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【本編完結済】満身創痍だったのでちょっと愚痴をこぼしたら、さらに身も心も削られました  作者: 朔島 涼
番外編

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SS⑨.ソフィアが魔法を使いたい理由

ソフィアはある朝、鏡の前で思った。


「わたくしの瞳の色はイルお兄様と一緒よね。……わたくしも風魔法使えるんじゃないかしら。」




「ああ、使えるはずだ。」

「本当ですか?」

「学園での魔法の成績は良かったと聞いている。かなり強い風魔法も使えたと思うが……なぜ急に?」


朝食の席でウィリアムに確認してみた。


「わたくしも魔法を使ってみたくて……。」

「今更?」

「そう、今更です!」

「うむ……だめだ。」

「ええ!何でですか?」

「風魔法を使った記憶がなくなっているのだろう?」

「そ、そうですけど。だからこそ、使ってみたいのです。」


ソフィアは頬を膨らませて反抗する。


「そんな可愛い顔をしてもだめだ。危ない。使い方の分からない君から、急にソフィアの膨大な魔力を発したら暴走する未来しか見えない。」

「な、なるほど。」


ちゃんと反対する根拠はあったのね。


「では、使い方を教えてください。ウィル様が一緒に見ててくれれば安全でしょう?」

「ほう……。」


ウィリアムは顎に手を当ててしばし考えた後、ゆっくりとその唇の両端が持ち上げられた。




「あの、ウィル様?昨日の今日でなくても良かったのですが。」

「せっかくだ早い方がいいだろう。さあ、庭で練習しよう!」


翌日、嬉々として休暇を取ってきたウィリアムに連れられ中庭にやってきた。我が国の魔法騎士団は彼が団長で本当に大丈夫なのだろうか。


「さあ、思う存分やってみるといい。」

「え?」

「ソフィーの風魔法であれば、暴走しても相殺できるだろう。心配しなくていい。」

「……あの。」

「どうした?」

「魔法ってどうやって使うんですか?」

「……。」


イメージの齟齬が生まれている。どうやらウィリアムは風魔法を使った事がないと思っていたようで、魔法を使った事がないとは全く思わなかったようだ。ソフィアは改めて状況を説明した。


「いや、すまなかったな。まさかそこから説明が必要だとは思わなかった。」

「いえ、こちらこそ説明不足ですみません。」

「じゃあとりあえず、両手を前に出して。」

「手の平から身体の中のエネルギーを外に出すイメージだ。最初は何か言葉も一緒に発すると言いかもしれん。」


そういうと、ウィリアムは片手を庭の何もない方に向ける。


「【突風】」


ウィリアムがそう言うと、彼の手のひらからもの凄い風が吹いて、目の前にあった落ち葉が吹き飛ばされた。先ほど庭師たちが一生懸命集めていた気がするが、特訓が終わり次第謝罪して一緒に集め直そうと思う。


「うわー。流石ですね、ウィル様。」


ウィリアムが炎魔法以外を使うのは初めてみるので新鮮だ。ソフィアは拍手を送る。


「今みたいな感じで。ソフィアもやってみるといい。」

「はい!」


ソフィアもウィリアムの真似をして両手を前に出す。


「【突風】」


……ヒューっとそよ風レベルの風が吹いた。マジか。


「はははは……。」


ウィリアムお腹を抱えて笑っている。


「あんなに得意だったのにな。いやー可笑しい。はははは……。」


もともと魔法が得意だったソフィアを知っているだけに余計面白いらしい。


「天は二物までしか与えんらしいな。ソフィアにはドレス作りの才能と、その美貌があるのだから良いではないか。くくくく……。」


もう笑いすぎて泣いている。しかし、ソフィアはちっとも面白くない。


「で、でも!自分の身を守るくらいの魔法は使えるようになりたいのです。」

「そうか、そうか。すまない笑いすぎたな。くくく……。ソフィーは真面目に魔法が使いたいのだな。」


まだ笑っている……。ソフィアはジト目でウィリアムを睨め付ける。


「よし、じゃあ笑いすぎたお詫びに魔法が使えるまで私が練習に付き合おう。」




それからソフィアのお休みのたびに魔法の特訓が始まった。ウィリアムに次のお休みを教えているわけではないのだが、なぜかいつも同じ日にお休みを取ってくれている。不思議だ。


「【突風】」


ゴォーーーー!


ソフィアの魔法で人に見立てていた木の板が吹き飛ぶ。


「やりました!」


もしやこの人、毎日休んでいるんじゃなかろうな……と疑い始めた頃、ようやく大人の男性も吹き飛ばせるくらいの威力で魔法が使えるようになった。


「やったな、ソフィー!」

「はい!ありがとうございます。これでお腹の子どもたちも自分で守れるわ!」

「え?」

「占いの方によると、双子だそうよ!」

「大事な事は早く言いなさい!」

「だって言ってしまったら魔法の練習させてくれないかと……。」

「当たり前だ!特訓している場合じゃない。早く部屋に戻って休みなさい。」

「感覚を忘れないうちにもう一回だけ……。」

「ダメだ。」


ウィリアムはお姫様抱っこでソフィアを優しく抱き上げる。


「自分で守らなくても、24時間体制で護衛をつける。30人くらいつければ安心だな。」

「そんなにいたら動きづらいです。」

「では、24時間私が一緒に……。」

「30人いて大丈夫です!」

「即答だな。」

「ウィル様はそろそろお仕事に行かないと。」

「ソフィーが心配で仕事が手につかん。」


そして妊娠中は二度と魔法を使う事は許されなかった。加えて、最近落ち着いてきつつあった過保護ウィリアムが再び発動し、仕事を休んではソフィアの様子を頻繁に見に来るようになった。お陰で、ソフィアのブティックはウィルソフィ見たさのご令嬢で大盛況となったとさ。

お読みいただきありがとうございます!

久しぶりのこの感じ。

今回はウィリアムとソフィアのドタバタ劇でした。

次はどんな場面を切り取ろうか……。


では。

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