとシオンが、ラスボスのように空からやってきた。
「ウォーミングアップは終わったかしら?」
ゴクリッと一部の生徒がシオンの魔力に生唾を飲み込んだ。
「さて、ここからが本番よ。今回は私も少し『本気』を出しましょう」
シオンは手を上に掲げると叫ぶように呪文を唱えた。
「我が内に眠るフレイムマスターの魂を今、解放せん!我が身に十全たる力を与え、我が前に立ち塞がる敵を滅ぼさん!」
ボアッとシオンの身体中から膨大な魔力が溢れ出した。シオンは背中からも炎の羽を出して存在感を強めた。
「マジかよ………」
一年生達はシオンの圧倒的な魔力に圧倒され呆然となってしまった。
「クククッ、アーハハハハッッ!!!!!この感覚は久し振りだ!さぁ!我を楽しませてくれたまえ!」
シオンのみノリノリだった。
バンッ!とシオンに攻撃魔法が当たった。
「むっ?」
「お前達!何をしている!作戦通りに動け!!!」
レオが唯一、我に返りみんなを鼓舞した。
再度魔法を放って目眩ましとする。
「動けーーーー!!!!!!」
ようやく一年生達は見通しの良い河原から森へと駆けて行った。
軽い煙が晴れると一年生達が森に入って行くのが見えた。
「クククッ、少しだけ待ってやろう。我を楽しませてみよ!」
全員が森に入ったのを見てからシオンは空から森の上空を飛んだ。
『やっぱり木が邪魔で見えないわね』
ならば!
過去に森で火事になったらヤバいと言う事例があったので新しく開発した魔法を使った。
この魔法は火種を風魔法で包んで、着弾と同時に風魔法が壊れることでバックドラフト現象を引き起こして中の火種を急成長させ爆発を起こす魔法である。風魔法の影響で爆風がメインのため燃え広がることはない…………と、思う。
なんでそんな疑問形なのよ?
だって、森で使うのは初めてなんだもん!
だ、そうである。
シオンは自分の周りにその魔法を数十個作り出した。
「名付けるならフレイム・ボムって感じかな?行くわよ!」
その魔法を森に落としていくと、ドドドッーーーーン!!!!
大きな爆発が起こり木々が吹き飛んでいった。
「…………威力が強すぎたかしら?」
流石のシオンも自分で自分をドン引きした。
なので今度は威力も少し弱めて落とした。
ドドドッーン!!!!
うん、このぐらいがちょうどいいわね。
威力を落としても受ける生徒はたまったものではない。
まさに爆撃機となったシオンは一年生達には恐怖の対象となった。例えるなら火竜が空中でブレスを吐いているような状態である。
「ひぃ~~!」
「アレはヤバすぎる!?」
「死ぬ!死んじゃう!?」
と、悲観的な叫び声が響き渡るが、地面に穴を作って隠れていたり、土魔法で壁を作ったり、水のドームを作って防いだりと、仲間と協力してガードしていた。一年生の結束が深まったので結果オーライである!
シオンの爆撃が一度終わった頃、ついに反撃に出た。空中のシオンに強力な魔法が飛んできたのだ。
ドドドッン!!!!
「結界に傷が………なかなか強力な攻撃魔法ね。でもどうやって?」
木々が吹き飛ばされ下にいた一部の一年生の姿が見えた。
「ああ、なーるほど。考えたじゃない?」
二年生と戦ったときは、バランス重視で各属性のメンバーを集めて三人一組になっていた。
でも、今は『同じ属性』のメンバーを集めて三人一組になっている。
それにより、同じ魔法を増幅して放っているのだ。
実習では最初に申請したパーティーでポイントが入るが、途中で別の仲間とパーティーを組み直してはならないという決まりはない。
まぁ、ポイントは最初のパーティーメンバーに入るのだが。
「三人で同じ魔法を放てば、けっこう威力のある魔法になるわね。しかも、『魔法融合』だなんて三年生で習う魔法を使うなんて、頑張ったじゃない」
同じ属性の魔道士が三人魔法を放てば、例としてファイヤーボールが三つ放たれるだけである。
魔法融合とは、作り出した1つのファイヤーボールに残りの二人が魔力を注ぎ込んで、より大きく1つのファイヤーボールにすることである。
これにより、通常より威力のある魔法が放たれ、強力な結界も壊せるということなのだ。
入学式の時とは違い、仲間と協力して放たれる魔法は威力が違い、確実にシオンの結界を削っていった。
「魔法の飛んでくる場所からだいたいの位置は特定できたわ。今度はこっちの番よ!」
フレイム・ボムを魔法の飛んできた方向に放った。何人かの生徒はダメージを受け強制転移で先生の場所に戻った。
「ふふふっ、さぁ!どんどん行くわよ!」
数が減ったことで飛んでくる魔法の弾幕も薄くなったため、シオンに反撃の機会が生まれた。
次々にやられていく一年生にシオンは首を傾げた。
『ここまで頑張って作戦を立てたのにこれで終わり?何か違和感があるわね?』
攻撃を止めて周囲を見渡した。
すると森の木々に『大きな影』を見つけた。
木の上に影?雲とは違う───
シオンは上を向くと、シオンの更に上空に大きな球体の岩が存在した。
!?
「下に注意を引いて、仲間がやられても魔法攻撃を止めなかったのはこれに気付かせないためだったのね!」
でも、下から移動すれば───
シオンが移動しようとすると下から水魔法の鞭が放たれシオンを拘束した。
「なっ!?」
「捕まえたわ!」
こんなものすぐに外してと力を込めるが、別の生徒の魔法も飛んできて、より拘束が強固となった。
「早く魔法を完成させて!長くは持たないわ!」
「わかっている!もう少し頑張ってくれ!」
シオンの上空にある岩はまだ大きくなっていた。
これを完成できるかが勝敗を分けるのだ。
一年生達は全員が協力してシオンに本気でぶつかっていた。




