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What‘sawonderful another world ! ~なんて素敵な異世界なんだ!~  作者: 詩森さよ(さよ吉)
第2章

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第56話 最後の子ども時代


 俺は萌香の言う通り、『好きなことをして』楽しむことにした。

 イギリスへ行かなかった中学3年と高1の1学期途中までは最後の子どもの時間だったと今でも感じる。友達と遊んだり、キャンプに行ったり、恋はしなかったけど女の子たちとグループデートもした。


 それと中学に入った時に出来た友達の影響ですっかり腐女子になってしまった萌のために、コミックマーケットに行ってコスプレまでさせられた。あの時は黒歴史になると思ったけど、堂々とすれば歴史だと割り切ることにした。レナの前世『柳ほまれ』先生の薄い本を買いに行ったのもこの時だ。



 だけど遊んでいただけではない。体力作りを兼ねて軍隊で採用されているシステマやクラウマガなども学んだし、サバイバル実践もさせられた。要は無人島のようなところ(島とは限らない)に放り込まれて、1週間生き延びろってヤツだ。テレビでやっている無人島生活なんて、俺から言わせればなんて親切なんだと思うぜ。だって銛があるし、鍋があるし、油や小麦粉もあるんだぜ?


 俺の場合は学校帰りにそのまま拉致されて、勝手に置いて行かれるのだ。だから常にサバイバルキットは生きるための必需品だった。転移ができるジジイにいつ連れていかれるかわからないからな。

 そのキットケースに塩を忍ばせておくのも大事だ。最初の時はなかったものだから捕まえた蛇やカエルをとにかく炙って焼くしかできなかったからな。味気なくて辛かった。せめて海があれば海水で洗うことだってできたのに。とにかく塩があるだけでものすごくQOLが上がるってもんだ。


 この時の経験は友達とのキャンプだけでなく、異世界に来ても役に立ったな。


 ジジイもそれなりに気を遣っていたみたいだ。

 一応死なないように身体強化と並列思考、魔力増大、あとなんだっけ? そうそう状態異常無効ってスキルは与えられた。

 身体強化は元の体力を強化するものだが俺は子どもの頃から鍛えているのでそれはいい。だが強化を使うには魔力が必要だから魔力増大も必要。並列思考はどんな状況でも考え抜く力。状態異常無効はもし毒性のあるものを食べても死なないようにするやつだ。これも結構魔力を食う。異世界に来たら魔素が多かったけど、あちらは世界の維持にしか使われていないからな。



 あとやらされたのが物作りだ。スキルによっては実経験があるだけで開花しやすいのだ。例えば陶芸は、土をこねて整形しうわぐすりをつけて乾かしてから焼くとできる。この手順を頭で知っているだけでなく実際に触って作ったことがあると、習熟度が高まりスキルとなるのだ。おかげで陶芸だけでなく、いろんなものを作らされた。


 その中でやってよかったのが刀剣の研ぎ師体験だ。ほとんど見学だったけど、ちょっとだけ見本刀を研がせてもらったのだ。本当はこういうのさせてもらえないらしい。恩人からの紹介だからと特別にさせてもらったのだ。


 柔道と剣道は俺が子どもの頃に始めた武道だった。柔道は父さんが道場をやっていたからだけど、そこに通う友達が剣道もやっていて一緒にやりたいと思ったのがきっかけだ。


 こっちに来て与えられた俺の聖剣は初め片手剣だったけど、刀に進化して誰も研げるものがいなくて困ったのを覚えている。魔力で変化するんだから魔力で強化できると思うよな? それが違ったんで慌ててドワーフの名工に出したら、刃が薄すぎて俺が望む結果になるかわからないと言われてしまった。

 刃こぼれを起こしていつ折れるかわからない。それなら自分でやってみたらスキルとして生えたのだ。しかも強化なんかも自在にできるようになった。それからは売る以外に使い道のなかった素材や魔石が手に入ると嬉しくなったものだ。


 これはジジイから貰った『スキル取得小』というスキルのおかげだ。これを10個持っていたおかげで、『スキル取得大』にすることが出来た。体験したことをすぐにスキルとして習得できる優れたものだ。


 これを含めての俺のスキルのほとんどは、こっちに転移する直前にジジイの持っていた余っていたスキルを全部もらった。緊急事態で選択なんかできなかったからな。



 アレは忘れもしない、祖母がピアニストを引退して日本に住むと言い出したことから始まった。詳しいきっかけは忘れたけど、確か萌が祖母と遊園地で遊びたいと言い出したんだったと思う。


 それを叶えるには祖母は忙しすぎた。世界的な人気ピアニストだった祖母は大伯父と一緒によくコンサートを開いていた。いや大伯父は作曲メインにしていたから、演奏に従事していたのは祖母だけのことも多かった。

 数年先まで埋まるコンサートの予定、その合間に慈善活動で飛び回る日々。それでも夏のヴェリテラクスの滞在と、冬のクリスマスを家族で過ごす時間はあったし、じじいの転移のおかげでチョイチョイは会えていた。


 だけど一緒に遊園地で遊ぶとなると正規の手続きを経て移動してこないといけない。世界屈指の富豪の妻であった祖母の身を守るためには警備やらなんやらも必要だ。

 その上祖母は萌の年齢を気にし出した。


「これまで忙しすぎて孫たちとの時間を取れてなかったわ。私と遊びたいなんて言ってくれるのは、もう最後になると思うの。2人がもっと成長すれば、私より他の人といることを望むでしょうね」


 そうなると事態は急に祖母の引退に話は進んでいったのだ。


お読みいただきありがとうございます。


アンディのガチャでの価値は以下になります。


『スキル取得小』はシルバーチケットで貰えるスキルで10個集まると、ゴールドチケットで出る『スキル取得大』に変化します。こちらが20個集まるとプラチナチケットで出る『スキル取得特大』になります。


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