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What‘sawonderful another world ! ~なんて素敵な異世界なんだ!~  作者: 詩森さよ(さよ吉)
第一章

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第3話 本物


「That‘s right.」


 その一言で分かりすぎてしまった。だって英語だもの。自然な様子から普段からよく使っていたのだろう。



「もしかしてあなたが本物の勇者ユーダイ様ですか?」


「もしかして君が案山子にへのへのもへじを書いた人?」


「はい、そうです」


 ベタな仕掛けだけどラノベで何度か見かけたことがあるから、転生・転移者の勇者なら気づくと思ったのだ。ただわたしの返事にユーダイ様はとても残念そうにため息をついた。


「そっか。ごめん、みんな。ここも空振り」



 彼が後ろをを振り返って謝ると、どこからともなく3人の人物が現れた、1人は白髪に赤い目の長身の美男だ。貴族の様に着飾っていて品もある。次は金髪に青い目の小柄な美少年だ。なんか妙な色気がある。最後の1人は長い黒髪を後ろに一括りしているこれまた美青年だ。こちらを絶対に見ないようにしている。一応みんな冒険者なんだろう。


「あの……勇者さま? どなたかお探しだったんですか?」


「話し中に放っておいてゴメンね。そうなんだけど君じゃないのはまちがいないから。それでどうする? 一応このオークは倒したほうがいいかな?

 代わりに偽勇者共は俺たちがもらっていくけど」


「は、はい。それで構いません。よろしくお願いします」


「えー、空振りならほっときゃいいじゃん」


 美少年がつまんなさそうに言うと、勇者ユーダイはため息をついた。


「いや、これはお前の眷属の力だと思うぞ」


「フン、かなり低位の夢魔メラだね。大分血が薄そうだから、僕じゃなくて前のヤツの眷属だよ。関係ないね」


「それでも100を超えるオークを眠らせているんだから、そこそこじゃないの?」


「ハン! 馬鹿にしないでくれる? 僕の直属ならオークごとき1000体でも眠らせるよ」


「ネェ、そんな無駄話をしている間にサッサと片付けてしまいましょうヨ。せっかくここまで来たんだもの。ユウの名前を汚した愚か者と遊びたいしネ」


 甘えたような女言葉、キレイに手入れされた爪がユーダイ様の首に絡みついて長い爪で軽くひっかく。……どうやら白髪の貴族はオネエさんのようだ。なんかすごくエロいです。前職魂をくすぐるけど、今はそれどころではない。あともう一人の黒髪はブスッとしたまま口を開かない。


「エディは人間が大嫌いなんだ。気にしないで」


「……はい」


 大嫌いって初めて会ったのにってひどくない?

 とても気になるけどそう言うしかなかった。私の返事を肯定と受け取った勇者ユーダイは呟いた。


「燃えろ」


 そのたった一言で集落全体が火で覆われた。中のオークが阿鼻叫喚になって暴れている。それでも家から出ることが出来ないようだ。あのカーテンは匂いだけでなく延焼も食い止めていた。それにしたってすごい魔法だ。あのカーテン型障壁は勇者が張ったようだ。それでもまだ音がしない。つまりこの集落全体も結界が張られているのかもしれない。

 そんなことを考えている間でオークたちは燃えてしまった。



「さて終わったね。それじゃあ君の村に連れて行ってくれるかな? 報酬の話もしたいしね」


「えっ、あの、魔石燃えちゃいましたけど……。わたし子どもだから証言認められませんよ」


 討伐部位か魔石がないと討伐したと認められない。


「大丈夫、大丈夫。俺、これでもちゃんとした勇者だから。きちんと証明できるから心配しないで。だってお金払ってもらわないとタダ働きじゃないか」


 もしかしてそのお金、私が払わないといけないのかな? 村全体のことだから村で払うよね?



 少しだけお金のことが心配だったけど村へ本物の勇者ご一行を連れて行くと、村長が駆け寄ってきてわたしを怒鳴りつけた。


「レナ! どこに行ってたんだ? 勇者様がお呼びだ」


「夜じゃなかったんですか? それにわたし……そんなことしたくないんです」


「馬鹿か! お前、村を追い出されていいのか?」


「はい。構いません」


「なんだと⁉ わがまま言うな‼」



 村長はわたしの腕を掴んで引きずってでも連れて行こうとしたが、勇者ユーダイがサッと庇ってくれたのでそれ以上は手が出せなかった。やっぱり本物の勇者様は違うね。


「こんな子どもに暴力はよくないよ、おじさん」


「その人がこの村の村長で、お金の管理をしています」


「ああ、ちょうどよかった。討伐料金払ってもらわないといけないしね」


 こちらこそよかったよ。わたしが討伐依頼出したみたいに感じていたから、支払いを求められるかと思ったじゃない。

 馬車代だって出せないわたしに100を超えるオークの討伐費用なんて出せるわけがない。


「何を言っているんだ。はぐれオークでもいたのか?

 ほれ、すぐにでも払ってやるよ。さっさと討伐部位を出せ」


「討伐部位はないけど、さっき倒したオークの魔石114個でどう?」


 ユーダイ様は何もない所に手を入れて、ざらざらと魔石を取り出した。燃えたんじゃなかったの? すごい! これがラノベで有名なストレージなんだ。自動回収できるんだわ。


 わたしが興奮を抑えられなかったと同じに、村長も初めて見たみたいで呆気に取られていた。だが勘定高い男だからすぐに正気に返った。


「小さいのもありますな」


「それはオークの幼体の分だね。でも大きいのもあるよ。これがオークリーダーで、こっちがオークメイジ、この大きいのがオークナイトだね。これを放っておいたらジェネラルになっていたよ。あと集落もきっちり燃やしておいたから。森への延焼もなし。すぐにでも見に行ってもらってもいいよ」


 それでも村長の疑いの眼差しはおさまらなかった。


お読みいただきありがとうございます。

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