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What‘sawonderful another world ! ~なんて素敵な異世界なんだ!~  作者: 詩森さよ(さよ吉)
第一章

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49/81

第48話 目標

昨日アップするのを忘れてしまいました。書いてあったのに……。

申し訳ございません。


 ユーダイ様はエリーゼ様の話を最大解釈して、自分が楽するのではなく出来ることを全部やるって決めたようだ。


「それで俺はやるかどうか悩んだ時には全部やることにしたんだ。あの偽勇者を探しに行ったのもそう。噂でそういうヤツがいると初めて聞いたところで、何となくやった方がいい気がしたからだ。つまんない話だから出かけたがらないみんなに、萌を探すついでにやっつけようぜってね。そしたらレナがいたんだ」


「それでどうして前はわたしを助けなかったってわかったんですか?」


「理由がわからないが答え合わせのようなものというか、物事を変えてしまった時に脳内に書き直す前の小説の原稿みたいなのが現れて前の文章が読めたんだ。

 レナの時の内容はマール国にある小さな村でオークのスタンピードが起こり、国の1/5が餌食になったって話だ。それでエンシェントドラゴンの件が終わった俺らが呼び出されて討伐に行ったんだ。だけどマール国の状況は悲惨だった。しかもスタンピードの理由が偽勇者だったので、俺はひどいバッシングを受けるんだ。それで俺はオーク退治以上のことはせず、マール国は周辺国に侵攻されて終わったとあった」


 うーわ、あの事件がとんでもないことになっている。

 いやユーダイ様を狙う悪魔がいるんだとしたら、彼の評判を貶めるためだったのかもしれない。


「じゃあ前の時のわたしは?」


「たぶんあの村でオークに喰われて死んだんだと思う」


 つまりわたしの存在は変えられないほどの過去ではなかったんだね。



 その後、エンシェントドラゴンの件がすむとそちらも話が変わっていたそうだ。前は彼が母親竜を倒し、赤ちゃん竜をバルティス王国に差し出したが内緒でウィル君と共に育てたんだそうだ。でも赤ちゃんはずっと鎖でつながれた状態で、時々討伐にやってくる勇者もどき(大体が転生者)を殺して生き延びるという過酷な話だったそうだ。


「でも今は母親に育てられているし、ウィルも時々遊びに行っているから。元気に育っているそうだよ。俺もそのうち見舞いに行くつもりだ」


 それに同行したかったけど、もうわたしは行けないんだ。寂しい……。


「ごめんな、画材や報酬はこれからも弾むから。よろしく頼むよ」


「はい……」


 ああ、わたしはユーダイ様を好きになりかけていたのだ。


 最初は元大人として息子みたいに心配していただけだったけど、頼りになるしズルい所も憎めないし。あの3人のいない所では息抜きして欲しいと、気楽に話しかけていた。

 付き合ったり、恋人になったりとまでは思っていなかった。でも仲間として自分の未来に彼がいると信じていたのだ。



 そうしてわたしは『常闇の炎』に籍を置きつつ、新クラン『カナンの慈雨』に移ることになった。ユーダイ様が雇った人と共に、サブクランマスターに就任したのだ。

 その時にジョアンナさんと会ったけど、受け継いだ財産管理のための帳簿や備品などの説明やメンバー紹介で終わってしまった。ユーダイ様の側を離れれば、わたしに関心はないようだ。


『カナンの慈雨』は始動したばかりで多少の混乱はあったが、ユーダイ様が選んだもう一人のサブマスはジューエルさんという豹獣人の男性だった。『常闇の炎』では獣人は入れなかったけど、こちらに入れるので奴隷たちを救ってくれるようになったのだ。12歳のサブマスなんて、誰も言うことを聞いてくれなさそうだしね。


 彼らの存在はわたしの支えになった。むしろ前から在籍して支配に慣れて無気力な人間たちよりも、獣人たちの方がしっかり働いてくれる。

 冒険者は採取もするけど、討伐がメインだ。このクランは討伐中心に行うようにもなった。それにまだ子どももいるので、私が街のお遣い事をすることを提案したら受け入れられた。掃除や届け物など子どもでもできる仕事は少なくない。

 大きなお金が絡む時は手が空いている大人をつけられるし、きちんと手順を踏まないと仕事を請け負わないようにした。これは配達内容がわからず危険物を運んだり、中身を盗んだと言われたりしないためのものだ。だから仕事を請け負う時には必ず大人がついて行くのだ。


 こうやって人の世話をするようになって、前世の夫である和くんの苦労がわかるようになった。わたしが絵を描いていられるようにどれだけサポートしてくれていたのか……。しかも先に死んでしまった。

 絵の仕事が一段落したら、一緒に旅行に行きたいと言われていた。わたしもスケッチしたいから行きたいというと、ノリノリでパンフレットも取り寄せて調べていた。どんどん計画が大きくなり、世界一周する予定だった。最初は豪華客船なんてどうって言っていたけど、移動中が飽きてしまうかもなんて話もしていた。


 あっそうか。ユーダイ様に惹かれていたのは嘘じゃないけど、今思えば和くんのような保護者を求めていたのかもしれない。だって私は彼自身のことを良く知らないもの。わたしの甘え心だったのだ。

 だけど和くんのようにわたしと旅行に行きたいとユーダイ様が言うはずもない。


 決めた! わたしはこの世界で長生きしよう。愛する人を見つけて、子どもを育てて、一緒に老後に旅行に行けるようなそんなヒトを探すんだ。

 失恋の痛手を癒すには新しい恋なのは、ラブストーリーの鉄則だもんね。





 ある日、『常闇の炎』から荷物が届いたと出迎えると、そこにはウィルとジャッコさんがいた。新しい画材を持ってきてくれたのだ。そのままジャッコさんは荷物をわたしの画室に運んでくれた。サブマスという立場は個室の仕事場があるのだ。


 その隙に少しウィルと話が出来た。


「なんかアイツらが追い出して悪かったな」


「ううん、こっちに来てユーダイ様に甘えてたんだなってわかった。あの人は忙しいから邪魔したくない。それにわたしも死にたくないし」


「そうだな、人間は簡単に死ぬ」


「……ウィルはあのヒトたちが怖くないの?」


「怖い? 俺が?」


「ええ、ユーダイ様は子煩悩だし。焼きもち焼かれてるんじゃない?」


 わたし程度でもここまで言われるのだ。一番に愛されている彼も妬まれていないはずがない。


「いいや、俺は2番目に魔力が多いし、それにいつかは父さんを抜くからな」


 そっか、魔力がないってのも不満の原因だった。


「ああそうか、レナはわかっていないんだな。魔力不感症だし」


 いや魔力不感症って、なんか言葉嫌なんだけど!

 でも言いたいことはわかる。

 こっちのクランに来て、一度借金取りの仕事について行った。その時債務者から威圧されたんだけど、みんなは動けなくなったのにわたしには全くわからなかった。淡々とお金を返してくれって言ったら、不気味に思ったのか返してくれたのだ。それ以外はめっちゃくちゃ弱いのにね。



「何がわかってないの?」


「なぜ俺が地味に見えるようにしたり、瞳の色を変えたりしているのかってことさ」


 そうだった。それもずっと疑問に思っていたんだ。


「だってウィルは亡国とはいえ王家の血筋なんでしょ。利用されないようにってことじゃないの?」


 母親の聖女様は王女で、ユーダイ様は結婚して公爵位をもらったと言っていた。


「俺に人間の血なんて一滴も入ってない」


「えっ?」


 じゃあ何で隠すの?

 ううん、ユーダイ様の子どもなんだから少なくとも半分は人間のはずだよ?


「俺は()()()()とは血のつながりがない。聖女の腹は借りたけど、そいつの血も引いていない。それでも聞きたい?」


 ゆらっとウィルの周りの空気が変わったような気がした。いらないと言えばいいのに私は頷いてしまった。



「ユーダイが倒したのは先代魔王。当代はこの俺だ」



 一瞬、息が止まっていたかもしれない。

 当代、魔王! ウソでしょ、ウィルが?

 生意気だけど、こんなに小さくてかわいくて天使みたいなのに?


「そ、それをユーダイ様は?」


「もちろん知っている。だから国を捨てて放浪したんだよ。まだガキの俺を殺されない様にするためにな。俺を愛し、守ってくれる。だから父さんなんだよ。

 このことはもちろん内緒だ。契約を忘れないで」


 とんでもないカムアウトだ。聞かなければよかった。『常闇の炎』から追い出されてよかったのかもしれない。


 そうだ、わたしには絵の仕事がある。ユーダイ様は約束通り、たくさんの画材と仕事をくれた。目標だって出来た。

 それまではしっかり働いて、わたしらしく絵を描いて行こう。

 うん、それがいい、それがいいよ。


お読みいただきありがとうございます。


こちらで第1章 レナ編 が終わります。彼女はこれからもちょいちょい出てきますが、ちょっと線を引いたお付き合いって感じでしょうか?


わたしの中でハーレムと言うものはちゃんと統制されてないと継続できないものだと思っているんです。ダラダラと増えていくものでもないし、女性たちが全員仲良くすることもない。


例えばある王様なり、皇帝なりがいて、妻が4人くらいいてそれぞれが派閥を持って統制をとっている。その妻にも序列がある。そしてもめ事が起きれば妻同士でかたをつける。行事なんかも妻同士が役割を持って進行する。

でも人間だったら権力欲が強くて妻同士でも争うけど、魔族は強さは求めるけど権力とか金銭とかつまらない柵とかには興味がない。あるのは生存本能。

その中でポッと出の女(平民でも下級貴族の娘でも、踊り子でも可)が寵愛を受けたら……誰かが派閥に入れるか排除だよね。統制が取れなくなるから。


つまりレナは魔力がないから派閥に入れてもらえなかったし、寵愛に行く前に潰されたってことです。



この作品ではただ恋愛ではなく、世界の存続と生きるためにユーダイにしがみつかないといけなくなった魔族と、自らの行いで世界を破滅させた男の贖罪との狭間で生まれる、何か愛のようなものが書けたらいいなぁって思っています。


なぜ主人公目線ではないのか? と疑問に思われた方もいると思いますが、最初は何も知らない人の目線ってのが欲しかったんです。三人称だと大分説明的になってしまうのもありました。すごく時間をかけて書いたら出来そうなんだけど、なかなか時間が取れなくて……毎日1話書くのでいっぱいいっぱいです。


昨日は失敗したけどそれでも続けられるだけは毎日投稿していきます。ここまで読んでくださった皆様に感謝を捧げます。そしてよろしければこれからも読んでいただけたらと思っています。



『それでも異世界は輪廻ってる』

https://ncode.syosetu.com/n3900ku/


こちらも週1ペースですがぼちぼち書いています。良かったら読んでいただけると嬉しいです。

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