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59. ユリが思い出した事々:最初の転生回

相変わらずフィーリングで書いてるので着地点不明ですが、現時点まででのクライマックス?

ここからユリはどうするのか、どうしたいのかを考え、ユリの周囲もそれぞれの思いに従って動いていく事になります。

 私は地方の町の一般家庭の一般人の娘として生まれ、非凡な才能を発揮して、幼い頃から自分で木から削りだした木剣と木盾で町の周囲の低級魔物を狩り倒し、レベルを順調に上げ、十二歳くらいまでには町の周囲の森からゴブリンやオークくらいまでを狩り尽くす勢いで駆除した。

 自身の完全制御は、身体強化や知能強化というスキルで継承されていて、剣技も魔法もあっという間に修得し、最年少記録で中級冒険者になる為の資格試験にも合格。

 生前の姿と性格のまんまだったから、それはそれは悪目立ちもしてたし、複数の男性冒険者達からもつけ狙われてたけど、全て返り討ちにして、悪質なのはばれないように抹殺して証拠も残さず行方不明扱いにして始末していた。

 そんな私だから女性冒険者達にはものすごい人気だったけど、邪険に扱って相手にしていなかったし、パーティーは組まずに一人で戦い続けていた。


 魔王なんて自分一人で倒して当たり前、くらいに思ってた私、怖い。


 中級冒険者として活動範囲を広げていった私は、使える装備や魔法も次々と更新していき、相手がオーガーだろうがジャイアントだろうがサイクロプスだろうがグリフォンだろうがワイバーンだろうが撃破し続け、十五歳の成人の日には王国の秘宝とされてきた選定の剣、いやまぁ抜けるのは勇者だけってテンプレね、を抜いて勇者として認められ、上級冒険者にも昇格。

 そのまま一人で最後まで戦い抜こうとしてたんだけど、魔界への扉は聖女が一緒じゃないと開かないと説得され、王女にして聖女のエリュタリア、もうお約束のポジションにお約束の誰かが入り込んできてた。


 私の前世の記憶が封じられてたのは、相手に気付かせない意味も大きかったのだろう。


 そこからは、魔王と対峙するには必要不可欠とされた勇者の防具を世界各地を巡って揃えた。

 一番目が大海の底にあり海王リヴァイアサンが守ると言われた勇者の盾。

 深海一万メートルくらいの闇と水圧の中で好き勝手に動き海流を操る海王は難敵ではあった。ただ、エリュタレアの結界はそれ以上の万能で、闇も水圧も水流もまったく干渉を寄せ付けず、内側からは攻撃し放題というチート万歳ものだった。

 それでも全長数百メートルの海王との戦いは三日三晩かかったけれど何とか倒し、従属させた。まぁほら、国民的RPGのお約束って感じで。

 勇者の盾の能力は、敵の攻撃を全反射するという反則ものだった。


 お次は天空に浮かぶ城に隠された勇者のかぶと。その周囲は常に嵐に覆われ辿り着く前にほとんどの者が死ぬってのもお約束だったけど、エリュタレアの結界万歳。

 その隠された中核部には大きな飛○石ではなく空王スカイリアという竜の様な精霊がいて、風や空気、気圧なんかを操ってきて、空の上の戦いという事もありエリュタレアの結界があっても苦戦した。

 実体を持っているのかいないのかわかりにくいスカイリアは剣や魔法で攻撃してもまるで効いているように見えなかった私は、発想を転換してみた。

 自分達を結界で覆うのではなく、相手を結界で閉じ込めるという発案をエリュタレアは即座に実行し、スカイリアはそこから出れなくなった。

 リヴァイアサンよりはだいぶ小さいとはいえ数十メートルはある巨体が囚われたスカイリアに降参するよう持ちかけても降参しなかったので、リヴァイアサンを召還。その結界の内側に海水を注ぎ込んでもらった。別段それだけではダメージを負っていなかったスカイリアも、私が送り込んだ冷却魔法で海水が凍らされていき、エリュタレアが徐々に結界の大きさを縮めていった事で降参し、従属してくれた。

 そんな彼女から渡された勇者の兜の効果は、叡智。これまでに存在した全ての謎の答えと、全ての魔法が使えるようになるというこれまたチートアイテム。おまけの様にMPがほぼ無限になった。


 そしてお次が、勇者の鎧。これは世界最大の火山の火口の中。マグマの海に棲まう陸王ダルカン(ベヒ○モスでもイフ○ートでもなく)。ダルカンを世界中のマグマと切り離せなかったら倒すのは大変だったろうけど、前回とほぼ同じ手口で倒した。

 まずは姿を現したダルカンをエリュタレアの結界で捕獲。たかが五十メートルくらいの背丈の巨人だったから楽勝。そこにリバイアサンが無限に供給できる大量の海水を注ぎこみまーす!

 するとあら不思議。自身が超高熱を発するダルカンだから水蒸気爆発が発生!炎の魔法なんて無限発打ち込まれてもゼロダメージで済ませたダルカンでも、水蒸気爆発の衝撃波によるダメージは受けていた。溶岩の中でなら逃がせたであろうダメージも、エリュタレアの結界の中では何倍にも増幅されて何度でもダルカンを殴打した。

 ダルカンがすぐ目の前に溢れているマグマを操作してこちらを攻撃しようとしても結界によって命令は遮断され攻め手を失い、炎の魔法はリバイアサンによる無限の海水により水蒸気爆発となって以下略。

 そんなリンチは一昼夜でダルカンの心をへし折り、無事に彼も私に従属。勇者の鎧の効果は、敵から自分や味方に与えられたダメージを攻撃してきた相手に移し替えるというぶっ壊れ性能。もうこれだけで勝てるんじゃないかとも思ったけど、こちらが首を落とされた時、ダメージを移し替えても、首が落とされたという結果は伴わないとしたら、こちらが一方的に負ける事になるし、ダメージを伴わない殺し方なんてそれこそ想像力の数だけある筈だと、その時の私は気を引き締めた。


 そして魔界侵攻。勇者パーティーというよりは、勇者と聖女二人で、ほぼ無限匹のありとあらゆる魔物や悪魔みたいので構成された魔王軍に挑んでみた。

 剣聖?賢者?不要でした。

 まず海王リヴァイアサン召還。魔界を無限の海水で満たして無数の魔物を溺死させて大量レベルアップ!

 次に空を飛んできたワイバーンとかドラゴンの類も空王スカイリアの空気流操作とかで海水の中にたたき込んで溺死させたりした。

 残りは地中を進んできた連中とか海中でも活動できるようなのを、陸王ダルカンのマグマで焼き溶かしたり、海水と触れさせてマグマ水蒸気爆発とかを連発して残りの敵も片づけていった。

 海空陸の三王の力も跳ね返すような強いのは私が空間魔法で側に転移して剣で細切れにしたり、分解魔法で素粒子以下に分解して再生もさせなかったり、重力魔法で超圧縮して世界から消滅させたり、etcetc。


 魔界を埋め尽くしていた魔王の軍勢を全滅させると、無傷で残っていた魔王城に向かった。


 魔王による結界はエリュタレアでも解除できず、三王の力でもびくともしなかった。

 そしたらもうこれはお約束を使うしかないよねと勇者の兜の叡智が導いた答えは、無限の魔力を勇者の剣に注ぎ込んで魔王の結界にぶつければ壊れるという安直もとい王道に則ったものだった。


 うん。魔力を注げば注ぐほどに黄金色から白金に光を纏っていく勇者の剣(特に名前はついてなかったので、自分の好きな聖剣の名前をつけても良かったけど、大野紗由理にこだわりはなかったらしい)が限度一杯にまで魔力を吸い込むと、魔王の結界が、というか魔界全体が震えていた。

 大野紗由理ではなく、今の私なら、こんな風に心の中で叫んでいただろう。

「宝具解放!エ○スカリバー!」とでも。


 膨大な光の奔流が魔王の結界を消し飛ばした後、いよいよ魔王城侵攻となった。魔王城の中ではエリュタレアの力は弱まるけど、城内には城外とは比べものにならないくらい強い配下の魔物達が手ぐすね引いて待ちかまえていると知らされた私は、おもむろにHPとMPを全回復させる貴重なエリ○サーを飲み干し、再度勇者の剣に魔力を完全充填、再度宝具発動!強敵だった筈の魔物達は魔王城と共に消滅していった。

 魔王と覚しき存在はいったん弱まったけどまた強まったので、再度エ○クサーからの三度目の宝具発動!

 今度は魔王単体へ放った分、魔王へのダメージも深かった筈が、いったん消えかかった存在はまた強まり、まー、いわゆる第三形態にでも変身したのだろう。


 怒り心頭な感じで額には青筋をたくさん浮かべた魔王が私の前に現れてきた。

「せっかくの歓待の準備を全部台無しにしないでくれないかな~?」

「罠と分かっててわざと罠にかかるバカもいまい。少なくとも私はイヤだ。断る。壊せる罠なら全部壊してから踏み入るのが常道だろう?魔王が何度もの形態変化を見せるのもお約束だからな。手間を省いただけだ」

「ふふふ、いいでしょう。あなたの本気と私の本気、どちらが強いか比べてみようではありませんか!」

 中年おじさん(銀髪ダンディーな悪者)という感じでサイズ的な恐怖は無かったけど、こちらの攻撃系の魔法は全て無効化。相手の攻撃を勇者の盾で反射してもあちらはブラックホールみたいな盾をかざして反射をも吸い込んで無効化。わざとダメージを受けてみて勇者の鎧の能力でダメージ移し替えしようとしても、ダメージが入ってるようには見えず、勇者の剣で傷を負わせても再生してしまい、エリュタレアの結界も通じず、三王の権能なども通じなかった。


 今なら当時の記憶映像などを見てて分かった。これ、裕花を女神エリュタレアにした当の神様の友情出演て奴だ。だからエリュタレアの権能も通じなかった。親が子供の学芸会に悪役で出てぶいぶい言わせるようなもので、彼と知り合いだという私の知り合いの神様は生温かい眼差しで見守っていたに違いない。


 まぁ、神様が演じてる魔王なので、強さはデタラメだった。千日手みたいな攻防を嫌った紗由理(私)は、三王の権能を身に纏って攻勢に出たけど、余裕でそれを捌ききり、闇の触手みたいので勇者の装備をだんだんと浸食/崩壊させてきた。

 戦いの速度は、そうだな。七つの宝玉を集めるって国民的マンガの戦闘描写的に表現すると、魔王の第一形態はたぶんスー○ーサ○ヤ人化するかしないかの辺り。第二形態で○ーパー○イ○人の壁を突き破るくらいで、第三形態でフュー○ョンから先のインフレ化していく感じ。

 とっくに常人が目で追えるレベルを遥かに超え、音をも置き去りにして、光に迫る勢いだったから、魔王城があった辺りは酷い有様になっていた。技名叫んだりとか、「な、なにいぃぃ?」なんて驚いてる暇は皆無。そこら辺の情緒は何も無かった。


 勇者としてのレベルやスキルは全部カンストしてて、装備も集めきり、三王を従属化してその力を纏化しても及ばない。装備が壊されたりしたらもう戦力差は覆せない。

 そんなこちらを追いつめている筈の状況下でなぜか魔王が手を止めたのでこちらも一息ついたけど、そこからの台詞がわざとらしかった。

「勇者よ。確かにお前は強い。人間としてはありえないくらいに強過ぎて、その思考回路は人間としては逸脱し過ぎている。だがな、だからこそ私には勝てない。お前が私に勝つ為に足りないのは何か分かるか?」

「なぜわざわざ弱点をさらしてくれるか意味不明だけど聞いてみるよ」

「それはな、愛だ!小賢しくも愚かしい、愛という魔物には無い感情!お前が彼女を愛する事が出来れば、私をも打ち破れるだろう!」


 当時の私も相当にいぶかしみながら尋ねた。

「だとして、なぜそれを私に教える?」

「このままでは私が勝ってしまう。それではつまらんではないか?」

「なんで自分が勝って問題がある?」

「勝つなどいつでも出来るのさ。つまらん時間が続いていく方が問題だからだ」

 私の相当なジト目で見つめられた魔王もとい神様は咳払いしながら私を促した。

「さあ、愛を知らない勇者よ!ここで愛を知らぬまま倒れるか、それとも愛を知り私を倒すか、どちらかを選べ!」


 釈然としないまま、結界で自身を護り、時折回復魔法やバフを飛ばしてもらっていたエリュタレアの元に私は転移して、尋ねた。

「話は聞こえていたか?」

「は、はい!あなたが私を愛して下されば、あなたは魔王を倒せます!」

「そんな不純なものなのか、愛とは?」

 エリュテレアは顔を一瞬ひきつらせたが、まじめな顔に戻って語った。

「そうですね。冷静に考えれば、あなたがここでどんなに素敵な愛の言葉を私に囁いて下さっても、今までどんなに私が愛を打ち明けても受け入れて下さらなかったあなたの態度からすれば、すぐに信じられはしないでしょう。とても悲しいですが」

「良かった。エリュタレアに冷静さが残っていて」

「でも、このままでは魔王に倒されるだけです。これだけ強い魔王をあなたが倒せなければ他の誰にも倒せず、世界は滅ぼされるでしょう。だから、約束して下さい。いつか必ず、私を愛して下さると」

「約束するのは構わない。だが、いつまでかかるとか、その他詳細は約束出来ないぞ?それは構わないのか?」

「そうですね、詳細については追々詰めるとして、今はただ、私に愛を誓って下さいますか?」

「誓おう」

 あまりにもあっけなく言われて、エリュタレアも魔王も今の私も拍子抜けというか重みを感じられず疑いもしたのだが、言葉は言葉だ。

 言質は取ったと、エリュタレアの口の端はにいいぃっとつりあがり、

「では誓いの口付けを」

 秒だった。いや0.1秒かからず、迷いも想いも無く、即座に当時の私はエリュタレアに口付けしやがった。友情出演中神様の魔王は音を立てずに背後で拍手してやがった。いや攻撃しろよ、魔王的に!


 そして神様的余技なエフェクトで、私とエリュタレアは光(それも桃色)に包まれていき、

「こ、これは、私に満ちてくるこの未知の力は何だ?!」

 と(ある意味わざとらしく)当時の私は叫び、エリュタレアは満面の笑みで宣言した。

「それが、愛の力ですわ!いかなる闇の力をも打ち払う、聖なる力です!」

 そして実際、桃色の力にさらされた魔王はみるみる弱体化していき、闇の触手なども消し飛ばされていった。いやまぁ今の私から見れば、自作自演乙って感じしかしないんだけどね。


「そうか。では、二人の愛の力で」

「ええ、二人の愛の力で!」

 勇者の剣を二人で上段に構え、愛の力という意味不明な何かを注ぎ込んでいき、限界に達したところで、それは放たれた。

「くらえ、愛の○クスカ○バー(約○された勝○の剣)!」

「初めての二人の共同作業!きゃっ!」

 副音声は聞かなかった事にして、魔王を縦に真っ二つに切り裂いた。左右に分かたれた魔王は、桃色の光に浸食されてしゅわしゅわと泡のように消えていったが、なぜか微笑みながら親指をぐっと立てていた・・・。


 魔王が倒された魔界は崩壊し始めていたが、エリュタレアの姿も光に包まれ変化し始めていた。

「エリュタレア、君にいったい何が起こってる?」

「隠していて申し訳ありませんでした、サユリ様。私は王女であり聖女でもありましたが、本当は女神でした。魔王に力を奪われ人間の身にやつして魔王を倒す機会を伺っていましたが、魔王が倒され、女神の身に戻る事が出来ました」

 そして神の権能とやらで私の心も掴まれ、先ほど立てた誓いの下に浸食されていき、彼女をこれ以上ない愛しい存在として認識してしまった。


 まー、ここまでも狙ってやってたんだろーなとしか、今にしてみれば思えない。当時の私も、自分を導いたあの神様も。


「エリュタレアを失う事なんて出来ない。どうしたら人である私が、女神であるエリュタレアと結ばれる事が出来る?」

「人と神の間の垣根は低くありません。本来なら、無理とも言えるのでしょう」

 エリュタレアは、私の頬を両手で挟み、それはそれは濃厚なキスを私と交わした。私の想いが、全てエリュタレアに捧げられるくらいに深まるまで。


 そして長い長いキスが終わると、あの場面となった。勝ち誇ったエリュタレアに、私が愛を誓い、99回の転生の試練に臨むようになった場面だ。


「そうですね。あなたがどれくらい私を愛せるか、私だけを愛し他には脇目を振らないか、試してみましょう。99回の転生、それも回数を追う毎に私を見つけ、私だけを愛し続ける事が困難になる試練、受ける覚悟があなたにはありますか、サユリ?」

「・・・例え99回生まれ変わっても、あなただけを愛してみせる!」

 エリュタリアは、私の宣言とその声音(こわね)に深く満足した表情を浮かべて、告げた。

「女神である私に愛を告げるだなんて、しかも99回生まれ変わっても私だけを愛してみせるだなんて、身の程知らずもいいところ。でも、私は優しいからあなたに機会をあげましょう。あなたがあなたの言葉を真実にしてみせた時、私はあなたの恋人となってあげましょう。あなたが死ぬまで寄り添い、あなたの理想とする恋人として添い遂げてあげます。でも、もしもあなたが言葉を違え、女神の期待を裏切ったのなら、あなたにはとてもとても楽しい罰を与えてあげましょう」


 2回目から98回目の転生までについては、ここで繰り返さない。ただ、99回目の転生は、ユウちゃん=エリュタレアとしては本来同じような世界で展開される筈が、私の神様と、彼女の神様との間の交渉で、最初のと同じような世界で、今まで辿ってきたような筋書きが描かれる事になった。

 ユウちゃんにも機会は与えられたのだ。私は無垢な好意をユウちゃんに向けたのに、ユウちゃんは無用だと拒絶した。

 つまり、最初の私が課した試練に、ユウちゃん=小谷裕花=エリュタレアは失敗した。私を私の姿だけで愛していたからだ。その意味では、マーレが失敗しなかったのは僅かな救いでもあっただろう。



 転移を繰り返す内に最初の生の姿を取り戻していった私を見て、ユウちゃんは元の想いを取り戻した。だけどもう、あの紗由理という存在も、今の私も、ユウちゃんを愛する事は、たぶん無いと思う。


 99回の転生を繰り返して、その途中からようやく、私は、誰かが誰かを好きになる事を、学んでいったらしい。他人事みたいだけど、ほんとにそんな感じだったのだ。どれだけ他人から好意を向けられても、それが愛すべき対象でない限り、私は応えられなかったのだし。


 だからこそ、最後の転生回で、誰かを好きになれる私がユウちゃんをぼんやりとだけど好きになっていたのは、その集大成とも言えた。それを、ユウちゃんは受け取り損ねた。たぶん、これが、ユウちゃんの神様から彼女に課された試練でもあったのだろうと推測できた。

 神様から課されていた試練に失敗した彼女がどうなってしまうのか、女神でなくなったらどうなるのか、想像がつかなかったが、最悪、消滅してしまうかも知れないと思うと、かすかにだけど、胸が痛んだ。


 私は、とっくに到着していたクェイナの居城の、初めて彼女と愛を交わした寝室のベッドの上で、大の字になって、これからどうするのか、どうしたいのかを、じっくりと考え続けた。



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