学年合同実習!2
隣のクラスを巻き込み、一年は一致団結をして作戦を練った。
「たくっ、実力主義の学園とは聞いていたが、こういう情報戦もあるのかよ」
「教師の話だけを鵜呑みにしてはダメということね。シオンが気づいてくれなかったら多分、シオン以外は全滅していたわよ」
レオと受験の時声をかけてきた女の子のレアがいた。レアは隣のクラスだ。
実はこの二人は兄妹である。
「でも、アイツなら、シオンなら一人で二年を全滅させられるだろうよ」
「あ、あはははっ、それは・・・うん、できそうで怖い」
レアは苦笑いしかできなかった。
「だが、アイツはクラスで、一年みんなで戦うことを選んだ。作戦も俺達に考えろと。アイツは俺達の実力の底上げを狙っているんだろうな」
「あら?随分と買っているのね。惚れちゃった?」
ニヤニヤしながらレアは言った。
「バカッ!そんなんじゃねぇーよ。ただ、俺もあの高みへ行きたいと思っただけだ」
「へぇ~?」
終始、レアはニヤニヤとしていて怒られるのだった。
そして実習当日になりました。
「まず説明しておく、事前に配った首飾りを絶対に首から外さないこと。君たちの命を守るものだ。故意に外しても失格となる。この首飾りは一定のダメージを受けるとこの場に『転移』させてくれるものだ。ダメージ判定も兼ねている」
ほぅ?
流石は最先端の魔導学園だね。
この首飾り欲しいかも。
「なお、学園の特別な結界の中でしか機能しないので、実習の山以外には行かないように」
ちぇっ!バレてる!?
向こうを見ると二年生達はニヤニヤしているのがわかった。
完全に侮っているわね。その余裕がどこまで続くかしら?クククッッ!
「さて、学年合同実習を始める!転移が始まるので動かないように!」
生徒達の足元から魔法陣が輝き転移が始まった。
気づくと、山の中にいた。
二つある山で、一年生と二年生は一つ目の山に一年が、二つ目の山に二年がバラバラに転移された。
「さて、私は空から状況を確認しますか」
シオンはいつもの足元から噴射して上空に浮いた。そして見下ろすと早速、一年が行動を開始していた。
二つの山を繋ぐ小さな川辺に、一年生の土属性の魔術師達が石の壁を作り、バリケードを作っていた。流石に一人では無理なので、合流した土属性の生徒達が次々に作り、数百メートルの石壁を短時間で作り上げた。
これで二年は一年生のいる山に来れなくなったのだ。
無論、壊せば別であるが・・・
「去年はオレ達もやられたからな」
「ああ、今頃、一年生達は個別のパーティで仲間同士で戦っている頃だろうな。俺たち二年は『全員』で向かうけどな」
そうして、近い場所の二年生が山の境にたどり着くと、すでに石壁のバリケードが作られていた。
「な、なんだ!?」
「誰がこんなものを!?」
二年は石壁を前に立ちすくんでしまった。
攻撃すれば壊せるだろうが大きな音で周りの一年に気付かれてしまうからだ。
自分がそのリスクを負うのが躊躇われたのだ。
「どうする?破壊するか?」
「いや、少し待とうぜ。後ろから仲間が集まってからの方が安心だ」
「確かにな」
こうして二年生は石壁の前でどんどん集まることになった。
「もうほとんど集まったんじゃないのか?」
「そうだな。そろそろやるか」
リーダーのいない二年生は軽く話し合って動いた。
「流石にこの石壁を破壊すれば大きな音で気付かれる。破壊したら一気に突入して全員固まって一年を潰していくぞ!」
「「了解!!!」」
そして目の前の石壁を破壊すると───
「よし!突入──!?」
石壁の向こうには一年生が勢揃いして待ち伏せしていた。
「なっ───」
「今だ!一斉攻撃開始!!!!!」
一年生達は練りに練っていた攻撃魔法を放った!
一斉の攻撃は石壁を破壊して向こう側にいた二年生達に襲い掛かった。
「うわぁぁぁっ!!!!!」
「な、なんで!?」
「ぎゃぁぁぁっ!!!!」
虚を突かれた二年生達は結界魔法も間に合わず、どんどん倒されていった。
「ふふふっ、読み通りね。これで二年生は『ほぼ』全滅ね。後は───」
シオンは文字通り、空から高みの見物を決め込んでいた。
そして二年生の後方の山に向かった。
そこでは二年生の3組のパーティが目の前の一方的な攻撃を受けていたことに驚愕していた。
「バカなっ!なんで一年が協力して攻撃して来るんだ!」
「知らないわよ!」
「こんなこと今までなかったのに・・・」
このパーティ達は一年を狩るのではなく、二年生同士の戦いになった時のために、罠を張って待ち構えているメンバー達だった。
「魔導学園は実力主義を謳っているのでしょう?それは情報戦術も含まれているのよ?」
!?
「なっ!どこから声が?」
周囲を見渡すが人影がない。
「・・・はぁ、バカなの?一年の情報ぐらい持っていないのかしら?」
バッと上を向くとシオンがゆっくりと降りて来ていた。
「シオン・フレイム・・・」
2年生の誰かが呟いた。
「はっ!驚いたが奇襲をかけるチャンスだったのにな!お前一人で俺たち9人を相手にできる──」
ドッカーーーーーン!!!!!!!
シオンは有無を言わせず吹き飛ばした。
「ガハッ!む、無詠唱でこの威力だと………」
「あら?耐えるとは思わなかったわ」
シオンは両手をポンッと叩いて笑顔で言った。
「ご褒美に良いものを見せてあげるわ」
「な、なに?」
シオンは両手を拳にして前に出して呪文を唱えた。
「ファ・イ・ヤー・ボー・ル・!」
ゆっくりと唱えながら両手の指を広げていくと、指先から炎が灯っていった。
『こ、こいつはいったい何をしているんだ?』
両手の十本の指先の全てに炎が灯るとシオンはニタリッと笑った。
「十指爆炎弾」
シオンの十本の指から上位の炎の火炎魔法が放たれた。
「ひっ!嘘だろーーー!!!!!!」
二年生のリーダー格の人物は哀れにも恐怖を味わいながら転移したのだった。
「こちらの情報を調べていない時点で無能の集まりね。私にはこれから大事な戦いが待っているのだから」
『くぅ~!異世界にいったら言ってみたい呪文ベスト10を言えたわ!最高ね!』
どこまでも中二病が抜けないシオンなのでした。
前回の戦闘では50人対シオンで圧勝だった。
でも今回は違う。
一年生達は知恵を絞って戦いに来るだろう。
「うふふふっ、楽しみね」
シオンは二年生が全滅するのを待つのだった。




