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What‘sawonderful another world ! ~なんて素敵な異世界なんだ!~  作者: 詩森さよ(さよ吉)
第一章

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第6話 父との話し合い2


「それより話があるんだ。わたし、この村を出ていく」


「出ていくって、お前まだ子どもなんだぞ? 一体どこに行くっていうんだ?」


「あのね、今出て行かないと次に接待役にされるのわたしだから」


 だいたい12歳の子どもなのにやらせようとした時点で、父さんへの復讐のつもりだったんじゃないかって思う。しかも今回私は勇者に村長から搾り取れとまで言ってしまった。絶対に恨んでいると思う。


「わたし、接待役から逃げようとオークの村を漁りに行ったの。そこで本物の勇者様と出会ったんだ。でもそのことはずっと村長にねちねち言われると思う。それに村の若い女はみんな被害に遭ってしまった。わたしは子どもだけど、呼ばれたのに上手く逃げたように見える。村長と村の女たちに、もしかしたらその女ヒトのことが好きだった男たちにも恨まれるかもしれない。だから次にこんなことがあったら、わたしが絶対やらされる」


 村長の嫁2人と娘が村から出されているのを棚に上げて、わたしを矢面に立たせるはずだ。なぜなら私には失点があるからだ。


「それは……そうだな」


 そう、父さんから見てもそう思うのだ。オークの村を1人で漁りに行くことは村への裏切り行為だ。たとえ翌日に焼き払うって言われていてもね。その前にみんなで家探ししようってことになったかもしれないし。



「それでどうするんだ?」


「勇者様について行って、都会に行く。都会なら10歳過ぎていれば、冒険者になれる。冒険者になれば、雑用でお金をもらって地道に働いていける」


「……」


「そんな簡単じゃないと思うけど、ここでみんなの慰み者になったり、したくない接待をさせられたりするのはイヤ。自分の道は自分で切り開かないとダメなの。それで失敗したなら、後悔はしても納得もできる」


「……そうか」


「ごめん、父さんたちに迷惑かけるね」


「俺たちはいい。最悪、この村を出て行ってもいいしな。もしかしたらその方が母さんも暮らしやすいかもしれないな」


「お金があんまりないから、悪いけどこのパンはもらっていくね。できれば母さんと仲良くして欲しい。母さんは本当に傷ついているから」


 父さんは本質的に優しい。ここまで言って母さんをすぐに追い出すことはないだろう。後は母さんの態度次第だ。



「それで勇者様に本当について行けるのか?」


「わからないけど勝算はある。最低でも村を出るところまでは同行してもらえるくらいはしてくれると思う。それでもダメなら歩いてでも都会へ行くよ」


「そうだな、村を出るところまでは絶対に同行してもらえ。でないとただの裏切り者だからな。ちょっと待ってろ」


 父さんはそう言うと奥の部屋に行って、しばらくすると戻って来た。


「レナ、手を出せ。現金は渡せない。それでもないよりはマシだろ」


 手に乗せられたのは父さんが作った最高級品の薬草と、わたしの祖父が祖母に送った古い指輪だった。


「昔はもっとあったそうなんだがな。この村に入るときに売り飛ばしたと聞いた」


 つまり祖父はよそ者だったわけだ。貴族だったのかもしれない。父さんの水魔法はそこからなのかも。


「ありがとう、父さん」


 あとはユーダイ様との交渉をしなくてはいけない。もう時間があまりない。いまが別れの時間なのだ。


「あの人たちが出ていく前に話をつけてくるよ。ごはん出来たてだから温かい内に食べてね。何度も同じこと言うけど、母さんと仲良くね。それからいつまでも元気で……」


「わかった、わかった。お前は母さんに似て心配性だな。

……でもこんなことで娘を失うなんて思ってなかった」


「失ってないよ。失わないために出ていくんだよ」


「そうだな」


 そういって父さんは私を抱きしめてくれた。本当は母さんにもそうしてもらいたかったけど、今の状態ではとても頼めなかった。



 わたしが家を出るともうすっかり暗くなっていた。父さんが畑から帰って来たんだからそうなるだろう。

 ユーダイ様のお仲間は敵だったはずの魔族だ。どうして同行しているんだろう?

 すごく狂暴と聞いてるけど、テイムとかしてるのかな?

 とにかく魔法が使えるなら、この村に泊まらないかもしれない。早く行かないと見失ってしまう。


 村長の別宅まで駆けていくと、ちょうどユーダイ様たちが出てきたところだった。


「勇者様! お疲れさまでした。申し訳ないんですがお話があります」


「お前、助けてもらった分際で図々しくない?」


 金髪の少年が私のことをウザそうに見てくる。魔族だから迫力があって、体がすくみそうだったが話をするのは今しかないのだ。


「お願いです。話を聞いてください、ユーダイ様。いえ、田原雄大さん」


 わたしが彼の本名を言うと彼は目を丸くして驚いていた。


「えっ? 俺のこと、知っているの?」


「はい、わたしが死んだときに多分ご一緒でした。わたし、子どもの頃からエリーゼ様のファンで、縦浜の引退コンサートに行っていたんです」


 エリーゼ様とは私の最推しの1人、ピアニストのエリーゼ=カーライル様で、彼は彼女の孫なのだ。


「マジか……悪ぃみんな。俺ちょっとこの子と話するわ」


 ユーダイ様はお仲間に断って、少し離れた所で話を聞いてくれるようだ。これで最低でも村を出るところまでは一緒にいてくれるだろう。あとは話の進み方次第だ。


お読みいただきありがとうございます。

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