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今のままで…いい…。 vol.034 聞こえてくる声、「もし…、もし…。」

すかさずスマホを耳に奈都美、

「もしもし…。もしもし…。」


聞こえてくる声、

「もし…、もし…。」


そのたどたどしい声に、いきなり奈都美、

「ガクッ。」

そして、

「お~~~い。」

声に出していた。それに気づいて、

「あ。ごめん。」


耳に届く男性の声、

「あ。…いえ…。」

奈都美、

「ビ~~ックリしたよ~~。電話来てたなんて、知らなかった~~。今、お風呂から上がったばっかだったから~~。」


そんな声に返ってくる声、

「あっ。ごめんなさい。僕…。」


「何、どうしたの…???」

「あの…。いえ…。夕べは…。あの…。その…。ありがとう…、ございました。」


「へっ…???…どうしたの…、いきなり…。」

いつの間にかベッドの上で胡坐を掻いている奈都美。


電話の相手は伸永である。


聞こえてくる声、

「あの…。昨日の…、姉ちゃんから聞かれて…。」


「うんうん。」

「話したら…、喜んで…くれたみたいで…。」


そんな伸永の声に奈都美、

「うんうんうん。」


「あの…。」

「うん…???」


「仕事、頑張ります。」


奈都美、可笑しくなって、

「う…、うん。分かった。」


「じゃ…。」


そしてプツリと通話が切れる。


「うん、じゃ…。はい…???…って、いや…、それだけかぃ。」

いきなりドドッと、疲れが…。両肩を落として、頭をガックリと…。

「話の途中で、いきなり電話、切るなよ~~~。もぅやだ~~~~。翔~~~。」

そう言いながら背中からベッドにバン。そしてまた起き上がり、

「もぅ~~。のぶなが――――――っ!!!」

ぶすっとした顔で…。




キッチンで料理の下拵えをしていた奈留美、そしてテーブルでお茶を飲んでいた広武も、

「なに…???」

「なんだ…???今の声…。」


奈都美、

「へっ…???今、私…なんて言った…???」


広武、いきなり階段から2階に、

「ナツ!!!どした~~???」


奈都美、舌を出して、

「ヤ~~ッバ。」

そして、

「なんでもな~~い。」


広武、テーブルに戻って、

「なんだよ、驚かすなよ。」


奈留美、

「なんなの、今の声~~???」


広武、首を捻って、

「さぁ…???」



そして数分後、廊下を歩く妃呂美、

「あ~~さっぱりした~~。」

キッチンの冷蔵庫からオレンジジュースを。

グラスに注いで、飲んで…。グラスを洗って、

「あっ、おかあさん、それ…、明日の…下準備。」


奈留美、

「うん。明日、かあさん、朝からなんだかんだで予定びっしり。だから、明日は簡単に出来るように、今から。」


妃呂美、

「うん。さて。寝よう~~っと。」

階段を上る妃呂美。


「…って~~事は…あいつにゃ、聞こえなかったと~~。」


奈留美、

「ふん。その…ようね~~。…って言うか、お父さん。」


広武、

「ふん…???」


「ほら、妃呂美が買って欲しいもの…。なんだったの…???」


その声に広武、

「あ~~。いや…。聞いて…ないけど…。」


「ぷっ。う~~っわ。恐~~~。」


その声に広武、

「えっ…???なんで…???」


「もんの凄いもの…、ねだられるかも~~。クッククククク。」

「ま~た、またまたまた~~。かあさんまで~~。」


「くっくくく。た~のしみだ~~。大学2年。覚悟しておいた方が~~。」


そんな妻の声に広武、

「かあさん…。」

口を尖らせて…。


そして、

「へぇ~~。」

思わず、左肘をテーブルに。そして左手甲にオデコを乗せて、

「参ったな…。執念深~~。」


そんな夫を見て奈留美、

「そりゃ、女ですもの。好きなもの、買ってくれるとなりゃ。考えちゃうよね~~。じっくりと…。」


広武、今度は両手を脇に、

「ふん。」

そして、

「寝るわ。」



奈留美、

「はい。おやすみなさ~~い。」






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