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What‘sawonderful another world ! ~なんて素敵な異世界なんだ!~  作者: 詩森さよ(さよ吉)
第2章

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第79話 アイネ


 そうこうしている間に、メイド長のローラが戻って来た。どうやら王国の問題児であるアイネが帰って来たらしい。ただ送って来た男と馬車の中でイチャイチャしているから、もう少しかかるだろうと言われた。


「それは第一王子殿下なの?」


「いいえ、アイスナー伯爵。殿下の護衛騎士であるロドニー=カレンス卿です」


「カレンス……男爵家だな」


「オルロープ伯爵、ロドニー卿は三男ですがかなりの遣い手です。殿下の学内護衛に選ばれたことから、近衛騎士団に入団が決まっております。わたくしも同学年で友人でしたが、彼がアイネと親しくなってからは絶交を言い渡されましたの」


「絶交した伯爵令嬢の実家に堂々と来る近衛騎士見習いか……矛盾した行動ですな」


「全くですわね」



 しばらくしてやっと男が帰ったようで、アイネが甘えるような声を出しながら入って来た。どうやらアイスナー伯爵がお呼びだと言ったようだ。


「お父さまぁ、用事ってなぁに? わたし、着替えたいんだけど」


 だが中にフィリシアがいるのを見ると途端に態度を態度を変えた。


「げっ、悪役令嬢!」


 悪役令嬢って、こいつまさか転移か転生者か?


「またそのようなみっともない声をあげて……。以前からずっと聞きたかったのだけど、その『あくやく令嬢』とは何のことかしら?」


 アイネは当然答えられない。なぜなら見知らぬ大人が多数いて、しかも父母が床に直接座らされているからだ。


「お父様、お母様! これは一体なんなのよ!」


「もちろんアイスナー伯爵位を簒奪しようとした犯罪者を取り調べているところですわ。もちろんあなたも共犯よね? アイネ」


 フィリシアは後ろに控えていた友人のアラベル夫人の方に振り返って声を掛けた。。


「彼女がつけているネックレスは不当に取り上げられたわたくしの母のものよ。覚えているかしら?」


「もちろん、おばさまのお気に入りでよく付けていらっしゃったわ」


「罪状に付け加えてください」


「ちょ、ちょっと待ってよ! これアンタがくれたんじゃないの!」


「髪の毛をむしり取られそうなぐらい引っ張られて、嫌だと言えなかっただけです」


「その暴力をふるったのは?」


「ピーアよ。わたくしの持つものは全部アイネのものだって言いながらね」


「平民が次期伯爵に暴力をふるった。これだけで死罪でもおかしくないですね」


「ハァ? しつけでしょ、そのくらい。ママがそう言ってたもん」


 と言ったと同時に、ゲオルグがアイネの髪の毛を掴んで振り回した。


「こんな感じですか?」


「いえ、その前に何度も平手打ちされてからです」


「なるほど、この家のしつけはきびしいですね。婿になる私もその流儀に習わなくては」


 そして髪を掴んだまま、アイネの両頬を平手打ちした。


「痛い痛い! 止めて」


「この家の家長に対して言葉遣いがなっていない。しつけの時はこうするのだろう? これでも加減している。身体強化を掛ければ、お前の頭ぐらい吹っ飛ぶのだから」


 聞きたいことがあったので俺は止めた。


「ゲオルグ。人間の頭は繊細だからそれぐらいにしておけ。

 フィリシア、オルロープ伯爵、ちょっとだけ俺に時間をいただけませんか? 

 彼女に聞きたいことがあるんです」


 2人は困ったように顔を見合わせていたが、フィリシアが俺を恩人(正しくは恩人が預けた人)だからと場を譲ってくれた。



 俺は日本語で聞いてみた。


『アンタ、転移者か転生者か?』


「えっ? 日本語? マジ?」


『そうだ、俺は日本人だ。正確にはイギリス人とのハーフだけど。それで質問に答えてくれ。日本語でもいい』


『えっと、てんいってのはわかんないけど? こういうのは全部転生者なんじゃないの?』


『転生者ね。それで生前クラッシックコンサートに行くようなタイプだったか?』


『はぁ? あーしの趣味聞いてんの? 今それどころじゃないんだけど』


『俺にとっては重要。早くしてくれ』


『そんなの行った事ない』


 つまりおばあさまのコンサートで死んだ訳じゃないってことだな。


『そっか、じゃあ助ける必要ないな』


『ちょっと待ってよ。助けてくれるつもりだったの?』


『関係ないって判明したから、もう助けない。アンタこれから平民落ちして、ひどい目に遭うって決まってるから、せいぜい反省した様子を見せて情状酌量してもらうんだな』


『ちょ、あーしが何したってんのよ。これは乙女ゲームなんだから、ヒロインのあたしがいないと話すすまないじゃん! このゲームはバッドエンドも友情エンドなだけだし』


『俺はこの世界は乙ゲーじゃなくて、ラノベだと思うぜ。流行ってたじゃん。ドアマットヒロインとざまぁされる義妹モノ』


『ラノベなんか読んだことねーし。あーしはマンガしか読まないもん』


『乙女ゲームや悪役令嬢モノも流行ってたからな。コミカライズにもあったと思うぞ?』


 アイネは首を横に振った。兄と弟がいたので少年漫画中心だったんだって。確かにドアマットヒロイン物は少女漫画っぽいよな。

 うーん、でもあまりにフィリシアがドアマットヒロインすぎるしなぁ。


『で、なんてゲームなんだ?』


『名前忘れた……でも伯爵家の庶子が貴族学園で攻略対象と出会って恋に落ちるんだ。それで幸せな結婚でハッピーエンド』


『さっきのロドニーや第一王子は攻略対象なんだな?』


『そう、そんでハーレムエンド目指してるの。

 ちょっと待って! あーし、アンタのこと知ってる!』


『何⁈』


『そうそう、アンタ御曹司じゃん。カーライル社の全部を相続するって。

 えっと名前は……そうだ! 田原雄大だ‼』


 何で俺の名前を知っているんだ? 確実に知り合いじゃないことだけは確かなのに……。

 そこはすぐにでも聞き出さなければならない。

お読みいただきありがとうございます。

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