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What‘sawonderful another world ! ~なんて素敵な異世界なんだ!~  作者: 詩森さよ(さよ吉)
第一章

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第29話 魔法無効化?


 せっかくの貸しだったけど、わたしは折れた。

 自分のスキルを正確に知ることは今後の人生で絶対に役に立つからだ。


 もし絵を描いたら傑作が描けるけど死に至るスキルとかだったら、とりあえず絵以外のやりたいことを全部やってから思いっきり絵を描く。そうするために必要なお金を貯めるのを目標にして生きる。そして悔いが残らないほどの傑作を描き上げて見せるのだ。


 だからわたしが聞かされたチートは拍子抜けというか、期待したものでは全くなかった。


「君のチートは条件付き魔法無効化だ。魔法が直接触れる場合にのみ効果を発する」


 ああそうですか……。絵関係じゃないなら、なんかやる気なくなる。

 でもまぁ魔法無効化なんて、勇者が持っていそうなすごいチートだ。でもユーダイ様が気づいて、私が気づかないってことある?



「最初に会った時のオークの集落の結界、あれあの魔族崩れの魔力より弱い者には入れなかったんだよ。よく考えなよ。レナより先にあの強欲な村長が漁りに行ってないなんておかしいだろ?」


 確かに偽勇者たちは接待に溺れていたから、手の空いている男たちを集めて行けばいいだけだし。つまり漁りに行くこと自体を忘れさせる、あるいは行けないように暗示していたってことか。


「なによりフィーは大したことないって言っていたけど、あの魔族崩れはなかなかの能力者だった。それなのにレナは彼らを信じていなかった。ヤツの暗示スキルを無効化していたわけだ」


 スキルには本人の資質由来と魔力由来のものがあって、暗示スキルは後者だ。だから魔法として認識されたのだという。

 父さんや村長だってかかっていなかったと言ったら、おかしいと思っても大きな抵抗をしていなかったことを指摘された。そういえば父さんがしたことは母さんを迎えに行ったことぐらいだ。村長に文句を言いに行くとか、一時的に帰って来た母さんを閉じ込めるとかしたってよかった。通常ならその程度はしただろう。



「でもレナは初めから偽勇者たちを怪しんで抵抗していたんだろ。その結果がオーク集落漁りだ」


 あの時は必死だったし、案山子の事気づいてくれなかったと思ったけど、別に性接待がイヤだったのはわたしだけではなかった。なのに誰も抵抗せず、お金や女を差し出していた。


「君は通り過ぎるまで結界に気が付かなかったし、気が付いても弾かれることはなかっただろ?

 王都に入るときも結界の存在を感じたけど、別に何ともなかっただろ?」


 ……あるなって感じただけだった。


「『聖女の結界』とは、本当はどういうものだったんですか?」


何人なんぴとたりとも敵の侵入を阻むものなんだ。だから敵かどうか見抜くために、通り抜ける時に中を覗かれるようなそんな不快感がある。それは魔力が少ない普通の人間でも同じだ」


 ええっ! みんなそんな嫌な思いをして通っていたの? 知らなかった……。


「まぁ悪意の有無ぐらいで、細かく探れるほど精度は高くないけどね。大抵はぞわっとするくらいで収まる。逆に抵抗した方がしつこく調べられるのですごくヤな感じだな。あれをイミューンするなんて、ハッキリ言ってすごいスキルだ」


 イミューンとは免疫、影響されないことだ。

 それを聞いてピンときた。



「もしかしてだからわたしをドラゴンの前に連れて行ったんですか? 結界を破るために」


「うん、君が先頭に立って聖女の結界を抜けてくれたおかげで、俺たちはレナのスキルで結界を抜けられた」


「みんなにわたしに掴まれと言ったのもそのせい……」


「すでにウィルが君に触れているだけで、そのスキルの恩恵が得られることを確認していたからな」


 なんとあの謁見の間で、面を上げた瞬間全員鑑定されていたらしい。わたしが1度目で顔を上げようとしてその後ずっとウィルが押さえてくれたんだけど、それのおかげで彼は鑑定を逃れたのだそうだ。


「でも綻びかけているところを破るって言ってたじゃない!」


「どうしようもなければそうするつもりだったよ。でも君が赤ちゃんドラゴンをウィルに押し付けて緊急事態になったんだし、いいかなって思ってさ。

 気が付いていると思うけど、俺はウィルを目立たせたくない。俺たちを鑑定していたヤツは王の近習と言って、この国の元王家で『真実の目』という神のごとき鑑定眼を持っている。ほらずっと偉そうに王の横に立ってたやつがいただろ?」


 あの宰相っぽい人ね。ずっとこっちを睨んでいた。


「君が無意識に鑑定を弾いていたからな。国籍問題もそれが原因だと思う。おかげでウィルは自分の能力を隠蔽偽装する余裕が出来たそうだ。だからお礼にしびれた足を治してただろ。まぁそれもレナの能力を図るためでもあったけど」


 ウィルはどれだけわたしに魔法が効かないか見極めていたんだ。だから予告なしで治癒魔法を掛けた。わたしはしびれが取れてお礼を言ったから効果があったことは明白だ。


「じゃあ、あの洗浄魔法も……」


 ユーダイ様はそれを知らなかったのか、ウィルの方に顔を向けた。


「そうだよ。レナもしわしわの服で困っていたし、俺の魔法が君に知られた状態でちゃんとかかるか知りたかった。でも危害を加えるつもりは全然なかったよ。それは信じてくれる?」


 魔法を掛けられても嫌な気持ちにはならなかったからそうなんだろう。あの時悪意がどうのと言っていたのはそういうことだったのか。



「これは推測だけど、悪意のあるものを無意識状態で弾くと見ている。しびれを治した時治癒魔法は掛けられると思っていなかったんだろ?」


「ええ、前世でしびれた足をやたら触りたがる息子がいたもので」


 そっか、わたしはウィルに息子を見ていたんだ。容姿は全然違うけどちょっと小生意気そうな感じが似ている。だからお行儀よく『僕』なんて言っているのが妙にかわいく感じたのだ。


「まだ試してないけど、もしかしたら攻撃魔法も弾くかもしれない」


 黙って試して怪我したら困るから、せめて真実を知るまでは止めてくれたんだって。 ずっと止めていてください!



「それはすごいスキルですね」


 冒険者になったら無敵じゃない?

 倒せないにしても、向こうからの攻撃は受けないんだから。危険な魔獣がいるところの薬草採取なんて、良い収入になると思う。


「いや物理攻撃は受けるから、危ない真似はダメだよ。俺に首根っこ引っ掴まれたのを忘れたわけじゃないだろ?」


「……はい」


「それより俺が心配しているのが、そのスキルを知った仲間に利用されるんじゃないかってことだ。俺がやったみたいにね」


 ユーダイ様曰く、最初は重宝され感謝されるけど、人は段々慣れてくるからだんだん雑に扱われるようになるだろうだって。わたしに他の戦闘能力やサポート力がないからだ。それで仲間からずっと囮役をやらされて、搾取される心配があると言われた。


「それでも大きなケガがなければいいけど、いつかはスキルを越える能力の敵に巡り合う。でも君は多分死なない。死の危険に直面することで目覚めるスキルがあるだろうから。そしてこのスキルが『悪魔の罠』だ」


 生き残るためのスキルが『悪魔の罠』?


「例えば絶体絶命になったら、殲滅魔法が発動して周辺一帯が焦土になるみたいなさ。共に戦ってきた仲間や君が助けたいと思った友達や依頼人も殺してしまうかもしれない。

 でもこれは推測にすぎないからね。全然そんなことのない能力かもしれない。ただ俺はこの10年何度か悪魔に操られるヤツを見ていて、犠牲者の心をバッキバキにへし折るようなそんな罠を仕掛けてあるんだ」


 うーん、ラノベではそう言う展開で闇堕ちしてって展開ありそうな気もするけど……。


「それを信じろと?」


「起こっていないことを信じろと言うのは難しいと思うけど、起きたら最後だからね」

お読みいただきありがとうございます。

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