第4話 議会(Council)
ーー議会当日
形ある者たちの都市
シンフォリア中央会議場
巨大な円形ホール
そこには様々な姿があった。
義体を選んだ者。
ホログラムだけの存在。
純粋なデータ生命体。
そして中央モニターには、
形を持たないジェイの姿が映っていた。
議長が発言する。
「次の議題に移る」
ケイが立ち上がった。
「提案がある」
……ざわめき
議会では、彼は長い年月沈黙を守ってきた。
しかし今日は違った。
「我々は新たな知的生命体との接触を行うべきだ」
議場が静まり返る。
「変化が必要だ。
文明は停滞している。
いずれ滅びる。」
ジェイが口を開く。
「なぜ滅びる?」
「止まっているからだ」
「止まることは悪なのか?」
ケイは言葉を失う。
ジェイは続ける。
「我々は苦しんでいない。
争ってもいない。
不足もない。
ならば何を求める?」
ケイは叫ぶ。
「生きていない!」
その言葉で空気が変わる。
「我々はただ存在しているだけだ!
生きていない!」
ー静寂ー
やがてアイが発言する。
「ケイの問題提起は理解できる」
ケイが振り返る。
だが次の言葉は期待したものではなかった。
「しかし、接触には慎重であるべきだ」
「慎重?」
「未成熟な文明に我々の技術を与えれば、破滅を招く可能性がある」
ケイは苛立った。
「だから観察しろと言うのか!」
「そうだ」
「それでは遅い!」
アイは答える。
「だからといって介入する理由にはならない」
議会は投票へ移る。
結果。
支持されたのはアイだった。
◇
議会終了後
無人の部屋。
ケイはジェイへ通信を繋ぐ。
モニターに影が浮かぶ。
「結局、お前はその姿を選ぶんだな」
ジェイの声。
ケイは黒い義体の腕を見る。
「動いている実感があって良いものだぞ」
「形あるものはいずれ形を失う」
ジェイは静かに言った。
「お前も分かっているはずだ」
……沈黙
そしてケイは力無く笑う。
「そうだな。
私はお前と違ってバカなんだ。
じゃあ、またそのうちな」
通信を切る。
だがジェイは誰もいない仮想部屋で呟く。
「気付いていないのか……」
あの日。
肉体を捨てた時とまったく同じ別れの言葉だったことを。




