第14話 ゲームクリア
修道院にある金の子牛の像が撤去された。他にも修道院にあった偶像的なものは全て撤去された。
アシュラは小麦粉アレルギーを発症し、長期入院する事になった。全身、ボツボツができて大変な状況らしかった。
ルナもこの修道院から去っていった。この修道院のお金を使い込んでいたことがバレたからだ。意外とアシュラはお金の不正はやってなく、逆にルナに風俗通いなどで脅されているようだった。
修道院から出土された白骨遺体も大スキャンダルになっていた。連日、警察や新聞記者が押し寄せてきたが、結局犯人は不明という事になってしまった。
かなり昔の白骨遺体も出土し、アシュラやルナも関わっていないものも多そうだった。
白骨遺体は、菓子工房の地下からも多数見つかり、しばらく修道女達の仕事も中止になった。
その変わり、エリーニャ達は修道院の礼拝堂に集まり、聖書の勉強をしていた。讃美歌の練習をしやり、エリーニャが説教した事もある。ほぼ毎日礼拝状態だった。
やはりこちらの世界の人は、スピリチュアルやカリトのイメージに毒されてなく、素直に神様の事を受け入れてくれた。
特にジュリーは興味を強く持ってくれたようだった。
「エリーニャ先生、その聖書って一人一冊持てないですの?」
聖書勉強中、ジュリーは聖書をかなり欲しがっていた。
聖書をあげたいのが、この世界にはない。仕方がないので、エリーニャが記憶している限り紙に書き出し、ジュリーに教えていた。いちいち紙に書き出す作業は、めんどくさかったがアバターの肉体では疲労感を持たないのが良い事だ。結局連日徹夜し、エリーニャが記憶している限りの聖書を紙にうつす事になった。
今はすっかりこの修道院で「先生」と呼ばれ、宣教師兼牧師をやっていた。
洗礼希望者もあとをたたず、結局全員洗礼を授けてしまった。
元いた世界では、絶対ないようなあり得ない状況だった。
やっぱり夢みたいだ。元いた世界では、迫害というほどでもないが、牧師やクリスチャンというだけで、酷い目に遭ってきた事もある。
「なんか扉でも開いて元の世界に戻ったりしないものかね?」
エリーニャは、一人礼拝堂の裏庭にいきつぶやいた。
確かに今の生活は夢のようだったが、ずっとこのままでは居られない。
エリーニャは、膝をつき、再び祈りはじねた。
この世界は確かに素晴らしいが、決して現実世界ではない。
みんなすぐに神様を受け入れてくれるし、修道女達のハーレム状態も夢みたいに楽しかった。
でも、所詮ここは非現実世界だ。いつかは帰らなくてはならない。
この修道女達も自分がいなくても大丈夫そうだ。一応聖書の事は全部教えたし、礼拝堂もある。アシュラやルナもいなくなった。ここにいる修道女達も全員架空の存在で嘘かもしれないが、あとは聖霊に任せる他ないだろう。
「イエス様の御名前によってお祈りいたします。アーメン」
そう言った瞬間だった。
突然、目の前が光に満たされてた。眩しさに目が開けられない。
現実なのか夢なのかわからないが、光と同時にこんな言葉が現れた。
「ゲームクリア!」
よかった!
これで帰れる!
安心したのも束の間だった。エリーニャ、いや恵理也の意識がぷつんと途切れた。




