鉄×手品
「ホワイトマジシャン!
アイアンファイター!
こっちへこい!!」
賢は精一杯に大きな声を張り上げる。
「ふふふ、分かりました」
ホワイトマジシャンは10のカードを二枚手元に出すと、さらにもう二枚の10のカードを塵にする。
すると、手元に残した10のカードは5とKのカードにそれぞれ変化する。
「何だかしらねぇが、やらせるわけねぇだろ!」
右京にも賢の言葉は聞こえており、ホワイトマジシャンが何かする前に殴りかかる。
「やらせぬ!!」
ホワイトマジシャンの前にアイアンファイターが割って入ると大きな鉄の盾で右京の攻撃を受け切った。
鉄の盾は砕け散りアイアンファイターも吹き飛ばされてしまうが、そんなアイアンファイターの体に5のカードを押し付けて賢の元へ転移させる。
「クソが!!」
右京は残ったホワイトマジシャンに腕を振るうが、Kのカードによって転移された事で手は空を切った。
「小僧!
策とやらは何だ!」
アイアンファイターは片膝を地面について息切れを起こしながら賢に問いかける。
「お前らを融合する。
それしか道はない」
賢はアイアンファイターとホワイトマジシャンの両方に手を向けてスキルを使用する。
「ふふふ、シャドウと猫男の融合が可能という事は我々も可能という事。考えましたね」
ホワイトマジシャンが賢の意図を汲み取って感心した様子を見せる。
「【融合】対象はホワイトマジシャンとアイアンファイター」
ホワイトマジシャンとアイアンファイターは液体のように溶けて混ざり合うと、一つの黒い球へと変化する。
その間にも右京が猛スピードで賢の元へと向ってきていた。
「しねぇ!!」
右京が賢に対して腕を振り下ろすと黒い球がヒビ割れ、一人の男が賢の前に割って入った。
「硬貨奇術」
男が一枚の硬貨を親指で弾くと硬貨は空中で消え去る。
すると、男の周囲から数十の硬貨が現れ回転をしながら右京の振り下ろされる腕目掛けて放たれる。
硬貨一つ一つの威力はかなりのもので右京の腕を弾き飛ばすのに充分な威力であった。
「てめぇは何だ!!」
右京は突然現れた人物に驚きながら6本の腕を上空に振り上げる。
「余は硬貨手品師」
黒髪の短髪で40歳程の年齢。
長身で王冠に真っ赤なマント。
大量の硬貨のアクセサリーが装飾されたコートを身に纏っている。
「誰が来ても無駄なんだよ!!」
右京は仁王立ちするアイアンマジシャンに6本の腕りおろし吹き飛ばそうとする。
「弱点が無防備だぞ」
アイアンマジシャンは服に付いた硬貨を一枚とると再び親指で弾く。
「硬貨の弾丸」
弾いた硬貨はその場で消え去ると右京の足元から突如現れそのまま銃弾のような威力で右京の胴体を貫いた。
「ギャァァァ!!」
右京は派手に吹っ飛びながら叫び声をあげる。
「どうやら成功したみたいだな」
賢はアイアンマジシャンのその力を見て安堵のため息を吐いた。
「余が出てきたからには敗北は無い」
アイアンマジシャンは余裕そうに賢に振り返ると顎に手を当ててドヤ顔で賢を見下ろす。
「おい、後ろ!!」
賢はアイアンマジシャンの背後から迫る巨大な球体を指差しながら後退してそれを避けようとする。
「なぬ!」
アイアンマジシャンが焦ったように振り返るとその球体はもう目の前まで迫っていた。
一つの硬貨を握りながらその球体を殴りつけると球体は逸れる。
しかし、アイアンマジシャンの右腕は関節が二倍に増えたかのように曲がってしまっており、使い物にならなくなってしまった。
「これで俺に弱点は無い!
俺の勝ちだぁ!!」
球体の正体は体を丸めて腹部を隠した右京であった。
右京はそのままの勢いで転がり続けると再び賢とアイアンマジシャンへと向かってゆく。
「言った筈だ。
余に敗北は無い」
アイアンマジシャンは両手の指の間に8枚の硬貨を挟んで投げると空中で硬貨は消え去る。
「終わりだぁ!!」
右京が叫びながら賢とアイアンマジシャンへ転がってくると、地面から勢いよく巨大な硬貨が飛び出して右京を空高く浮き上がらせる。
「やれ、賢よ」
アイアンマジシャンが地面に落ちる硬貨を指差しながは賢に命令する。
「融合!」
賢が硬貨に触れると硬貨は姿を変えて一本の巨大な針へと変わる。
「無駄だ!
俺の硬さで全て壊してやる!!」
空中から落ちてくる右京は自信満々の笑みを浮かべながら針へと落下していく。
右京は頭から落下し、針と衝突すると頭に出来ていたヒビがさらに大きくなり頭を覆う殻が完全に砕ける。
「硬貨の弾丸」
アイアンマジシャンが弾いた硬貨が空中で消えると右京の顔前に現れ、弾丸のような威力でその頭蓋を貫いた。
瞬く間も無く右京の体は光の粒子となり粉々に砕け散った。
「やったな、賢」
アイアンマジシャンは折れていない左拳を賢に突きつける。
「あぁ、俺たちの勝ちだ」
賢は笑みを浮かべながら拳を突き合わせるのだった。




