風見愛
「愛!
何で100点が取れないの!」
「風見家は常に完璧でなければならない」
「他人を信用してはダメ。
全部自分一人で解決しなさい」
「よく出来たわね!
あなたは自慢の娘よ!」
「どうした?
そうか、、よくやったな、、」
「迷宮戦闘の抽選を通ったの!?
良かったじゃない!!」
「分かるな、愛?
1番だ」
-
右京の拳を喰らい一瞬意識の飛んでいた愛はすぐに覚醒すると、周囲の風を両手に集めて目の前で拍手をする要領でぶつけ合わせる。
「私はこんな所で負けられないのよ!!」
愛の両手から放たれるのは凝縮した風の波動。
追撃を仕掛けようとした右京の拳を弾き飛ばし、そのまま右京の腹部へと突き進むが右京は残った七本の腕を腹部の前で交差させる事で防ぎ切る。
「後ろがガラ空きだ」
その隙を賢は見逃さず巨岩人形の拳は右京の羽の付け根に綺麗にヒットした。
パキパキと乾いた音とともに、羽を支えていた関節が潰れた事により右京の羽はその動きを止めた。
「ぐぁぁぁ!!
いてぇええ!!
ふざけんなよ!!」
右京は悲鳴をあげながら振り返ると2本の腕で体を支えて、残りの6本の腕で賢の操る巨岩人形に乱打を繰り出す。
一発一発が確実に当たる部位を破壊する威力を誇り、巨岩人形は一瞬でボロボロに崩れ中にいた賢は吹き飛ばされてしまった。
(魔力を消費しすぎた、、
もう巨岩人形を出せる程の魔力は残ってないか、、)
右京は巨岩人形から飛び出した賢を捉えており、素早い動きで針のような手を突きつける。
「くっ、回避出来ない」
賢は両腕をクロスさせ自身の体を守ろうとするが、強力な一撃を繰り出す右京の攻撃を防げる訳が無い。
「そんな、、間に合わない!!」
離れた位置にいる愛は突風を右京に放つが、それが届くよりも先に右京の拳は賢を貫くだろう。
「ここまでか、、」
賢は諦めその目を閉じる。
しかし、右京の攻撃は賢に届く事はなかった。
「遅いぞ」
賢はゆっくりと目を上げながら笑みを浮かべた。
「ふふふ、これでも急いだのですが」
目の前にはホワイトマジシャンが立っており、水色のシールドを張って右京の拳を防いでいたのだ。
ホワイトマジシャンの体は所々に切り傷があり、血が滲んでいたが致命傷は受けていないようであった。
「はぁぁぁ!
鉄槍」
そんな中、上空から大きな声をあげながら一人の老人が落ちてくる。
自身の右手を大きな鉄の槍へ変換させたアイアンファイターは落下の勢いを使って右京の頭へ鉄槍を振り下ろす。
「ガハッ」
右京の頭にヒビが入るが直ぐに頭上にいるアイアンファイターを殴り付ける。
アイアンファイターは両腕を鉄に変化させて身を守るが勢いに負けて大きく吹き飛ばされる。
「愛様ぁあ!!
ご無事で何よりです!!」
アイアンファイターは愛の無事を吹き飛ばされながら確認すると大声をあげた。
「片付けて来たのか?」
賢がホワイトマジシャンに確認を取るといつも通りの笑顔でホワイトマジシャンは頷く。
「影猫達を失う事にはなりましたが一掃してきましたよ」
ホワイトマジシャンは8のカードを手に出すと大鎌を出現させながら答える。
「こいつはプレイヤーとユニークが合体してる!
羽は潰した。
残る弱点は腹部よ!!」
愛は大声で右京の情報を伝えると風を両手に集める。
「全員捻り潰してやる!!」
右京はまず孤立している愛を標的にしたようで8本の腕を駆使して猛スピードで体当たりを繰り出す。
「風陣」
愛は自身を中心に竜巻を起こす。
右京の頭が竜巻に触れると体が逸れて愛の真横を通り過ぎた。
「クソ!」
右京は愛を諦めそのままの勢いで賢とホワイトマジシャンに向かって駆け出してゆく。
しかし、それを予測していた二人は左右に分かれて右京の突進を避ける。
「こざかしい!!」
右京は一本の腕を軸に回転するとそのまま賢へと迫る。
しかし、賢の逃げる方向には愛が待ち構えておりスキルを使う準備を整えていた。
「針千本」
このDランクスキル(針千本)は自身を中心に細長い鉄の針を地面から突き出させるものである。
突如右京の足下から鉄の針が飛び出してくると、一番柔らかい部分である腹部に数十の針が突き刺さる。
「いでぇぇぇえ!!」
それでも致命傷を与えるに至らなかったが、右京はその痛みに悶絶しながら叫び散らかす。
「さっさとしねよぉぉお!!」
右京は針に腹部を貫かれながらも強引に体を動かして愛に向かって腕を振るう。
「キャァ!!」
愛は風を目の前に展開して守ろうとするが、右京の手は容易く風を切り裂き愛の横腹を貫く。
「愛さまぁぁぁぁあ!!!」
アイアンファイターが怒り狂いながら全身を鉄のフルアーマーで覆い、右京の顔面に強烈な一撃を叩き込む事で右京を吹き飛ばす。
「ホワイトマジシャン!
回復を!!」
「わかっています」
賢が指示を出すのと同じくホワイトマジシャンがKのカードを出して愛の元へ転移をする。
すぐさま4のカードを二枚手元に出すが、前方より凄まじい勢いで飛んでくる大きな針が三人に向かって来ていた。
これは右京の下腹部に付いていた針であり、右京は吹き飛ばされながらもその針を勢いよく噴射していたのだ。
「くっ、間に合いません」
「ワシが死んでも止める!!」
アイアンファイターは二人の前で自身を覆う程の鉄の盾を生成して防御しようとする。
「だ、、め、、」
愛はこの右京の一撃をアイアンファイターが防ぎ切れない事を予感していた。
ホワイトマジシャンの4のカードによって傷が癒えた愛はすぐさま風を起こしてホワイトマジシャンとアイアンファイターを遠くに吹き飛ばす。
「そんな!!
なぜ!!」
アイアンファイターは愛に手を伸ばし叫び声をあげながらも吹き飛ばされる。
「後は頼んだわよ、賢」
愛は賢に向かって微笑みを浮かべながら、針に貫かれ光の粒子となって消えていった。
「ヌォォォォオ!!
許さぬ!!許さぬぞ!!」
アイアンファイターは一人で雄叫びを上げながら右京に突進していく。
「次はてめぇだよ!!」
しかし、右京の振るわれた手と衝突するとフルアーマーにヒビが入りながら吹き飛ばされてしまう。
「ヤギリ」
間髪入れずにホワイトマジシャンが右京の目の前に転移すると大鎌を振るって腹部を斬りつけようとする。
「分かってんだよ!!」
それを読んでいた右京は全身を回転させる事で腹部による一撃を防ぎ、その勢いのままホワイトマジシャンを吹き飛ばした。
「マズイ、、このままだと」
賢はホワイトマジシャンとアイアンファイターの二人がかりでも右京に通用しない現状を見て、敗北の二文字が脳裏に浮かんでいた。
「どうにか、、
何か手は無いのか!」
賢が必死に頭を回している間にも二人は徐々に傷を負っており、二人が倒れてしまうのは時間の問題のようだ。
「クソ!
二人のユニークモンスターの実力を合わせても無理なのかよ!!」
賢は地面に拳を叩きつけながら悲痛な叫びを上げるが、自分の言葉にハッとする。
「力を合わせても、、?」




