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今のままで…いい…。 vol.008 「…でも…、絵は…好きなんだ…???」

ドアを開けて、

「じゃあ、よろしくお願いしま~~す。」

奈都美。


朋代、

「おぅ。」




歩きながら奈都美、

「ねね、もっかい見せて、さっき、尾田君の描いたの。」


伸永、

「あっ、はい。」

クリップボードの用紙を捲りながら、

「これ…です。」


奈都美、

「ふ~~ん。」

そして、

「なるほど…、さすがは芸大。」


その声に伸永、

「えっ…???」


「あっ、いやいやいや。別に…。…でも…、絵は…好きなんだ…???」


その声に伸永、

「えっ…???あ~~。う~~ん。まぁ…。…小さい頃から…。描いてましたから…。」


「ふ~~ん。」

そして、

「尾田君って、兄弟は…???」


その質問に伸永、小さな声で、

「姉が…ひとり…。」


奈都美、

「ふ~~ん。…私は…妹~~。」


伸永、

「……。」


「家族は…???」


その声に伸永、

「……。」


奈都美、

「へっ…???」


伸永、口を尖らせて…。


「お…だ…。」


「いいじゃないっすか、そんな事…。」

いきなりボソッと。


奈都美、その瞬間、

「あっ…。あ~~。」

そして、

「ご…ごめん…。」




別棟への廊下を歩きながら…、伸永が、小さな声で、

「僕には…姉ちゃんしか…。」


奈都美、

「へっ…???」


「僕には…姉ちゃんしか…、いないんです。」


その声に奈都美、

「えっ…。」


「それに…、12も…離れてる。」

そのまま口を閉ざす伸永。


奈都美、その声に、いきなり目をキョロキョロと…。

「お姉さんと…12…???」

そして、

「えっ…???それって…???」


伸永、また小さな声で…、

「姉ちゃんと俺…、母親…、違うんだ。」


奈都美、その瞬間、

「へっ…???」

一瞬頭に浮かんだ、

「…腹違い…。」

奈都美、すぐさま、

「ごめん。…私…。」

小さな声で…。


そんな奈都美に伸永、ポツリと、

「いいっすよ。」

そして、

「慣れてる。」


奈都美、

「へっ…???」






その日の午後、休憩ブースでひとりコーヒーを飲み、

タバコを吸っている内海を見つけて奈都美、

「課長~~。」


内海、

「おぅ~~。どした~~七瀬~~。尾田君、頼むぞ~~。」


奈都美、

「あ…、はい。」


「タバコ、吸ってるけど…いいのか…???」

「あ~~。はい。どうぞ。…あの…、課長…。」


「ん~~。」

「ちょっと…訊きたい…事が…。」


そんな奈都美に、

「ん~~。なんだ、改まって…。」


「尾田…君の…事…なんですが…。」

「おぅ。」


「尾田…君って…、芸大…。」

「あ~~そうだ。うん。」


「そして…、なにやら…お姉さんがいるとか…。」


その声に内海、

「おぅ~~???もう…そこまで聞いたか。」


奈都美、

「あ…、はい…。…なんだ…けど~~。その…お姉さん…って…???」


内海、

「おぅ~~。ん~~。いい質問だ~~七瀬~~。」

吸っていたタバコの吸い殻をホールに入れて、

「尾田君には…腹違いの姉がいる。12歳…歳が違う。かかか。美人のお姉さんだ。ある総合病院の心臓外科医師の奥さんだ。今。」


その声に奈都美、

「えっ!!!」


「そして…。」


奈都美、

「…ん…???」


「ここからが重要だ。尾田君には…両親がいない。」


いきなり奈都美、

「うそ。へっ…???」


「尾田君の父親はある建設会社の社長だったんだ。若い頃にある女性と知り合って結婚。そして、一年後に女の子が産まれた。それが今の尾田君のお姉さんだ。」


奈都美、

「……。」


「会社もその頃は立ち上げで、社員たちは獅子奮迅~~。お姉さんも元気に成長。小学校を出て、中学校に。…けど、その中学校の入学式の帰りに、事故が起きた。」


奈都美、

「えっ…???」


「学校近くの交差点で、信号無視の車に、撥ねられた。」


奈都美、

「うそ。」


「内臓破裂で、そのまま即死。」

「そんな…。」


「最愛の妻を失っての尾田君の父親。けれども、必死に会社経営。」


奈都美、

「うん。」






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