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第3話防と攻

新たな街で新たな展開が!

「お、見えてきたで」

「……でけぇな」

「ま、そこら辺の町に比べたらな。でも驚くのはまだ早いで。ここより大きいとこなんて、他にもまだあるしな」

「これ以上かよ」

「あぁ。後で行くことになるんとちゃうかな。……ほら、まずは換金しに行くで。こっちや」

「人も多いな」

獅子は物珍しそうに辺りを見渡す。その様子を見てニケは笑う

「お前、さては田舎もんやろ」

「人が多いとこは、あんまり来たことねぇんだよ」

「ふーん。で、どこ出身なん?」

「日本」

「は? そんなとこ聞いたことないわ。田舎すぎん?」

「お前こそどこだ?」

「俺か? 俺はハンター協会本部がある、この世界でいっちゃん大きい街というか、国やな」

「そんなとこもあんだな」

獅子は興味深そうに頷く

「そうこう言ってる間についたで」

目の前にはさっきいた村の換金所の数十倍広く、豪華な建物があった

「いらっしゃいませ、何のご用件でしょうか?」

中に入ると職員が丁寧に案内してくれる

「核を換金したいんや」

「でしたらこちらへどうぞ」

役員が丁寧に案内してくれる。

「核をお見せください」

「これや」

そう言ってバッグ一杯の核を出す

「すごい量ですね」

「襲撃に遭遇して、ちょっと暴れたんや」

「そうなんですか、この量だと2000万ヘスになります」

「口座に入れといてや」

「承知しました」

「少々お待ち下さい」

「この後何すんだ、ニケ」

「それなんやけどな、知り合いから依頼が来てるんや」

「依頼?戦えんのか?」

「あぁ、詳しくは宿で話すけど結構強いやつとの戦いになるで」

「おもしれぇ」

「後‥

「お待たせ致しました。」

「こちら領収書です。」

「よし、行くで」

「さっきなんか言ったか?」

「まぁ、後ででええわ」


アイギス東本部


「今回の案件には、あの『グラウンド・ゼロ』が関わっている。慎重にやれ」

冷徹な声が司令室に響く。

「承知しています。周辺の戦力は、現時点で動かせる最大数を投入しました」

「‥‥いいか、人命が最優先だ。街をこれ以上、奴らの遊び場にさせるな」

「了解です」


ホテルにて


「で、依頼ってのは何なんだ?」

ベッドに寝転んだまま、獅子が退屈そうに訊ねる。

「最近、この街で連続強盗が起こっとるんや。それもただの泥棒やない」

「強盗? そんなもんを捕まえるのが、ハンターの仕事なのかよ」

「普通やったら『アイギス』の仕事やけどな、あいつらも人手不足で手が回らんらしいわ。それに相手は能力を使いまくって、民間人の被害がえぐいことになっとる。それで俺らに依頼が回ってきたっちゅーわけや」

「俺たちが捕まえればいいんだな?」

「いや‥」

ニケの目が、ふっと冷たく光る。

「『処分』や。それが依頼主の希望や」

「‥‥! はは、最高だ。本気で暴れていいんだな」

獅子の口角が吊り上がり、部屋の空気が一気に殺気立つ。

「どこで起こるか分からんからな。まあ、一般人に被害が出ん程度なら好きに暴れてええで」

「そいつ、強いんだよな?」

「あぁ。この前の『重力野郎』を覚えとるか?」

「あのガキか」

「あいつの直属の部下や。能力は不明やけど、一筋縄じゃいかんやろな」

「いつ現れる?」

「それが分からんから苦労しとるんや。連絡待ちやから、それまでは目立たんようにしときや」

「‥‥あっちには、俺たちの情報は行ってねぇのか?」

「ハンターが邪魔に入るってことくらいしか知らんはずやで」

「‥‥ふん。寝るわ」

「そうしいや。俺はちょっと、風にあたってくるわ」

バタン。

ドアが閉まった瞬間、ニケからヘラヘラとした余裕が消えた。

その横顔は、普段の彼からは想像もつかないほど鋭く、冷え切っている。

「待ち合わせは‥‥モールか」


モール


雑踏の中、ニケは目立たない足取りでモールを歩く。ふと、一人の男と目が合った。

「久しぶりやな」

「ご無沙汰しております」

「立ち話もあれやし、カフェでも行こか」

「承知しました」

「どこか美味いとこ知らへんか?」

「存じ上げております。こちらへ」

男が歩き出し、ニケはその後ろを付かず離れず追う。案内されたのは、周囲の喧騒から切り離されたような、落ち着いた雰囲気の高級カフェだった。

「何をお飲みになりますか?」

「カフェラテでええわ」

男が注文を済ませ、ニケの隣の席に腰を下ろす。

「‥‥情報、入ったんか?」

ニケが声を潜めて切り出す。

「はい。襲撃の予想時刻は、今日の閉店間際、あるいは明日の開店直後。場所は宝石店『キング・オブ・ダイヤモンド』で間違いありません」

「時間が二択か。嫌な揺さぶりやな」

「相手は『グラウンド・ゼロ』です。一筋縄ではいかないでしょう」

「閉店は0時、開店は10時やったな。‥‥ずっと張り付くしかなさそうやな」

「それが最善かと」

「わかった。お前はもう引いてええ。長居はリスクを呼ぶだけやからな」

「承知いたしました」

「ほな、俺も行くわ」

「ご武運を」

去っていく男の背中を見送りながら、ニケは小さく呟いた。

(はぁ‥‥あいつも相変わらずやなぁ)

カフェラテを飲み干し、再び「いつもの顔」を作って、獅子の待つホテルへと歩き出した。


ホテル


「ただいまぁ」

ニケは勢いよくドアを開ける。その表情は、普段のヘラヘラしたニケそのものであった。

「獅子ー、十分寝れたかー?」

「グゥゥ」

「まだ寝とるんか‥」

「まだ5時間くらいあるし俺も寝よ」

ニケはベッドに入ると、すぐに眠りについた。

ピピピピッ

目覚ましの音が鳴り響く。

「んー‥時間か」

ニケはまだ少し眠そうだ。

「て、お前まだ寝とるんか」

「起きろー」

ニケは獅子の体を揺さぶる。

「グゥゥゥ」

全く起きそうにない。

「‥しゃあないな」

ニケは獅子の耳元でわざとらしく呟いた。

「獅子、外にめちゃくちゃ強そうな奴がおるで。今ならやり合いたい放題や」

その瞬間、獅子の目がカッと見開かれた。

「‥あ? どこだ、そいつは」

寝起きのぼんやりした空気は一瞬で消え去り、その瞳には好戦的な光が宿っている。

「嘘や。でも今から行かんと、その『強い奴』に会い損ねるで。‥ほら、行くぞ」

ニケはニヤリと笑い、上着を手に取った。

「‥チッ。紛らわしい起こし方してんじゃねぇよ」

獅子は忌々しそうに吐き捨てるが、その体からは隠しきれない殺気が漏れ出していた。

二人は夜の闇に紛れ、ターゲットの宝石店『キング・オブ・ダイヤモンド』へと向かった。


深夜2時。宝石店『キング・オブ・ダイヤモンド』。

結局、0時を過ぎても敵は現れなかった。

「‥‥おい、ニケ。どういうことだ」

ビルの屋上。冷たいコンクリートの上に座り込んだ獅子が、殺気立った声で低く唸る。

「‥‥相手もプロや。夜の警備が固いと見て、朝に切り替えたんやろ。‥‥今さらホテルに帰る時間もないし、このまま朝まで張り込むで」

ニケは欠伸を噛み殺しながら、宝石店を見つめている

「‥‥ふざけんな。俺にこのまま朝まで待てってのか」

「しゃあないやろ。今離れて、その隙にやられたら元も子もないわ」

獅子はチッ‥‥と大きく舌打ちをし、壁に頭を預けて目を閉じた。一睡もできんまま、殺気だけがじりじりと溜まっていく。


そして翌朝、午前10時。

宝石店の開店を告げるベルが、街に響き渡る。

一睡もせず、飲まず食わずで待ち続けた獅子の表情は、昨晩のイライラが限界を超えて、触れるものすべてを叩き潰しそうなほど凶悪になっていた。

「‥‥おい、ニケ。これで来なかったら、俺がこの街ごとぶっ壊すからな」

「物騒なこと言わんといて‥‥あ、ほら。あれちゃうか」

ニケの視線の先。開店直後で賑わい始めた通りを猛スピードで逆走し、一台のワゴン車が客の列を蹴散らすようにして店の正面に突っ込んできた。

「‥‥ようやくお出ましだ」

凄まじい衝撃音と共に、車から真っ黒な防護服の集団が降りてくる。

「グラウンド・ゼロや‥‥。夜通し待たせてくれたお礼、たっぷりしたれ」

「‥‥あぁ。言われなくても、そのつもりだ」

獅子の声が、喜悦で低く震える。

「‥‥おい、ニケ。民間人の被害とか、もう知らねぇぞ?」

「アカン。極力抑えろ言うたやろ‥‥って、もう行っとるか」

「‥‥ははっ! 死ぬ気で来いよ、雑魚どもが!」

獅子はビルの屋上から、獲物を見つけた獣の速度でダイブした。

着地の衝撃でアスファルトがクレーターのように砕け散り、凄まじい砂煙が舞い上がる。

「‥‥あ?」

店に押し入ろうとしていた連中が、砂煙の中に立つ「化け物」の気配に気づき、動きを止めた。

獅子は首をボキリと鳴らし、不眠不休のイライラを全て乗せたような、最悪の笑みを浮かべた。

「‥‥待ちくたびれて、腹が減ってんだ。‥‥さあ、食わせろよ」

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