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What‘sawonderful another world ! ~なんて素敵な異世界なんだ!~  作者: 詩森さよ(さよ吉)
第一章

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第31話 クライン伯爵とのお茶会


 メイドさんの案内で入った部屋にはすっかりお茶会の準備が出来ていた。仕事でよく描いた三段スタンドのようなものはなく、お茶と共にお菓子の皿が出てくるスタイルのようだ。


 席に案内されて座るとすぐにお茶が出た。ウェルカムティーというやつだろうか?

 香りよく柔らかな味わいのお茶は今世で一番おいしいお茶である。

 ホテルのアフタヌーンティーぐらいは行ったことがあるけど、貴族のマナーなんてわからないのでユーダイ様の様子を真似ながら静かに飲んだ。


 1杯目のお茶を飲み終えた頃にクライン伯爵が現れた。立った方がいいのかなと思ったけど、ユーダイ様が動かないのでわたしもそのままだ。当然お菓子を口にいれたりもしない。


「本日はようこそお越しいただきました。最初のお茶はいかがでしたかな?」


「香り高いとてもおいしいお茶でした」


 ユーダイ様が答えて、わたしを見たので私も答えた。


「果物のような香りがして、ほんのり甘みを感じるお茶でした。美味しかったです」


 わたしがそう言うと次のお茶が用意された。追加のお菓子も置いてくれる。嬉しい。だって甘みなんて森で取れる野生の木の実か、3回ぐらいしか食べたことのないはちみつぐらいだもの。



「お気に召していただけで何よりです。では早速ですがエンシェントドラゴンの討伐について話を伺いたい。ああ畏まって話さなくていいですよ」


「わかりました。最初に申し上げるのが、俺はエンシェントドラゴンを討伐しておりません。盗まれた卵を見つけて返すことでこの国から出て行ってもらっただけです。元々ご依頼は『聖女の結界』を脅かす存在を何とかするというものでしたし」


「確かに陛下はそうおっしゃいましたね。でも通常は討伐するでしょう?」


「普通のドラゴンでしたら俺も討伐しました。ですがエンシェントドラゴンは半精霊体です。この国は神と精霊に愛された国ですよね? 聖なる方々に近い存在を話し合いもせずに脅かすことは許されないと思ったのです。少々時間はかかりましたが説得に応じていただけましたし、国土や国民に被害を与えていません」


「なるほど、わが国の精霊たちに慮ったということですね」


「はい、その通りです」


「そちらのレナさんは何をなさっていたのですか?」


 突然聞かれてアワアワしそうになったが、ユーダイ様がサッと答えてくれた。


「レナは冒険者に登録したばかりで、このような荒事をするのは初めてだったのです。エンシェントドラゴンを見ただけで気絶してしまいました」


 ねっ、レナとこちらをユーダイ様が見るので、わたしは頭を下げた。


「お恥ずかしいばかりです」



 それからわたしが彼らと同行しているいきさつを聞かれたので、ユーダイ様が偽勇者討伐の手助けをしたこととジョブ判定を受けたいという話だったので、子守りを兼ねて同行させたと答えた。


「子守りねぇ」


「はい、レナは特異体質ですから」


 はっ? 何を言い出すの?


「不思議なことにレナには威圧が効かないのです」


「威圧ですか? そんなものを彼女に?」


「いえ、ワザとではないんです。息子は俺の血を引いているせいか、そこそこ魔力があります。それで泣いたり、怒ったりすると、魔力が漏れ出して威圧状態になるんです。それで子守りを雇っても長続きしませんでした。ですがレナには効果なかったんです。それで彼女がそういう体質なのだとわかりました」


 後で聞いたんだけどウィルが威圧で子守りを辞めさせたのも本当だし、わたしに対して軽めの威圧もかけたことあるんだって。全く気付いてなかったよ!


「レナさんはご自分がそのような力があるとご存じでしたか?」


「いいえ、わたしは魔力がほとんどなく、今初めて知りました」


「ジョブ判定には出てこなかったのですか?」


「はい、ありませんでした」


 これ以上突っ込まれても答えられないと思っていたらユーダイ様が助け舟を出してくれた。


「スキルというより体質だからでしょう。例えば日焼けしやすい体質の人が、日焼け促進というスキルがあるわけではないですから」


「なるほど、そういうことならありそうですね」


「レナ、もしよかったらジョブ判定で貰った診断書をお見せしたら?」


「いや、冒険者はスキルを秘匿するものでしょう?」


 ここは隠すところではないな。見られても問題ないくらい少ないし。


「いえ、見ていただいても構いません」



 それでわたしがもらった紙を見せたら、クライン伯爵はものすごく驚いていた。


「魔力量23……ですか」


「はい。村では薬師の真似事のようなことをしていたので期待していたのですが、あまりにも魔力がなくて……」


「ですが彼女は絵が描けるので、薬草図鑑を作ってもらおうと思っているんです」


「薬草図鑑ですか? それはなぜ?」


「薬草は有益だけれど、扱いが難しいものが少なくありません。ギルドでも簡易の絵があり、注意を促していますが採取が下手だと使えませんし、事故はあとを絶ちません。彼女は薬草の扱いに長け、しかも絵が上手い。図鑑を作るのに適した人材だと思います」


 その仕事、是非やらせてください! 

 人物を描くのも好きなんだけど、実はボタニカルアートも好きなんだよね。

 好きが高じて人気キャラクターを季節の花と共に描いたシリーズが、そこそこグッズが売れたんだ。それから毒草を擬人化したシミュレーションゲームが出来て、メインイラストレーターに抜擢されたんだよ。水仙とかアジサイとか身近な植物が実は毒があるってわかって、結構驚いたんだよね。


「でも手書きの絵は高額になりますよね? 彼女は転写スキルもないわけですし」


 どうだろう……絵画技法全般に含まれていそうな気がする。


「それについても心配いりません。まずは我々が使うだけですから」


「あなた方が? ですがほとんど魔族でしょう? 人間とは効果が違うのではないですか?」


「ええ、ですが冒険者ギルドに納品するには人間向けでないと困ります。俺はこれから今まで亜人と呼ばれてきた魔族、エルフ、ドワーフたちと人間が共に手を携えられる冒険者クランを作ろうと思っているんです。レナはその人間第2号です」


「1号は?」


「異世界人ですが、俺も人間ですので。それで是非クライン伯爵に俺の考えを聞いていただけたらと思っているんです」

お読みいただきありがとうございます。

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