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お笑いとラブコメは混ざりますか?~ゲラなヒロインとスベる俺が青春を沸かす話~  作者: たーたん
第一章 東高等学校はじまり編

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14話 忍び寄る飢えた野郎たち、業(かるま)

「お前は敵だ」


 夜、ゲーム配信しているとき電話が掛かってきた。

 視聴者は相変わらず【0】なので、無言でマイクをミュートして電話に出ると、いいきなり清水に宣戦布告された。


「急になんだよ」

笑同わらどうことお笑い同好会は、梶悠翔かじはるとを最重要監視対象者とした」

「さ、え?」

「俺はそのメッセンジャーであり、貴様に正義の鉄槌を振り落とす執行者でもある」

「切るけどいい?」

「待って!」


 冷静に返事をすると、清水は素に戻って説明しだした。


「お前がわらおー会に入った件、笑同に激震が走ったんだよ」

「よく揺れるみたいだけど大丈夫なの?」

「先輩から聞いたよ。大喜利でのお前の回答、白井さんが笑ったって。裏で激震が走ったみたいだぞ、あのとき」

「それは俺も」


 長くなりそうなので配信を切ってベッドに寝転がる。


「お前、お笑いやるんだよな。12月のお笑い王座決定戦も出るのか?」

「んー……やってみることにした。王座決定戦は。あ、いや。まだわかんない」


 白井さんからコンビ名が決まってエントリーするまでは秘密! って言われている俺は曖昧な返事で濁す。


「……別にお前が出ようがいいや。ほのかちゃんはもちろん出るんだよな?」

「どうだろう、今日は一日ゲームの話してたし……」

「はあ!? ほのかちゃんがゲーム!? なに、なにやってんの?」


 誤魔化そうとしたつもりが墓穴を掘ってしまったようだ。


「あ、いや、アレ。イクシリオン・アルファってやつ」


 思いついたのはファナさんがランカーとして日々激戦を繰り広げているカードゲームだった。プロも存在して、世界大会もあるらしい。

 俺も含めてわらおー会のメンバーは、ファナさんの強いおススメもありインストールだけしている。ほとんどプレイしていないようだが。


「まじで!? 俺もやってる! みんなってファナちゃんとか女子ちゃんもだよな」

「なんで知ってるの!?」

「お前なその無知さは罪だぞ! わらおー会のトリオは超有名だよ」

 

 耳元で清水の盛大なため息が聞こえる。

 溜まらずスマホを離してスピーカーモードにした。


「金髪ツインテという最強のあざとさを身に纏いつつも、実は大人しくて緊張しい。奥ゆかしさを併せ持つ清楚なファナちゃん! 小麦色の肌に長い脚はまさに健康優良児! 気さくで大らかな性格は誰もが手が届きそうと思わせる女子ちゃん!」


 清水はある意味で客観的な白井さんたちの評判を説明役として重宝するかもしれない。情報の大元はお笑い同好会による偏見が多く混じっているのだろうけど。


 それにしてもそのキャッチは誰が考えたのだろう。

 今思いついたのだとしたら相当だぞ。


「……」

「おっと、そんな話をしに電話したんじゃなかった。俺はさ、笑同会長直々にお前の監視役に選ばれたわけ。会長はわらおー会をお笑い同好会と併合させたいのよ。うちに二つもお笑いに関する同好会あったら誤解されちゃうかもだろ?」


 とどのつまり、俺の存在はお笑い同好会に知れ渡り、わらおー会に白井さんから誘われた入ったけしからん奴として認識されたらしい。

 大喜利大会で回答した俺のネタは、白井さんにどう響いたのかが今日の活動のテーマになり、熱い議論が展開されたとかどうとか。


「友達のよしみでちょいちょい情報提供してくれよ。そうすりゃ俺は笑同での地位を確立できるし、俺がお前のマークを弱めるように進言もしてやれる」


 俺は賞金首か何かになったのか?

 それほど俺がわらおー会に入ったことは、お笑い同好会にとって衝撃的なことだったのだろうか。

 なんにせよ、男の園だった中に、ぽんと入った白井さんは神格化されて当然の存在だったのかもしれない。

 白井さんの笑顔の虜になっちゃったとか。それならわからなくもない。


「笑同の情報も流すからさ。誰と誰が組んだとか」

「やめとけよ清水。そんな情報屋みたいなことはさ。お前の格が落ちるだけだぞ、俺もやだよ、そんな清水見るの」

「……まあ、な……。ほのかちゃんのことは知りたいから話聞く分にはいいけど、こそこそ探って報告してとか、そんな真似、俺だってほんとはやりたくねえよ」


 スピーカーの向こうで清水が息を呑む空気を感じる。


「でも単純に羨ましいんだよお!! お前がほのかちゃんと喋って、わらおートリオと同じ空間にいるんだろ! 間近で見てるんだろ!? 羨ましすぎて禿げそうなんだよ! ちょっと前まで俺と同じ側だったんだからわかるだろこの気持ち!」


 清水が大喜利大会を休んでなければ、清水が俺を代打として呼んでなければ、白井さんとの接点は生まれなかっただろうし声だってかけられることもなかった。


「うん、正直言うと俺もまだ現実味がないというか、ふわふわしてる」

「いいなあまじで。なあ、俺もわらおー会に入れてくれるように言ってくれない?」

「本気なら聞くだけ聞いてみるけど。でも抜け駆け禁止とか言ってなかった?」

「……そうだった。うう、俺は縛られている」


「白井さんをそこまで気にする理由はなんなんだよ。男だけの同好会に女子が入ってきて特別に見えたのはわかるけど、もう辞めたんだし。しつこく気にしたり追っかけたりしてると、悪いことしか起きないぞ」


 俺の一声に清水がバリバリと頭を掻いてる男が聞こえる。

 もしくはポテトチップスでも食べているような音にも聞こえる。


「もぐもぐ。決まってるだろ……女子成分が圧倒的に不足してるからだよ」

「女子成分……?」

「今までは何ともなかったんだよ。女子がいないなんて当たり前だったからな。でも知ってしまったんだ。笑同は味わってしまったんだよ。女子と一緒に活動するっていう、未知の領域に足を踏み入れてしまった」


 つまり、と仰々しく前置きして黙る清水。


「女子に――飢えてるんだよ」


 それは思春期を生きる男子の心の叫びだった。

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