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今のままで…いい…。 vol.003 「七瀬、おまえ、尾田と一緒に、担当してくれ。」

そんな内海の声に、多少なりともピクリとする翔、

唇を尖らせて奈都美の方を見る。


奈都美、書類を見ながら、

「加瀬…さんの~~。」


「それでな、それを七瀬、おまえ、尾田と一緒に、担当してくれ。」

内海。


奈都美、その内海の声に、

「はい…???」

いきなり般若のような顔をして奈都美、

「い…あ…、あの…。は…あ…???」


内海が続ける、

「実はな。おまえが鹿児島に行って、2、3日後に、何件か、新しいのが入ってきてな、それをみんなに振り分けて、一件落着。…と思ったらその後、またまた新しいのが入ってきた。お馨(きょう)さんからな。…しかも…、それ…、お馨さんから、七瀬、お前ご指名だ。」



お馨さんとは、部長の瀧澤馨子の事である。



その声に奈都美、

「え~~~。あっちゃ~~。」

そして小声で、

「しかも…、オタクの…新人と…。」

くしゃりとしながら…。


「まっ、後輩を…育ててくれと言う意味でも、頼む。」


奈都美、

「え~~~~っ!!!」

膨れっ面をしながら…。何気なく向かいの席の方を向いて、

「お…だ…、くん…と…。」

そしてその隣を見て…。


両手を合わせて、「スマン」のゼスチャーの翔。


奈都美、

「んもぅ~~~。」


康、奈都美の傍で、

「んじゃ、頼む。」


奈都美、不貞腐れた顔して、

「ふぁ~~い。」






グラスで酎ハイを飲みながら、

「もぅ~~。なんなのよぉ~。新人教育って~~。帰ってきて、早々~~。」

まだ不貞腐れが収まっていない奈都美。

左隣に体を向いて、右肩をペンと叩いて、

「ねぇ!!!」


「痛って!!!…って…。」

右目を瞑りながらの翔。


「かかかか。そりゃ、帰って早々、散々な目に遭ったな、都(みやこ)。」

都と、奈都美の事を言う男性。


奈都美、

「ほんとだよ。もぅ~~。剛(ごう)ちゃん、お代わり。」


「はいはい。…って、いいのか~~都~~。帰んなくって~~、奈留(なる)ちゃんから、怒られても、知らないよ~~。」


その声に奈都美、

「これが飲まずにいられますっかって~~の。」


その剣幕に剛輔(ごうすけ)、

「お~~こわっ。」


奈都美の隣の翔、

「やれやれ。」



ここで言う剛ちゃんこと、八神剛輔(やがみごうすけ)、七瀬家が関わっているパブである。

奈都美の母親、七瀬奈留美(ななせなつみ)の、こちらも、幼馴染である。


奈都美がまだ新生児の頃、

「奈留美に奈都美。なるになつって言うのも、つまんねぇよな。」


と、言い、奈留美から、

「何バカな事、言ってんのよ、変な呼び方…しないでよね。剛ちゃん、いっつも可笑しな事考えてんだから…。」


そんな声には全く耳を貸さずに剛輔、本気で悩んで…。


「駄目だ、こりゃ、とんでもない呼び方する~。」

奈留美。


隣で、奈留美の夫、広武(ひろむ)が、

「くくくく。」


奈留美、

「ヒロくん。パパ。冗談じゃないわよ。」


そんな心配顔の奈留美を可笑しそうに見ながらも、広武、

「さて…???」


剛輔、

「おし。決まり、奈都美の…真ん中を取って、都(みやこ)。うん。」


その瞬間、奈留美、

「は~あ~~~???」


広武、

「かかかか、出た、とんでもない呼び方。」

手を叩いて…。


奈留美、

「もぅ~~。勘弁してよ~~。」


…とは言え、剛輔がいなかったら、奈留美と広武の今は…ない。

そして、剛輔の、奈都美の事を呼ぶときの、「都」が…、何故か今でも、承認されている。

しかも、不思議に、奈都美自身も既に、その呼び方に慣れているという。


ある時、奈留美、

「仕方ないじゃない、真面目な顔して、奈都美の事、みやこって…言うんだもん。ふん。」


広武も、

「まっ、いっか~~。」



奈都美、2歳の時、

「私って…なつみなの…???みやこなの…???」


奈留美、そんな奈都美に向かって、両脇に両手を当てて、

「奈都美ですっ!!!な~つ~みっ!!!」





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