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迷宮戦闘(ダンジョンバトル)  作者: 轟号剛


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四天王

-Bチーム


四天王アシュバルを無視して先に進んだ五色と煙橋の二人は新たな四天王と遭遇していた。


その名はネクロ。


肌は青白く目の下にうっすらと黒い影がかかっており、瞳は緑かかった灰色で深い光を宿した人型の魔人だ。


ネクロは黒いローブを纏い、首元に骸骨のネックレスをつけている。


そして、このネクロの待ち構えていた部屋には大量の骨の魔物スケルトンが湧いており、ネクロの指揮のもと煙橋と五色に襲いかかっていた。


「チッ、倒しても倒してもキリがないぜ!」


煙橋は舌打ちをしながら迫ってくるスケルトンを煙の槍で次々に粉々にしていくが、淡い緑色の光に覆われると数秒で元の体に戻ってしまう。


「奥にいる親玉を倒す必要がありそうだな、援護しろ」


五色は命令口調で煙橋に指示を出すとオレンジ色のオーラを体に纏う。


すると、五色の身体能力は向上しスケルトンを吹き飛ばしながら最短ルートでネクロの元まで駆け出す。


「俺に命令するんじゃねぇよ!

テメェが援護しやがれ!!」


煙橋は自身の足裏から煙を勢いよく噴射し自身を加速させて五色の作った道を追いかける。


煙橋が五色に追いつくと五色の後ろにピッタリとついていきながら手元に魔力で生み出した煙を集約させていく。


「…足を引っ張るなよ」


五色は目の前のスケルトンを薙ぎ払いながら後方にいる煙橋を一瞥する。


五色は自身が壁役となりネクロまでの道を作る事に渋々了承したのだ。


「骨嵐(スカルテンペスト)」


ネクロが掠れた小さな声で呟くと、部屋中にいるスケルトンの体が骨のパーツごとに分解され一斉に勢いよく五色と煙橋に襲いかかる。


前後左右の部屋中の全方位から襲いかかるこの攻撃に逃げ場はない。


「チッ、テメェに譲ってやる」


煙橋は不機嫌な表情を見せながら手に集めていた煙を地面に押し付ける。


すると、灰色の煙が五色と煙橋を守るように展開され分厚い壁となる。


骨達は煙に突き刺さるが貫通する事は無く、全ての骨を受け切ったのだった。


部屋中の骨を全て塞ぎ切った所で五色は煙から飛び出してそのまま無防備なネクロに向かって突っ走る。


オレンジ色のオーラで強化された五色の速度にネクロは反応が遅れてしまい、そのまま五色の手がネクロの心臓部を貫いた。


「楽勝だったな」


「死者(リビング)の剣(ソード)」


五色がネクロの体から手を抜きながら呟くと、ネクロが掠れた声を出しながら手から鋭い刀状の骨を生み出して五色を切り裂く。


「くっ、、」


五色は寸前の所で回避をするが、右腕に僅かな切り傷を負ってしまう。


「不死身か?」


ネクロが貫かれた心臓部の傷口は既に治っており、ネクロの体が無傷の状態に戻っている姿を見た五色は冷や汗をかきながら煙橋の元まで距離を取る。


「腐食(コロジオン)」


だが、ネクロが手を五色に向けると五色の切られた右腕に緑色の光が溢れ出し、腕がどんどん腐っていく。


「くそ!」


五色はすぐさま左手で右腕の根本を切り落とすと、落とされた右腕は完全に腐敗し骨となった。


「緑治(グリーンヒール)」


五色は右腕の付け根に緑色の魔力を集めると、右腕が再生していき、数秒後には元通りとなる。


「緑が切れちまったか」


五色は元に戻った右手を握ったりして感触を確かめる。


「どうする?

心臓を潰してダメなら全身を粉々にするか?」


煙橋は再び手元に煙を集約させながら五色に問いかける。


「それも試すべきだな。

だが、ダメだった場合奴には何かしらのギミックがある筈だ。それが分かるまで魔力を消耗しすぎるのはマズイ」


五色は全身に纏ったオレンジ色のオーラを消すと、今度は藍色の魔力を頭に集中させる。


「俺が奴の弱点を探す。

お前はできるだけ魔力を消費せず奴と戦ってくれ」


五色の指示に今度は突っかかる事はせず、煙橋は黙って頷きネクロの元へと駆け出したのだった。


-Aグループ


迷宮支配人と龍弥を倒した五人はそのまま次の部屋へと進む。


「数が多いな」


先の部屋に入るとF級魔物が100体部屋の中で待ち構えていた。


「関係ない、先へ進むぞ」


賢が魔力を練りながら戦闘準備をし始めるが、それよりも先に清矢が膨大な魔力を部屋中に放つ。


「超重力(グラビティ)」


すると、一瞬で100体の魔物が地面に押しつぶされて倒されてしまった。


(こいつは敵に回すと厄介だな)


そしてそのまま先へと続く扉に向かって歩き出す清矢に対して脅威を抱いたのは賢だけではないだろう。


順調に先へと続く扉を通るとBグループ同様に筋骨隆々の魔人、アシュバルが部屋の真ん中で仁王立ちしていた。


「ただでさえ既に5人と数を減らしてしまっている。

速攻で蹴りをつけるぞ」


すぐさま戦闘態勢に移る清矢を目の前に立つ武蔵が片手で制する。


「ヴァッハッハ。

相手チームと人数差が生まれてしまっているなら素直に総力戦やってる場合じゃないだろ」


武蔵は堂々とアシュバルに向かって歩みを進めながら大きな声で話す。


「武蔵さん、、」


その背中を見た勇が悲しそうな表情で呟く。


「お前達!こいつは俺がやる!」


武蔵は両手を左右に広げながら目の前に立つ四天王アシュバルを一人で相手すると決意を表明した。


「…わかったわ」


愛は武蔵の言葉を受けて自身の周囲に風を生み出して武蔵以外の四人を空中へと浮かび上がらせる。


「武蔵さん、先で待ってます」


賢が短く応援の言葉を呟くとアシュバルの頭上を飛び越えて奥の扉へと進んでいく。


武蔵は警戒していたがアシュバルは邪魔をする事なく相変わらず仁王立ちのまま動かないでいた。


「お前の漢気、気に入ったぞ!

望み通りサシでやってやる」


アシュバルは武蔵以外の四人が先に進んだことを確認すると組んでいた腕を解いた。


「ヴァッハッハ!

悪いがアイツらの援護に行かなきゃいけねぇ。

長く遊んでやれないぞ!」


それを見た武蔵が勢いよく駆け出すとアシュバルも同様に走り出したのだった。


-


先に進んだ四人を待ち構えていたのは大量のスケルトンを率いた四天王ネクロ。


「超重力」


しかし、大量のスケルトンは清矢のスキルによって一瞬で粉々に砕け散り、ネクロまでもが同様に体が砕け倒れてしまった。


「…マジかよ、、」


そんな圧倒的な力に若干顔を引き攣らせながら勇は呟く。


「早くいくぞ」


冷静に振る舞うように見える清矢であったが、その行動は焦りからくるものであり、明らかにオーバーペースであった。


恐るべき速度で強火力なスキルを放つ為の魔力を練るそのセンスは圧倒的であるが、プレイヤーに与えられる魔力量は全員が平等である。


清矢の魔力が尽きていない理由はDランクスキルの魔力回復速度上昇の恩恵を受けているからであるが、それにしても既に保有する魔力の4分の3を使い切っている状況なのである。


「蘇生(リバイブ)」


しかし、粉々になったネクロの体は緑色の魔力が溢れ出すとあっという間に元に戻ってしまった。


「先に行け。

こいつは僕が相手をする」


すると清矢はネクロの立つ周辺の重力を操作してネクロの動きを止める。


今度は全身を粉々にするのが目的ではなくネクロの動きを止める事が目的の攻撃である。


あくまで冷静を装いながら指示を出す清矢であるが、その頬には冷や汗が伝っていた。


「だったら俺が!」


勇が清矢の代わりに残ると言い出すが、賢が勇の肩を叩く事で収める。


賢は清矢の魔力が残り少ない事に勘付いたのだ。


「行きましょう」


それを見た愛も特に意見する事なく奥へと続く扉に向かって走り出す。


続いて賢も走り出すが、勇はその場で立ち止まったまま動かない。


「絶対魔王を倒してくるからな!」


数秒の沈黙の後、勇は意を決したように顔を上げると清矢へと振り向く事なく走り出した。


三人はネクロの周囲に発生している重力に巻き込まれないように大回りをしながら奥への扉へとたどり着き、先へと進んでいった。


それを確認した清矢はネクロの周囲の重力操作を解除して、反対に自身にかかる重力を軽くして身体能力を強化する。


(残りわずかの魔力を極力消耗せずにこいつを仕留める)


清矢は目の前のネクロを倒した上でまだ先へと進んでいった賢達の援護へと向かうつもりでいた。


「骨(スカル)の軍勢(マーチ)」


だが、そんな清矢の心をへし折るように部屋中に緑色の魔力が溢れ出すと粉々にしたスケルトン達が全員復活したのだった。


「問題ない。殲滅する」


清矢はその状況でも臆する事なく冷静にネクロを倒す方法について考えを巡らせていた。


-


先に進んだ三人を待ち構えていたのは最後の四天王であった。


部屋の中央に待ち構えるのは白い肌に氷でできたドレスを見に纏った人型のまものであった。


女性の姿をしたその魔物の背中や肩に小さな氷の翼の装飾が施されており、この部屋の全てが氷っており温度は氷点下まで下がっていた。


「あらあら、こんな所まで来ちゃったの?

面倒くさいけど魔王様の元に行かせるわけにも行かないわね、、」


最後の四天王の名はイシル。


イシルは手元に氷でできた槍を作り出すと、ゆっくりとやってきた三人に矛先を向ける。


「ここは


「こいつは


「私に任せて」


三人は同じことを考えており、三人ともが一人でイシルを相手し残る二人を魔王の元へと進めようとしていた。


そんな中、賢と勇を言葉を掻き消す程強い口調で愛が遮ると両手を正面に向けて暴風をイシルに放ち身動きを封じた。


3回戦で賢を信じて試合を託したように、今度も賢と勇に望みを託すことを決めたのだ。


以前までの愛では考えられない行動であるが、3回戦の終わりに両親から行動を認めてもらえた事でもう一度人を信じたいと、そう思ってしまったのだ。


「…わかった、、」


愛の決意を見て勇は今度は素直に身を引いた。


勇の中で先程の清矢との会話で覚悟が決まっていたのだ。


「良いのか?」


賢は最後に確認をすると愛は微笑みを浮かべながら頷きを返す。


「後は頼んだわよ、賢、勇」


それは三回戦で愛が死ぬ間際に賢へと託した言葉と同じであった。


「任せろ」


その言葉を受け取った賢は安心したように頷きを返すと勇と共に奥へと続く扉へ駆け出した。


「させないわよ」


イシルは暴風で身動きが取れない中で賢達の進路を塞ぐように氷の壁を出現させる。


「これを使え!」


勇は手に持つノコギリを二倍に増やし、賢に渡すと二人で同タイミングで氷の壁を斬りつける。


「無駄よ。そんな攻撃じゃ私の氷は砕けないわ」


しかし、イシルの予想に反して二人の攻撃によって氷の壁は壊される事になる。


「へ?どうしてかしら?」


暴風に晒されながらその光景を見たイシルは驚愕した表情を浮かべる。


二人がイシルの氷の壁を破壊できたのは勇の武器であるノコギリのお陰であった。


このノコギリは勇のEランクスキル'三ノコ'で出したものであり、このノコギリは触れた対象の魔力を削る能力を持つ。


魔力で生み出された氷の壁は硬度は関係なく魔力を削られて崩れたのだ。


障害の無くなった二人は扉に辿り着き魔王の待つ奥の部屋へと進んでいったのだった。


「ハァ、、行かれちゃった、、

面倒くさいけど、あんたを倒して追いかけないと、、」


イシルは前方に大量の氷の支柱を作り出して暴風を防ぐと、改めて愛を標的として捉える。


「二人の元には行かせないわ」


愛も暴風を解除すると自身の周囲に突風を引き起こして体を宙に浮かせる。


「あなたはここで仕留める」


四天王最後の戦いが幕を切ったのだった。


-


扉を通った二人を待ち構えているのは最終目標である魔王。


髑髏の仮面に真っ白のコートに身を包んだ人形の魔物である。


腰には一振りの刀が携えられており、膨大な魔力を放って二人を威圧していた。


「さぁ、始めよう」


魔王のその言葉と同時に賢と勇は無言で駆け出したのだった。


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