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What‘sawonderful another world ! ~なんて素敵な異世界なんだ!~  作者: 詩森さよ(さよ吉)
第2章

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第50話 コンプレックス


 その後も祖母は俺をそっと助けてくれた。どうやら萌のことも助けているようだが詳しくは知らない。


 大抵は電話やSNSだったけど、直接来てくれたこともあった。小学校に上がってからまた目の色のことで何度もからかわれたのだ。というか俺のコンプレックスは一方向へ向いていたから、目の色以外のことで他に言われて気にするようなことがなかったのだ。

 大体は無視していたし、触られそうになったら躱していた。でもいい加減イライラするしその頃には武道の心得があったものだから、いつもよりちょっと痛い目に遭わせようした。


 でも急に祖母が現れて、そいつらに俺が青い目なのは私のせいだから責めるなら私を責めろと言ってくれた。相手は急な大人の出現と責めろと言われても出来なくて逃げて行った。


「おばあさま、来てくれてありがとう。でも自分で何とかできたんだよ」


「そうね、ユウちゃんは強いね。でもその力をそんな風に使ってほしくないの。

 彼らはとても的外れなことを言っていたわ。ユウちゃんが黒目じゃないからって、何も悪いことをしていないのに責めるのはおかしい。

 でも暴力では物事は解決できないの。彼らを怪我させてしまったら、責められるのはユウちゃんなのよ。そうしたらあなたは本当にみんなから受け入れてもらえなくなってしまう……。

 そうなることは誰も望んでいない。 あなたを囃すあの子たちですらね」


 そう言っておばあさまは暴力や力を持つことの危険性を俺に教えに来てくれた。俺が叩きのめそうと思っていたヤツらは俺に関心があるだけだと諭したのだ。


「おばあさま、どうして来てくれたの?」


「うーん、今は行かないといけないってそう思ったから?」


「それにどうやって来たの? 車ないよね」


「それはね、アンディーの魔法なの」


「魔法……」



 そう言って帰ってしまった祖母のことを父に聞いてみた。


「今日、おばあさまに会ったんだ」


「へぇお母さんが? 仕事で来たのかな? ウチに寄るって?」


「どうしてすぐに信じてくれるの?」


 普段はイギリスにいる多忙な祖母が急に来るなんておかしいのに俺の言葉はすぐ信じられた。それは祖母たちが昔から神出鬼没だったからだそうだ。


「来るんだったら、ママに言っとかないと絶対怒るぞ」


「ううん、魔法で来て魔法で帰っていったよ。ねぇ父さん、魔法なんかないよね?」


「それがあるんだな」


「あるの⁈」


「ああ、プライベートジェットという大金持ちだけが使える魔法がな」


 父がそんなことを言ったものだから、魔法の話は忘れてしまった。それより萌が自分も祖母に会いたかったと駄々こねた方に気を取られてしまったのだ。それでなぜ祖母に会ったのか白状させられて、親父にも言われた。


「暴力はな、先に使ったら負けだぞ。それだけで皆から話を聞いてもらえなくなるからな」


「そうなの?」


「お前のことを暴力をすぐ使う悪い子どもだとしか見なくなる。1度貼られたレッテルをはがすのはすごく難しい。ユウは頭がいいから、もっと頭を使えよ」


「おばあさまには相手に関心を持って仲良くしたらどうだって言われた」


「それも手だな。普段はどうしているんだ?」


「めんどくさいから、無視してる」


「じゃあやってみたらどうだ? イヤなら向こうから近づいてこなくなるさ」



 すると萌が父と母の馴れ初め話を思い出したようだ。母が酔っぱらいに絡まれて助け出したのだ。


「でもパパはママをわるいひとから、じゅーどーでたすけたんでしょ?」


「そうだけど、向こうが先にママへ暴力を揮おうとしていたんだ。緊急事態だったからやった。でも俺は有段者だから、ルールギリギリだったけど。ユウもこのまま続けたら確実に有段者になるから、気を付けた方がいいぞ」


 その時有段者になったら、その技術は凶器を持ったのと同じと見なされると知った。正直、柔道は父が指導していたから始めただけでもう興味はあまりなかった。何よりも俺のコンプレックスの一方向は柔道なんかしない。いややったらすぐに俺が抜かされるのだ。


「父さん、俺柔道辞めたい」


「ええっ! もうちょっともうちょっとだけやろうよ! なっ?」


「だってピアノしたいし」


「俺の柔道を息子に伝えるという夢が~~~~」


 どっちにしろ異世界転移したから出来なかったな。ごめん、父さん。



 ちなみに絡んできたヤツらのことだが、そいつらと遊ぶようにしたらすぐにからかっていたことを謝ってくれた。どうも俺があまりに反応しないので腹が立って、ついそんなことをしたそうだ。しかもその中の1人の好きな子が俺に気があったのも原因だった。名前を言われたら親父の柔道教室で一緒の子だったので、見学に来ればと誘ってみてそのまま入会させた。

 その後のことは知らない。俺はお稽古事をピアノ中心にシフトしたからだ。


 普通だったらこんなにうまく行かないと思う。やはり祖母が絡むと違うのだ。俺は彼女への尊敬の念を深めた。


 ピアノを頑張れば、ピアニストである祖母が指導してくれる。ヴァイオリンなんか絶対やるもんか。俺の最大のコンプレックス先、祖母の兄である大伯父アルブレヒト=ルエーガーが一番得意としているからな。


 俺もアイツらの癇に障っていたのかもしれないが、こっちは全世界の男の敵と言っていいくらい癇に障るヤツなのだ。

お読みいただきありがとうございます。

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