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What‘sawonderful another world ! ~なんて素敵な異世界なんだ!~  作者: 詩森さよ(さよ吉)
第2章

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第74話 贈り物


 結局は国に何と言い訳して戻るかはフィリシアを送り届けてからの話になるから、先延ばしすることになった。


 それに今回はベリンダの時みたいに3日滞在って訳にいかないかもしれない。

 なにしろ旅先で出会って恋に落ちて婚約までした設定なんだから。


 フィリシアを虐待して財産を取ろうとしていた家族となれ合う必要はないが、婚約者として社交をして他の貴族に実在することを印象付けないといけないのだ。



「それなら仲間としてわたくしたちも行かないといけないわよね。

 ユーダイ、衣装がいるわ。わたくしだけでなく、エスコートするあなたの分も!」


「それってパレードのときの衣装ではダメな訳?」


「初日はそれでいいけど、パーティーやお茶会に行くときはダメよ」


「悪いが諦めてくれ。金がない」


「そこを出すのが貴族というものだよ。

 ユーダイがダンスやマナーが得意でよかったですね、殿下」


「ええ、勇者だから多少の無作法は許されるでしょうが、見栄えがすることに越したことはないわ」


 ハン! 見栄えね。

 それはおばあさまとカーライル社のために身に着けたからだ。ただでさえ欧米人からアジア系は下に見られるのに、無作法まで笑われるなんて許せなかったのだ。

 もちろんこちらとは作法が少し違うけれど、エレガントな仕草というのは一朝一夕では出来ない。背筋を伸ばして美しい姿勢を保ち。指の先まで神経を行き渡らせて優雅に動くのだ。


 それにしても貴族とは見栄の生き物なんだ。面倒すぎる!


 だが無い袖は振れない。

 相談の結果、金策のため俺たちはダンジョンに行くことにしたのだ。



「予定を伸ばして、ダンジョンですか……」


「すまない、フィリシア嬢。君と共に社交をする資金が足りないのだ」


「フィリシア嬢、そろそろゲオルグに敬称なしの呼び方を許してはいかがかしら? 旅先での恋愛による婚約なのに、2人はよそよそしすぎるわ」


「確かにエリザベート殿下のおっしゃる通りです。

 わたくしのことはどうかフィリシアと。殿下と勇者様もそうお呼びください」


「では私のことも姓ではなくゲオルグと」


「はい、ゲオルグ様」


「ダンジョンで稼いだ資金で、改めて君にドレスを贈りたいと思う」


「そこまでしていただくのは心苦しいですわ。皆様、旅の途中ですもの」


「だが普通の婚約者ならするものだろう?」


「それにドレスは時間がかかりますわ。

 装飾品はいかがでしょう? いつも首からかけていらっしゃいますよね?」


 するとゲオルグは服の上からそのあたりをギュと握った。


「これはダメです。死んだ婚約者の形見なので」


「……無作法なことを申し上げました」


 雰囲気がグンと下がってしまった。しようがない。



「えっと、この魔石を使ったらどうだろう?」


 俺はポケットにある小袋から色のきれいな魔石を取り出した。


「これは?」


「ダンジョンなどで分け前を貰う時に時々買っていたんだ。すごい力があるとかそういうんじゃない。元の世界に戻れたら身に着けたままで持ち帰れそうなものとして持っていただけだ。これなら向こうでも貴石としておしゃれに使えるだろ」


「向こうに恋人を置いてきたのか?」


「いいや、祖母と母と妹にやろうと思ってさ。小さいものでネクタイピンなんか作って大伯父や父やおじたちにあげるのもいい」


 そうなるとジジイにもやらなきゃダメか。


「……諦めてないんだな」


 俺は返事しなかった。

 なぜ諦める必要がある? 俺は絶対に時間遡行して元の世界に戻るんだよ。


「とにかくこの中からゲオルグの瞳の色の石を見つけて贈れよ。これなんかどうだ?」


 青い石はそれなりにある。母がブルーアイなので集めたんだ。


「とりあえず石のままでだ。婚約するほどの恋人になんのプレゼントもしていないのはおかしいからさ。

 言いわけとしては、いい職人がいなかったからアクセサリーに出来なかったんだ。ドレスも同じいい訳でいい。

 だが先立つモノはいるのでダンジョンには行くしかない。

 その間フィリシアさんを1人にしてしまいますがどうされますか?」


「わたくしは宿で大人しくしていますわ。ここより近くなりますとわたくしを知る者がいないとも限りませんので」


「ではこの宿の延泊をしましょう」


「フィリシア、もっと早く気付くべきだった。申し訳ない」


「いえ、わたくしも……婚約者から贈り物をもらうということを失念しておりました。全くもらっていないわけではなかったのですが……もらってもすぐに義妹に取り上げられていたので覚えていなかったのです。その婚約者はわたくしが気にいらないので義妹にあげたと思い込んでいました」


「まさかそれで婚約破棄されて、義妹と結婚すると言い出したんですか?」


「まぁよくご存じで。その後主様が連れ出してくださったのです」


 その、なんだ。なんだろう、この恐ろしいまでのテンプレ感。


 母親が生きている間は幸福な伯爵令嬢→亡くなってから義母義妹からの虐待とメイド扱い→婚約者に誤解され婚約破棄→魔族に誘拐(正確には逃走)→勇者パーティーに救われ、そのメンバーと婚約(正確には魔族からの依頼兼偽装婚約)。

 俺でもラノベ書けそう。



 そんなわけで急遽ダンジョンへ行くことになった。俺のきれいなだけの魔石はダンジョンで何も見つからなかった時の保険となった。さすがに俺の家族へのお土産に手を着けたくないとゲオルグが言うのだ。

 まだあげていないから、思い入れもないというのに……。


お読みいただきありがとうございます。

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