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今のままで…いい…。 vol.037 瀧澤、「うちのルーキーなんだから、頑張れ。」

伸永、瀧澤の前でいろいろと指示をもらい、その度に、頭をコクリ。

そして、小さな声で、「はい。」


その度に瀧澤、

「はい、もっと声おっきく。元気に。うちのルーキーなんだから、頑張れ。」


伸永、

「あ、はい。」

そして、懸命に背筋をピンと伸ばして、

「はい。ありがとうございます。」


その姿勢と声を見て、聞いて、瀧澤、

「ぷっ。うん、よろしい。」


つかつかと自分の席に戻る伸永に靖子、

「はい。そうそう。いつもしっかりと、そんな風に歩く~~。伸永~~。」


その声に、ムキになって歩く伸永。


翔、

「かかかか。おま、なんでそんな力を入れる~~。逆に不自然~~。」


その声に木綿子。

「ぷっ。」


斜め向かいの席で、困ったような顔の奈都美。


電話の音。内線である。


葉月と翔の真ん中の電話機。翔、葉月に、「俺が出る。」のゼスチャー。

「商品開発部、幸村です。」

そして受話器を持ち直して、

「…あぁ…、お疲れ。……うん。えっ…???あぁ…。うん。」

翔、隣の伸永を見て、

「うん。」

そして、向かいの奈都美の顔をチラリと見て。

「あ…。あぁ~~。え~~???」


その声に、隣の葉月、翔の顔を…。

向かいの奈都美も…。


「あ~~、分かった。うん。うんうんうん。」

そして受話器を戻して。


葉月、

「どしたの…???」


そんな葉月に翔、

「ふ~~~ん。なんだかな~~。営業で、尾田君…ちょっと借りたいって言ってきた。」


葉月、

「はい…???営業の…誰よ…???」


「誰って…。分かんだろ、こっちの、この電話に内線する営業…って言えば。」


「はっ…???」

目をキョロキョロとさせて、葉月、

「もしかして…。」


「そっ。もしかしての…あいつ…。」


「加瀬優里亜。」

「ご名答~~。」


その名前に奈都美、

「へっ…???どしたの~~???」


翔、

「加瀬がさ、尾田君をちょっと借りたいって、言ってきた。」


伸永、翔を見て、

「えっ…???」


奈都美、

「なんで。なんで、加瀬さんが~~???」


「ん~~。なんでも、尾田君が、芸大出で、絵の才能があるって…、聞きつけたみたいでさ。」


「絵の…才能…???」

首を傾げて奈都美。


「うん…。なんだか…、営業の方で、あるキャンペーン、やるんだとか…。しかも、かなり…若層向けの…。」

「はぁ~~あ…???」


「それに…、なんとも、いいアイディアと言うか…、いいデザイン…思いつかないんだと…。…つまりは…インパクトのある…???」

「インパクト…???」


「…で、尾田君の力…???…って、訳…???」

隣から葉月。


翔、

「うん…まぁ…。」

口を捻じ曲げて…。


「いやいやいや。そんな事やったら、こっちの仕事…。」


翔、その奈都美の声に、

「ふん。…けど…。今思ったんだけど…。上から命令されるより、俺たちから…の方が…、尾田君にしても…、やりやすいんじゃないかって…。ほら。まだ、入社して、間もない訳じゃない…???」


奈都美、

「ん…まぁ…。言われてみれば…。…でも、けどさ…。」


「うん。分かってる、ナツの意見聞かないと。…って…。」


その時、隣の木綿子、奈都美の左肘を突っつき、

「やったんさい。これも何かの経験。」


「ん~~。」

腕組みをして。

「分かった。…けど、ひとつ、条件。私も付き合う。じゃないと、今の商品の事もあるし~~。」


翔、

「おぅ。んじゃ、今、電話してみる。」





そして営業部。

「おぅ、忙しいとこ、悪かった。」

迎えたのが、営業部の勝巳芳樹(かつみよしき)。


「お疲れ様。どぞ~~。」

加瀬優里亜である。


「実は、来月から1ヶ月限定で、キャンペーンをすることに決まったんだ。」

芳樹。


翔、奈都美、

「キャンペーン…???」


優里亜、

「ふん。…で…、そのキャンペーンのデザイン…、商品開発部の尾田君…借りたいなぁ~~って思って…。」







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