Aチーム29
「ヴァッハッハ!」
武蔵は高笑いをしながらアシュバルに左ストレートを仕掛ける。
「ワッハッハ!!」
同様にアシュバルも拳を振り下ろし、両者の拳は鈍い後をたてながら衝突する。
武蔵はスキル:無敵の左手の恩恵で無傷であるが、アシュバルもその強固な拳に傷一つついていなかった。
「衝撃波」
続け様に武蔵は衝撃を纏った右拳をアシュバルの顔面に叩き込む。
その衝撃は確かにアシュバルに効いているようで、歯が欠けると同時に少量の吐血をする。
「砕拳」
しかし、すぐさま反撃の拳を武蔵の胴体に叩き込むと、武蔵は数メートル吹き飛ばされてしまう。
「地衝」
地面に背中から倒れてしまうが、すぐさま立ち上がり地面に衝撃波を叩き込む。
衝撃波は地面を伝ってアシュバルの足元を襲いかかるが、アシュバルは機敏な動きで回避し武蔵の元へ駆け出す。
「崩拳」
アシュバルは灰色の魔力を纏った拳を武蔵に振り下ろす。
この拳は先程武蔵を吹き飛ばしたものより数段強力なものである。
だが、それは武蔵の左手によって容易く受け止められる。
「ヴァッハッハ!
舐めるなよ!!」
驚愕の表情を浮かべるアシュバルの隙をついて武蔵は右足でアシュバルを蹴り飛ばす。
もちろんその攻撃に衝撃波は纏っており、アシュバルの体を数メートル程吹き飛ばす。
「ワッハッハ!
そう来なくてはな!」
アシュバルが蹴られたお腹をさすりながらゆっくりと立ち上がる。
「ぬ?」
ここで疑問を抱いたのはアシュバルである。
それは武蔵の背後にある扉が開き素早い動きで武蔵の横を通り過ぎたからだ。
アシュバルは咄嗟にその人物に手を伸ばすが捉える事は出来ず、アシュバルの真上を抜けられ奥へと進まれてしまった。
「なるほどな、任せたぞ」
その正体に武蔵は気づいており、その表情には笑みを浮かべていた。
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カラカラカラカラカラカラ
ネクロと相対している清矢は大量のスケルトンに囲まれており、既に全身に大量の切り傷を負っていた。
部屋中に広範囲の一撃を叩き込んで一掃しないのは残りの魔力を気にしてのことだろう。
「頭蓋の怨念」
さらに、奥にあるネクロの周辺にいる数体の頭蓋から緑色の光線が放たれており、この攻撃はスケルトンを貫きながら清矢に襲いかかっていた。
「くっ、、」
清矢はその緑の光線を避けるが、意識が散漫になってしまったことで近くにいたスケルトンの攻撃を受けてしまう。
「無重浮遊」
清矢は重力を操作して自身の体を宙へと浮かせる事でスケルトンの包囲網を抜けようとするが、宙に顔を出した事でネクロの光線の的となってしまう。
「お前達も来い」
だが、清矢は地面にいた大量のスケルトンも宙に浮かび上がらせることで光線を防ぐ盾として利用した。
清矢がネクロ自身にスケルトンを始末させながらネクロの攻略法を思案していると、背後の扉が空き一人の少年が飛び出してきた。
「意識を取り戻したのか」
清矢は勢いよくネクロに向かってゆく英雄を見て僅かに頬を緩める。
英雄は低空飛行をしながら猛スピードで進んでいく。
ネクロの放つ光線の狙いはすべて空中の清矢に向いており、英雄の対処が間に合わずネクロは英雄の持つ剣に両断されてしまい、英雄はそのまま先へと進んでいってしまった。
「無駄だ。俺は死なない」
しかし、緑色の魔力に覆われることでネクロの体が復元すると、先に行った英雄には目もくれずに再び清矢に光線を放ち始める。
清矢の盾になっていたスケルトンはもういない。
「あいつが行くならもう俺の役割は終わった」
清矢は小さく呟くと両手の間に小さな黒い玉を生み出す。
「黒穴」
その黒い玉はかなりの引力を誇っておりネクロの放つ光線はもちろんのこと、ネクロ自身や周辺の地面や壁すら引きはがされ、吸い込めれていく。
唯一清矢だけが自身にかかる引力を無効化し立っていることができていた。
「しまった、、」
清矢の放つブラックホールによって地面がはがれることで地中に隠れていたネクロ本体も姿を現してしまい、地上で操っていた人形もろともブラックホールに飲み込まれてしまい消滅してしまう。
「なるほど、そういうことだったか」
清矢はブラックホールを消しながら、先ほどまで戦っていたネクロが偽物であった事を察した。
「ぐっ、、」
しかし、突如として清矢の全身は痛み出しその場に倒れこんでしまう。
これは清矢のEランクスキル:リミッター解除のせいであり、一時的に能力を飛躍的に高める代わりにスキルの効果が切れた際に一定時間気絶してしまうのだ。
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イシルと戦う愛は迫りくる氷の柱を風の力で浮遊しながら避け、避けきれないものは壊してイシルに接近していた。
「氷の衛兵」
対するイシルは氷でできた兵士を周囲に展開し迎え撃つ構えをとる。
「そんなもの吹き飛ばしてあげるわ!」
愛は自身の体を回転させると大きな竜巻を作り出してイシルに突撃する。
衛兵たちは次々に吹き飛ばされてしまうがイシルに焦りはなかった。
「氷の巨兵」
衛兵たちは吹き飛ばされながらも他の衛兵とくっついて大きくなっていき、竜巻と同じ大きさまで巨大化すると持っている盾で竜巻を受け止めた。
竜巻の中心にいた愛は風の勢いを失ったことで姿を現し、巨兵は大剣を愛に振り下ろす。
「針千本」
愛は咄嗟に地面に触れてスキルを使用する。
地面から大量の針が飛び出して愛を守るように重なり巨兵の大剣を受け止めると、愛はその隙をついてその場を離れる。
「風美鳥」
さらに愛は風で生み出した緑色の大きな鳥を生み出して巨兵に向かって放った。
風美鳥は大剣を振り下ろした状態で動きの鈍った巨兵の胴体をぶち抜き、巨兵の体は崩れていく。
「へぇ、やるわね」
その様子にイシルは関心を示すが依然として焦りは無かった。
「ただそろそろよ」
イシルのその呟きと同時に愛は体に違和感を覚える。
「指が、、動かない、、」
愛は両手の感覚を失っていたのだ。
「ふふ、私のこの氷の世界にいる生物は時間経過とともに身体の芯から氷漬けになっていくのよ」
イシルは不敵な笑みを浮かべながら再び氷の巨兵を作り出す。
「面倒くさいからさっさと退場して頂戴」
イシルが指示を出すと巨兵が再び愛に襲いかかる。
「そんなものもう一度!」
愛は再び風美鳥を出そうと魔力を練りだすが、指が凍っているせいでうまく魔力が練れない状態であった。
「しまった、、」
魔力を練れないせいで針千本のスキルすら発動することのできない愛はそのまま大剣に押しつぶされるのを待つのみであった。
「英雄の剣!」
しかし、突如英雄が愛の前に回り込んでくると光り輝く剣で巨兵の大剣を受け止め、はじき返した。
「英雄!」
愛は英雄の登場により一命を取り留め、何とか魔力を制御して風美鶏を放つことに成功する。
「増援?あぁもう、面倒臭くなってきたわね、、」
もう一度氷の巨兵は風美鳥に粉砕されるとイシルは見るからに怪訝な表情を浮かべていた。
「愛お姉さん!おれも加勢するよ!」
英雄は赤いマントをはためかせながら親指を立てて愛にアピールをする。
その表情は自信たっぷりの笑みを浮かべているのだが、英雄の顔にはへのへのもへじの描かれた仮面がついているため愛にはわからなかった。
「えぇ、早く倒して援護に行きましょ」
愛は凍り付いた指に慣れたのか魔力を練るスピードが戻ってきていた。
英雄が加勢したことにより、愛と英雄対イシルの二ラウンド目の戦いが始まったのであった。




