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2-1 ウガ チャカ

 何処までも広がる宇宙の闇の中、私の眼下には、航行不能に陥った宇宙船団が、

その破片やクルーを辺りに漂わせている。

救助要請だろうか? 方々で点灯するシグナルが私のマスクに反射している。

どうやら、彼らにこれ以上の戦闘の継続は無理だろうね。

どうも、これでも日本のあなたの街のスーパーヒーロー『マスクドDJ雷音』です。

あいつらは惑星アモルフォからやってきた、宇宙の死神と呼ばれる軍隊で、

宇宙海賊ブラザーフッドと今バチバチの抗争状態なんだ。

発端は、宇宙海賊のキャプテンが、アモルフォに幽閉されちゃったらしく

私はその救出依頼を受けて宇宙海賊達と行動を共にしてるわけ。


 帰還する宇宙海賊の戦闘機に掴まり、戦艦内部のドッグまで戻って来た。

艦内ドッグは低重力の区画で、帰還した戦闘機や、様々な重機、整備士達も

ふわふわと浮き上がり漂いながら、戦闘後のチェックや修理をしている。

ホープの中で会った宇宙海賊は10人程度だったけど、

母艦には70人程の乗組員がいて、それぞれ色んな星出身らしく

動物っぽいのや、虫っぽいのや、何とも言えないのやとバラエティ豊かだ。


ふわふわと船内奥へと進む私のコートを、ぐっと誰かが掴んだ。

踏ん張りの効かない空間では、掴んだ手にぐいぐいと引っ張られていく。

私を引っ張る赤色の手に、ドッグの中心を走るキャットウォークの上まで

釣り上げられてしまった。


「心配だったわけではないが、無事で良かった、お帰りなさいませ」


こんな芸当をやってのけるのは、手足が伸び縮みするシーム星人くらいだ。

相変わらずシーム星の言葉と日本語は相性が悪いらしく、翻訳機ばバグってる。

シーム星に向かってた巨大な太古の移民船の墜落は防ぐ事が出来たんだし、

故郷でまた平穏な暮らしをおくれば良いのに……。

このカナロアさんは、未熟で無知な地球人の私が1人じゃ心配だって事で、

お節介にも、一緒に付いて来ちゃったんですよ。

そもそも宇宙の騒動に私を巻き込んだのは、この人なんだけどね~

あ、それを気にしてるのかな。


 今さっきのアモルフォ軍との闘いでの活躍を、面白おかしく語りながら、

艦橋へと通路を進んでいくと、すれ違う宇宙海賊達が称賛の声をかけてくれる。

ははは、よせやい。

この宇宙戦艦アルゴーは、全長約500m、全幅260mというデカさ。

中には、さっきいた戦闘機ドッグの他に、艦橋、船員達の居住区画、

あと入った事無いけどエンジンルームや、倉庫区画等々があると思う。

初めて降りる地下鉄の駅の乗り換えみたいな、不安感がしちゃう規模だよ。


「戻ったかライオン! お前のお陰で大損害だぜ!」

「え、大勝利じゃなく?」

「やりすぎだぜ、お前の馬鹿みてえな活躍を見て、部下共が自信喪失して

皆寝込んじまうじゃねえか! がっはっはっは」


艦橋に入るやロディのバカ笑いが響く。

周りの海賊達は華麗にスルーしてるのを見ると、日常茶飯事なんだろうね。

本人も慣れっこなのか、図太いのか、この空気に全く動じない。

私1人だけ、何とも座り心地が悪いんだけど、どうしたら良い?


「分からねえ事があるのですが、質問しても構わないでしょうか」

「はっはは……ん?どうした?」


クールにカナロアさんが切り出した。


「今皆さんのキャプテンは、敵の手の中にあるっていうのによ、

こんな真正面から戦闘なんてしても大丈夫なのでしょうか?」

「え……それは……その……つまり……」


言われてみれば確かにそうだ、あれだけやっちゃって今更だけど、

人質を取られている状態なのに、その相手と戦いながら助けに向かうなんて

スーパーマリオじゃあるまいし、やっぱマズイよな。


「それについては心配無い」


聞き慣れない声に振り向くと、壁際に立つ異彩の女海賊の姿があった。

他の海賊と揃いの赤と黒のジャケットとパンツ、腰には光線銃を下げているが

異形の動物フェイスではなく、日本人感覚的で超が付く美人さんだ。

長いサラサラヘアーを低重力に揺らしながら私達の方へやってくる。


「フリース隊隊長メデアだ。辺境の戦士ライオン、先程はご苦労だった。

見事な戦いぶりに感服したぞ、我らは自信消失から立ち直れるかどうか」


ジョークか? ゴリラジョークの天丼なのか?


「奴らの手の中にあっても、キャプテンワールドの身の安全は心配無い、

アモルフォの女王アルノルディにとってキャプテンは最愛の想い人だからな」


おい、まさか本当にピーチ姫ポジションかよ。

だったら身の安全は保障されるわ……いや、だったら余計に分からないぞ?


「じゃ、何でその最愛の人を幽閉なんてしちゃうの?

独占欲とか? それともその女王さんがヤンデレ?」

「それは、お前が原因なんだライオン」


え? 私のせいなの!?

ど、ど、どういう事?

ちょっと、ブレイクだ。

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