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お笑いとラブコメは混ざりますか?~ゲラなヒロインとスベる俺が青春を沸かす話~  作者: たーたん
第一章 東高等学校はじまり編

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25話 わらおー会の休日③ 謎かけ大戦!~その心は~編

「謎かけってなんですか……?」

「なになにとかけて、なになにと解きます、その心は! どちらもなになにです、とかなになにでしょう、とか聞いたことないです?」

「ああっ、そういえば一時期流行ったような……」

「うんうん、流行った! お題をもとに考えるんです。全く別物の、無関係そうに見えるやつを出して、ダジャレでもなんでも共通する何かを言うんです! これ、めっちゃ頭使うから、勉強にもなるし個性が出て楽しいんです!」


 ファナさんの家についてから、お茶してお菓子たべてファナさんコレクションを見た。勉強を一切しない俺たちは、白井さんの思い付きで謎かけをすることになった。


「例えばせやなあ……。めっちゃ単純ですけど、『ファナちとかけて、ナイフと解きます。そこの心は、どちらもキレるでしょう』とか!」

「ああっ!」


 カチンとパズルがハマったような感覚に思わず声が出る。


「うう、ほのちゃんったら……せ、先輩も納得しないでくださいっ」

「勉強なんかよりそっちのがいいな。やろう」


 最初からやる気のなかった女子さん。

 そういえば女子さんはほぼ手ぶらだった。ああ、ファッションチェックのとき、ここもポイントだったのか? と、今更ながら反省点が浮かぶ。


「ファナは苦手ですけど……やってみますっ」


 巻かれた毛先をくるくる指で遊びながら白井さんはお題を考えている。


「お題は期末テスト!」


 期末テスト対策の勉強会で、勉強をせず、期末テストのお題で謎かけを考えようとしている俺ら、これいかに。むしろこれがわらおー会か。


「はい! 整った!」


 真っ先に手を挙げたのは女子さんだった。まだ1分も経ってない。この女子さんの被弾を恐れず先陣を切る姿勢は本当に見習いたい。

 でも整いましたって? サウナ?


「期末テストとかけまして!」

「その心は!」


 白井さんが右の手のひらを女子さんに向ける。

 

「……かけまして!」

「はい、その心は……?」


 わかった、これ、言いながら考えてるやつだ。もう二人の顔がにやついているので雰囲気で察する。

 何度かけん制し合うような「かけまして」と「その心は」のやり取りが続く。


「あ! 豚肉! 豚肉と解く!」


 閃いたように女子さんの声のトーンが高くなった。


「その心は!?」

「赤はだめでしょう!」

「おー! こーちゃん追試免除!」

「よっしゃ!」


 白井さんがパチパチと拍手する。

 なるほど……。赤点と、焼き加減を例えたのか。

 ん? もしかして女子さんは赤点さえ回避できればいいって思ってる?

 その考えは赤信号だ。


「じゃ、じゃあファナも……」


 え、なんだって――!?

 

 小さく手を挙げるファナさん。もしかしてこういうことに慣れているのだろうか。突然白井さんから繰り出されるお題に鍛えられているというか。

 苦手と言う割には頭の回転速度が俺とは別次元の位置にいるようだ。


 顎をつねり、刺激を与えながら俺も考える。

 期末テスト……、期末テスト……。


「期末テストとかけまして、鬼畜仕様初見殺し理不尽死にゲーと解きます……」


 なんか物騒な言葉が出てきた。


「きち……しに?」

「あ、凄く難しいゲームっていうこと、だよ」

「ふむふむなるほどね。それじゃ、その心は!?」

「どちらも……コンテニュー前提で挑みます……!」


 一瞬だけかみ砕く仕草を見せる白井さんだったが、すぐに意味を理解したのだろう、


「あはは! ファナちの意思表示で草! 諦めないでファナち! 追試免除!」

「やった……!」


 最初から死に戻りする気だったファナさんも白井さんからの免除を得る。

 二人とも大丈夫? 留年しない?

 俺が戦慄していると、白井さんがにんまりと笑って俺を見た。


「ほな、次はうちな!」


 いたずらっぽく細めた目線は、次は俺だと語っている。


「期末テストとかけまして、ダイエットと解きます」

「その心は――本気を出すのは明日からでしょう」


 じゃあ今日、この場は一体!?


「いや、みんな勉強やりましょう!?」


 考えていた内容も吹っ飛んで思わず声を出していた。

 だって、みんな一貫しての裏テーマが「やる気ない」なのだ。この連携力に脱帽する。体がこの輪に混ざらないともったいないと急かされた気分だった。


「うお、ナイトメアが大声でツッコんだぞ!」

「梶くん、ナイスツッコミです!」


 何を言っているんだと顔が熱くなるが、それ以上に白井さんも女子さんもリアクションで返してくれるし、ファナさんも満足そうに俺を見ている。

 だから清々しさが残った。こうやって前に出てもいいのかもと思えてくる。 


「さあ、最後は梶くん! ビシッと締めてください!」

「はい……」


 よし、この勢いを味方にしてひねり出して見せる。

 目をつぶり脳みそフル回転。思考の増幅は回転力。

 両手の人差し指をこめかみのあたりで円を描く。


「なんか既視感ある考え方!」

「と、整いました」


 俺はおもむろに口を開く。


 期末テストとかけて、

 凍ったお肉と解きます。

 その心は――


「どちらもかいとうが必要です!」


 出した。考え抜いた渾身の回答を。

 正直、女子さんの答えをヒントにしたのだが。


「最近、武将とかの名前にセンスを感じるのよ」


 スティックのお菓子を食べながら女子さんはスマホをいじり始める。


「へえ、どんなん?」

「これ。元親もとちかとか。一周回って今どきだなって」


 検索して出てきた画像をみんなで見ていた。


「あ! その武将! ファナ、ゲームでよく使ってます!」


 ……これが、スルーというオチか。

 きっとどんなことを言ってもそうするつもりだったんだろう。

 この三人、まるで桃の園で契を結んだかのように一本の絆で結ばれている。


「好きな武将と同じ苗字の人、羨ましいって思ったことあります」


 自然に会話に入ってみたら、違和感なく受入れられ会話が進む。


「それはある」

「はい……ファナ、漢字の名前に憧れます」

「例えばなんかある? 梶くん」

「長宗我部さんとか」

「モトチカモトチカ!」

「おる?」


 この謎かけで彼女たちの輪に入れたような気がした。


 そうして、勉強は一切しないまま陽が沈んでいくのだった。

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