Bチーム
-Bチーム
四天王ネクロと戦う五色と煙橋であったが、五色は入口の方で煙橋とネクロの戦いを見つめていた。
五色の頭部には藍色の魔力が溢れており、このスキルは五感を強化するものである。
「スモークボム」
煙橋が手元に集約させた煙の球をネクロに投げつけると、ネクロは骨の剣を振り下ろして球を両断する。
しかし、煙の球は両断されると集約されていた煙が一気に暴発しネクロの体を粉々に吹き飛ばす。
「しゃぁ!どうだ!」
煙橋は確かな手応えを感じとりガッツポーズを見せるが、ネクロの粉々となった体は緑色の魔力を纏い数秒のうちに復元してしまう。
「無駄だ」
ネクロは冷めた視線を送りながら緑色の魔力を両手に練り出していく。
「…今のは?」
ただ、ネクロの復活の際に見えた不自然な魔力の流れを五色は発見したのだ。
「これ以上は時間の無駄だ。
終わりにしよう」
ネクロが両手を高く上げると何もない空間から大量の頭蓋骨が姿を現す。
「チッ、こりゃあヤバいぞ」
煙橋はネクロの生み出した頭蓋骨一体一体が大量の魔力を浴びている事に危機感を抱きながら五色の元まで下がる。
「おい!まだあいつの弱点はわかんねぇのかよ!!」
「弱点は分かった。
俺の指示した場所を攻撃しろ」
煙橋が怒声混じりに問いかけると五色は頭部の藍色の魔力を消しながら耳打ちで煙橋に指示を出す。
「それは良いが、まずはあいつの攻撃を防がないとだろ!」
煙橋は次々に口を開いて魔力を放とうとする頭蓋骨に冷や汗をかきながら警戒する。
「あれは俺が対処する。
任せたぞ」
五色はゆっくりと煙橋の前に立つと、両手を左右に広げながら白色の魔力を全身に纏う。
「頭蓋の怨念」
そんな中、ネクロの合図と共に大量頭蓋骨の口の中から緑色の魔力砲が一斉に放たれる。
「白色・染魔」
五色は前面に白い魔力の壁を生み出すとネクロの放った魔力砲とぶつかり合う。
白い魔力が緑に染まっていくと同時に五色の手元に吸収されていく。
放たれた魔力砲は魔力が吸収されていく事で無効化されていき、頭蓋骨から放たれた砲撃は全て五色へと吸収されたのだった。
ネクロの周囲に浮かんでいた頭蓋骨は魔力を全て撃ち終えた事で次々に消え去っていく。
「今だ!」
五色の指示と共に背後に立っていた煙橋が飛び出す。
「煙砲」
煙橋は両手に溜めていた煙を勢いよく前面に放つ。
「なっ!貴様!」
その狙いはネクロ自身では無く、ネクロの立つ地面であったがネクロはこれまでに見せたことの無い焦りの表情を浮かべた。
「呪壁」
すぐさまネクロは防御の魔法を放つが少量の魔力で作られた防御は十分に練られた魔力で作られた煙の砲弾に撃ち抜かれ、地面へ衝突すると爆音をたてながら爆発を起こす。
「グァァァア!」
ネクロの悲鳴が収まると爆発により発生した煙は煙橋の両手に集まっていく。
煙が晴れ、ネクロのいた場所は小さなクレーターが出来ていた。
先程までならすぐに復活していたネクロも復活する気配が無かった。
「やったのか、、?」
「バカが!フラグを作ろうとするな!
まぁ、間違い無くやっただろうけどな」
五色は煙橋の頭にチョップを繰り出してツッコム。
「奴の本体は奴の立っていた地面の中に潜んでいたんだ。俺らが戦っていたのはただの人形。だからいくらやっても無駄だったってわけだ」
五色は緑色の魔力を自身と煙橋に纏わせる。
すると、二人に付けられた切り傷などが綺麗に消えていく。
「お前のスキルは一体なんなんだ?」
煙橋は先程のネクロからの攻撃を受け止めたり、自信を回復させる五色のスキルについて何のスキルか検討もついていない様子。
「決勝で戦うかもしれない奴に教えねぇよ」
そんな煙橋の問いを五色は笑って受け流す。
五色のユニークスキルは「白色」
魔力を白色の魔力へと変化させる能力である。
白色の魔力に攻撃能力は無く、人や魔物に当たっても何も起こらない。
虹色[赤・橙・黄・緑・青・藍・紫]のどれかの魔力に接触して初めて意味をなす。
白色の魔力は虹色のどれかの魔力と接触すると魔力を吸収し触れた色へと変化し五色の中にある魔力としてストックされる。
変化した色の魔力はそれぞれの色で違う能力を発揮する。
4回戦の中で五色が発動した色と能力は以下である。
赤色:炎を生み出す。
橙:運動能力強化
緑:治癒
藍:五感強化
これらの色は4回戦が始まった当初に絵斗の放った虹色の魔力を吸収した事で現在使えている。
逆に言えば煙橋の放つ煙のように灰色といった虹色に含まれない魔法やスキルを使う者や、肉体強化系相手だと五色のユニークスキルは使い物にならないのである。
「おー、やってんじゃん!」
背後の扉が勢いよく開くとアシュバルと戦闘をしていた足立達が現れたのだ。
6人とも特に外傷は無いが、服がボロボロになっていることから激戦を繰り広げていた様子が分かる。
目に見える変化としては足立の背に生えていた翼が半分程の大きさになっていた。
「まさか、四天王の一人を二人で倒したのかい?」
部屋中がボロボロに抉られている状況を見た絵斗が二人に問いかける。
「あぁ、バッチリな」
五色が絵斗の問いに笑みを浮かべながら返事をする。
「へぇ、俺らが6人係でやった相手をな、、
よくやるぜ」
いつの間にか五色と煙橋の背後に回っていた田中が二人の肩を組んできた。
「やめろっつうんだよ」
煙橋は照れ臭そうに田中の腕を解きながらも、その表情は僅かに緩んでいた。
「まぁ僕達も魔力を節約した上で四天王を倒したんだ。本気でやっていればとっくに倒していたよ」
全員が二人を褒める中、金城はいつものように余裕のある笑みを浮かべながら突っかかっていた。
「バカ!ここは素直に褒めどきなさいよ!」
そんな金城の頭を足立は翼を使って叩いて叱る。
「何はともあれ次で最後の四天王だ。
気を引き締めていこう。って鈴木君が一人で先に行っちゃってるよ!」
糸川が場を纏めようとする中、空気を読まずに鈴木は一人奥へ進む為の扉に開けて進んで行ってしまった。
「おい!抜け駆けは無しだぞ!」
「あんたが言うんじゃ無いよ!」
五色が鈴木の後を追うように走り出すと、すかさず背後で足立のツッコミが繰り出された。
鈴木に遅れて7人が一斉に次の部屋へと進んでいく。
最後の四天王は氷の女王イシス。
「続々と、、めんどくさいな、、」
部屋中が氷で覆われており、Aチームと一緒の状況であるが一つだけ違っている点があった。
「おい!鈴木!!」
部屋に入ってすぐの場所には氷の銅像となった鈴木の姿があったのだ。
「ふっ、問題ない」
しかし、金城はそんな鈴木の姿を見ても焦る様子を見せない。
パキパキ
突如、鈴木を覆っていた氷がひび割れると鈴木の体が膨張していく。
鈴木の体が元の3倍程の大きさになると覆っていた氷は全て砕け散った。
「問題ないよー」
相変わらず間の抜けた口調ではあるが、その闘志は燃えていた。
そんな鈴木の横を五色が炎を足から噴射させて勢いよく通り過ぎるとイシスに向かって一直線に進んでいく。
「返り討ちよ」
イシスは目の前に氷でできた兵士を生み出すと、兵士は大きな盾を構えて防御体制を取る。
「あめぇ!」
五色は急に止まると旋回をし、イシスを避けるように奥への扉を目指す。
「氷壁」
しかし、五色の行手を阻むようにイシスが氷の壁を生み出す。
氷の壁は天井まで届いており、五色の侵入を拒んでいた。
「クソッ」
五色が減速しながらイシスへと振り返ろうとしたその時、頭上を七色の光線が通りすぎると氷の壁をぶち抜いた。
「最高だぜ!学!!」
五色は七色の光線を追いかけるように加速して氷の壁を通り抜けると、七色の光線に自身の白い魔力を押し当てる。
すると、白い魔力は七色へと変化し五色へと吸収されると光線は消え去る。
これで五色の持つ白い魔力は全て七色の魔力へと変換され、敵の攻撃を吸収する事は出来なくなったが全力でこの先に待つ魔王と戦うことができるようになった。
五色最大の幸運は3回戦、4回戦で同じく色を扱うスキルを持つ絵斗と同じチームになれたことだろう。
「早く魔王を倒しておいで」
そして、絵斗も自身の魔力の4分の1を使用する大技を二回も五色の為に使う程、五色を信頼して託す程この二人は通じ合っているのだ。
「あいつ気を抜くとまた!!」
そんな五色の後を煙橋が追いかけようとすると、両手両足に糸が絡みついて動きを封じた。
「ダメダメ!
何のためにここまで全員で進んできたと思ってるの」
「全員で魔力消費を抑えて四天王を倒し魔王の元に辿り着く。時間をかけても確実に全員で魔王との戦闘を行うんだ。無鉄砲なバカは一人で十分だよ」
金城は足元に広がる氷の上に金の絨毯を展開しながら、相変わらず五色をバカにするような発言をする。
「あ?」
そんな金城の言葉を聞くと煙橋はあからさまに不機嫌となる。
先程二人で協力して四天王と戦った事で仲間意識が芽生えたのだろう。
「カリカリしないの!」
イラつきを露わにする煙橋の頭を軽くチョップしながら足立は宥める。
「てめぇはウルセェんだよ!」
「は?」
堪忍袋が切れてしまった煙橋は足立に当たってしまうが、途端に足立の顔が般若のように恐ろしい表情となる。
「わ、悪かったよ。
ちゃんとやるっての」
煙橋は冷や汗をかきながら謝罪を口にすると素直にイシルと戦う事を宣言する。
「後ろでごちゃついて無いで早く援護してもらって良いかい?」
煙橋達が言い争っている間、前方では田中と鈴木、絵斗の三人がイシルと戦っており、いつの間にか煙橋と足立の側にやってきていた田中が呆れた表情を浮かべながら苦言を伝える。
「分かっているさ。
各自安全第一でいこう」
金城が指を鳴らすと同時に五色を除いたBチーム対イシルの戦いが幕を切ったのであった。




