2-0 ドント ストップ ミー ナウ
やあ、どうもリスナーの皆さん、ご存じ『マスクドDJ雷音』です。
私は今、宇宙海賊の宇宙戦艦に乗って、惑星アモルフォに向かっている。
何でも彼らのキャプテンワールドが、宇宙の死神と呼ばれ恐れられてる
アモルフォの王に囚われてしまったって言うんだ。
え? シーム星に落っこちてった私が何で無事なのかって?
そりゃ私は無敵のスーパーヒーローだからね~。
また会おうって言っといて、死んでましたなんて事は無いですよ。
落ちてった後に何があったのかですか?
う~ん……シーム星で地味に漂流して、地味に救助され、地味に今に至る、
そんな地味な話しを、長々するのもねぇ~。
どうしても聞きたいって言うなら、それはまた別の機会にしましょう。
それまでに、2つ3つ面白エピソード盛っておくからさ。
それよりも、今回はあの宇宙海賊が助けを求めて来たわけだ、
一昨日シーム星の危機を救い、今日は宇宙の死神とやらが相手だよ。
頼りになるヒーローをやるのも大変だよねぇ。
実は、この件の細かい事情は、私も一切飲み込めてないんだ。
ついさっき聞いた事を、何となく言ってるだけなの。
「来やがったか……」
口の悪い管制官がモニターを見て、苛立ち呟いた。
レーダーが、こっちに向かって来る船団を捉えたらしい。
警報が鳴り、宇宙海賊達が戦闘配置に着く。
そうこうしているうちに、カメラが捉えられる範囲にも続々と
つるんとした飾りっ気の無い、グレーの宇宙船の群が現れる。
すると警告も無く、ビーム砲の連射がこちらに向けて放たれた。
「進路そのまま! 死神の手下共を返り討ちにしろ!」
ワールドがいない今、戦闘指揮を執るのは参謀のロディさんだ。
その声が艦内に響くと同時に宇宙海賊側の戦闘機が何機も飛び立ち
死神の艦隊へと突き進み、煌びやかなビーム砲を放っている。
向こうの戦艦からも、多くの戦闘機が続々と発進してきた。
「ロディさん、私も出よう」
「すまん、頼むぞ」
私は艦橋を飛び出し、船員達をかき分けながら船内ドッグへ向かう。
ドッグ内では、海賊達の怒号のような指示が飛び交っていた。
機首が丸い流線形した色とりどりの戦闘機が戦場に駆り出されていく。
続々と発進していく戦闘機に混ざって、私もカタパルトデッキを駆け、
暗黒の宇宙空間に向かって飛び出した。
輝き飛び交う光線、砲弾の雨を振り切り、飛び蹴りが一隻の船を貫き、
余る勢いでその先2隻の戦艦のボディに、大穴を開けてやった。
乗組員達は血相変えて、消火作業に走り回っているのが見える。
残りの船は……1つ2つ3つまだいるな……さぁ~て、もう一丁やるか。
さあ、リスナーの皆! 一緒にこいつらをぶっ飛ばしに行こうぜ!




