裏切り者
---Aグループ
賢達地上組はとうとう魔王城へと辿り着いた。
すると魔王城の中は左右の二手に道が分かれており、左手には愛と国重が立っており、右手には龍弥の腕の中で気絶している英雄がいた。
「一体どう言う状況だ?」
賢は事態の状況が掴めず三人に問いかける。
「ここのフロアでは左右の入り口の中の迷路で八つの宝玉を集め、この正面の扉に嵌めなければ先へと進めない仕様となっていた」
「だから私たちは左右二手に別れ迷路を探索する事にした。俺と英雄は右手の入り口から、私と清矢は左手から。英雄と龍弥さんは右手からね」
清矢と愛が交互に状況を説明する。
その二人の瞳は龍弥に疑いの目を向けていた。
「俺と英雄は右手の迷路に入ってすぐに別れて宝玉を探したんだ、、この迷路の中は何本もの分岐に分かれていたからな。ただ、いくつかの宝玉を見つけだした先で英雄が倒れている所を見つけこの入り口まで運んできたんだ」
龍弥は英雄が気絶している理由について簡潔にやってきた四人に説明する。
「俺達は左側の迷路で4つの宝玉を見つけたため、残り半分は右側の迷路にあると考え戻ってきた。そしたら龍弥が英雄を抱き抱えていたって訳だ」
清矢は龍弥を指差しながら淡々と話す。
「こっちは俺が二つで英雄が一つを持っていた。
つまり、あと一つ足らない状況だ」
龍弥はポケットから三つの宝玉を取り出すと正面の扉に向かって投げる。
すると宝玉は吸い付くように扉の穴に埋まる。
「もちろん、迷路の中は落とし穴や矢や火炎などの様々なトラップがあったわ。だけど、そんなんでやられちゃうなんて考えにくいと思うの」
「だから僕と風間さんは龍弥さんを疑っている」
愛と国重は単刀直入に疑惑を伝えた。
「おいおい、待ってくれよ!
それだけの理由で龍弥さんが黒だと断定するのはダメだろ!」
「迷路の中に強敵がいた可能性もあるし、左の迷路が右の迷路と繋がっている可能性もあるだろ!」
倍先は分身と共に龍弥の目の前に立つと必死に龍弥の弁明をする。
「皆落ち着いて!
今は言い争ってる場合じゃないでしょ。
とにかく最後の宝玉を探しに行こうよ」
花音は正面の扉の前に移動すると両手を左右に伸ばして言い争いを止めようと試みる。
「ヴァッハッハ!そうだな!
俺は探しに行くぞ」
武蔵は花音の意見を肯定しながらズカズカと右側の迷路に向かって歩き出す。
「待ってくれ」
しかし、その行動を賢が止める。
「なんだ?お前も犯人探しをしたいのか?」
武蔵はつまらなそうな表情を賢に向ける。
「違う。愛、宝玉を一つ貸してくれ」
賢の言葉に愛は首を傾げるが、素直に一つの宝玉を賢に投げ渡す。
「勇、試してみてくれ」
宝玉を受け取った賢はそのまま宝玉を勇に投げ渡す。
「・・・そういうことか!」
一瞬キョトンとした表情を見せる勇であったが、すぐに賢の意図を汲み取って宝玉を受け取る。
「二倍!」
勇が宝玉を右手で掴むと左手に全く同じ色と形の宝玉が模倣される。
「上手くいってくれよ!」
勇はそのまま二つの宝玉を穴に嵌める。
「考えたな」
清矢も同様に愛から一つの宝玉を受け取ると三つの宝玉を扉に嵌める。
八つの宝玉が扉に嵌ると扉は開き一本道が現れる。
「よっしゃあ!」
勇はガッツポーズをしながら笑顔を見せる。
「ヴァッハッハ!上手くいったな!」
武蔵も先程のつまらなそうな表情から一転し、嬉しそうな笑みを浮かべて賢の背中を叩く。
「英雄はこの先には連れていけない、、」
龍弥は英雄をそっと地面に横にする。
「魔物が来るかもしれない。
気休め程度だが、、」
賢は地面に両手を融合すると地面から生えた大きな手で英雄を包み込む。
「行きましょう」
愛の言葉に全員が頷きを返しながら一本道を進んでいく。
一本道の奥には更に大きな扉があり、その扉はゆっくりと一人でに開き始める。
「この音は、、銃弾よ!!」
空いた扉から無数の銃弾が花音達に向かって放たれたのだ。
「重力壁」
花音の言葉にいち早く反応したのは国重であり、目の前に超重力を発生させ放たれた銃弾を全て地面に落とした。
「次、大きな針のような者がきます」
「ヴァッハッハ!」
全ての弾丸が落とされると間髪入れず次の攻撃が扉の奥から放たれる。
すぐさま武蔵が飛び出し、左手で向かってくるドリルのような大きな突起物を受け止める。
「行くぞ!」
攻撃の手が止まった隙に龍弥が背中から翼を生やし扉へと突っ切る。
今度はミサイルが発射されるが竜化させた右手に弾き飛ばされ、扉の奥から攻撃を仕掛けてきた人物を捉える。
「よくきたのぉ。
ワシは四天王の一人迷宮支配人じゃ」
現れた人物は球体状の機械の中に座っており、手元にはいくつものレバーとボタンが配置されている。
迷宮支配人は白髪の老人の見た目であり、大きなメガネをかけている。
「小手調べの迷路で一人脱落者が出るなど笑ってしまったぞ。まぁ、それも理由があるみたいじゃが」
龍弥のすぐ後に他のメンバーも扉の奥に到達すると、迷宮支配人は彼らを嘲笑った。
「まぁ八人いたところでワシに勝てるわけが無いがな!」
迷宮支配人が一つのボタンを押し込むと賢達の立つ両側の壁が勢いよく迫ってくる。
「融合」
いち早く対応したのは賢であり、両手を地面と融合させ地面から左右に巨大なコンクリの手を生やし壁との衝突を防ぐ。
「まだまだじゃぞ!」
迷宮支配人は今度は複数のボタンを乱打する。
すると今度は正面の地面が割れて中から一体の戦士の姿をした大きな機械が現れる。
背中のハッチが開くとその中に迷宮支配人の乗る丸い機械が入る。
「ウォリアーα!
こやつらを蹂躙しろぉ!!」
機械の中から迷宮支配人の声が響くとウォリアーαと呼ばれた機械は動き出す。
「解体してやるよ!」
真っ先に迎え撃つのは勇。
空中に高くジャンプすると勢いよくノコギリを振り下ろす。
「なっ!」
しかし、次の瞬間勇の体は両断されてしまう。
ウォリアーαの手に握られた大剣が素早い動きで振り上げられていたのだ。
「へぇー、中々やるみたいだな」
どうやら切られたのは分身のようで、本体は賢の後ろから笑顔で現れた。
「問題ない。
人数差で押し切るぞ」
清矢がメガネに触れながら能力を発動する。
その場にいる全員にかかっている重力を軽くして身体能力を向上させたのだ。
「ヴァッハッハ!いくぞぉ!」
武蔵の叫び声と同時に全員が動き出す。




