援軍
「オラオラオラ!!!」
右京は八本の手足を駆使して連続で愛に向かって突きを繰り出していた。
愛は軽やかな動きで空中で避け続けるが、一向に反撃に移れずにいた。
「うっ、、」
だが、直接当たらずとも右京の一つ一つの突きは小さな衝撃波を生み出しており、愛の体に次々と切り傷をつけていた。
「風緑」
愛は自分を包むように緑色の風を吹かせ、球体の中へ自身を隠した。
「無駄だよぉ!!!」
右京は渾身の突きを愛の隠れた緑色の球体へ放つ。
すると、緑色の球体は容易く破れて球体の中にいた愛をそのまま貫く。
筈だったが、球体の中に愛の姿は無かった。
「九十九風」
いつの間にか右京の頭上へ移動していた愛は両手から大量の鎌鼬を放っていた。
鎌鼬は右京の全身を斬りつけるが、鋼鉄並みの強度を誇る右京の体に当たると弾かれるだけで終わった。
だが唯一、右京の羽の付け根部分と腹部に鎌鼬が当たりそうになると不自然な動きでそれを庇ったのだ。
「そこが弱いのね」
その様子を見た愛は妖艶な笑みを浮かべながら呟いた。
「俺を見下してんじゃねぇぇぇ!!」
右京は羽を羽ばたかせ素早い動きで愛に接近すると加速した勢いのまま腕を振るい愛を殴りつける。
愛は寸前で反応して回避行動をとるが、間に合わずに右腕が肩から千切れて吹き飛ばされてしまう。
「くっ、、乱風」
愛は苦痛の表情を浮かべながら大量に魔力を消費して突風を起こし、右京を地上へ吹き飛ばした。
「上だ、愛!」
そんな中、突如愛の頭上から賢の呼ぶ声が聞こえ上空を見上げると、賢が叫びながら落下していた。
「あ、あんた何をしてるの!」
愛はすぐさま風のクッションを目の前にだして空中で賢を受け止めた。
「ホワイトマジシャンに飛ばしてもらった。
プレイヤーとユニーク相手に一人ではキツイだろうからな」
賢は経緯を軽く説明しながら愛の右腕が無くなっている事に気づく。
「99(キュウキュウ)」
賢は2枚の9のカードを手元に出すと愛に押し当てる。
すると緑色の光が愛を包み込み、失われた右腕を復活させた。
(これでホワイトマジシャンから貰ったスキルは使い切ってしまった)
賢は7のスキルによりホワイトマジシャンから渡されたカード4枚を使い切ってしまい、もうホワイトマジシャンのスキルを使用することはできなくなってしまった。
「助かったわ」
愛は復活した右腕の感触を確かめるように手をグーパーと動かしながら地上に落ちた右京へと目線を落とす。
「あのユニークモンスターに相手プレイヤーが吸収されてるの。そのせいで身体が凄まじく頑丈ね」
愛は状況を簡潔に賢に伝える。
「なるほどな。
とりあえず地上へ降りよう。
上空だと俺は無力だ」
二人は愛の風に乗ってゆっくりと地上へ降りる。
「プレイヤーが二人になったか!
好都合だ、まとめて殺してやる!!」
右京は風の勢いを受けて地面にぶつかるが、何事もない様子で立ち上がり素早く賢と愛へ突っ込んでゆく。
「巨岩人形」
賢は全身を地面と融合させると地面から体長10メートルを超える巨大なゴーレムが姿を現す。
大量の魔力を消費させる事と引き換えに賢が使える奥の手である。
ゴーレムと一体化した賢が右腕を振るい向かってくる右京に殴りかかると、右京もまた同様に鋭い手で殴りかかる。
両者の拳が交わると賢のパワーによって右京は吹き飛ばされ、右京の鋭い手によって巨岩人形の右手が砕かれる。
「あんたやるじゃない!」
互角の立ち合いを見せた賢に対して愛は周囲の風を集めながら褒める。
「これはかなり魔力を消費するんだ。
あくまでホワイトマジシャン達が来るまでの時間稼ぎでしかない」
賢は魔力を砕かれた右手に注ぎ込んで再生させると拳を構え直した。
「効かねぇ、、効かねぇなぁ!!」
そして吹き飛ばされた右京もまた無傷で絶叫しながら再び突っ込んでくる。
(長くは持たないだろう、、
頼むぞ、ホワイトマジシャン)
賢は心の中で呟きながら向かってくる右京に対して何度も拳を払うのだった。
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「なぜあの小僧を行かせた!」
大部屋Bの入り口周辺では、アイアンファイター達がホワイトマジシャンと合流し右京の魔物達と激戦を繰り広げていた。
「愛さんだけでは相手のプレイヤーとユニークモンスター相手に苦戦しそうだからですよ」
大きな声を上げながら目の前の魔物を殴殺するアイアンファイターの問いかけに、ホワイトマジシャンは涼しい顔をしながら大鎌を振るいながら答える。
「そんな事は分かる!
なぜワシじゃなくて小僧を送ったと問うている!!」
二人以外にもウルフスライム、ウルフゴーレム、影猫、二体の猫男も同様に戦闘に加わっていた。
「この場を素早く一掃して前にいる二人と合流し、敵プレイヤー達と当たるには私達がちょうど良かったのですよ」
アイアンファイターに背中越しであくまで冷静に淡々と考えを伝える。
「それに私のマスターはそこそこやる男ですよ」
ホワイトマジシャンは薄ら笑いを浮かべながら呟いた。
「ふん、ならさっさと終わらせるぞ」
アイアンファイターは納得したようで目に闘志を燃やしながら魔物の軍勢へと突っ込んでゆく。




