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What‘sawonderful another world ! ~なんて素敵な異世界なんだ!~  作者: 詩森さよ(さよ吉)
第一章

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第20話 待ち時間のお喋り1


 メイドさんが出してくれたお茶とお菓子を食べつつ待つこと数時間、すっかり夕暮れになってしまっていた。さすがの長い待ち時間に少しはお喋りするようになっていた。


「なかなか決まらないみたいですね」


「そりゃあユウだけならともかく、僕たち魔族を受け入れるのに抵抗があるんじゃない?」


 わたしの質問にフィレスさんが答えてくれる。


「そうは言っても結構暴れてるぜ? 俺ら以外に対処できねーだろ」


 ? 何が暴れているの?


「ジャッコの言う通りだ。彼らは俺たちの要求を呑むしかない」


「それならもっと吹っ掛けたらよかったじゃん。相手に要求を呑ませるには最初に盛った要求をして無理だと断らせて、相手の受け入れやすい要求に変えるといいってユウが教えてくれたじゃん」


 ああ、『ドア・イン・ザ・フェイス』ね。交渉術の1種だ。


「ダメだ。俺たちが交渉すれば要求を下げると学習される」


 ユーダイ様は静かにお茶を一口飲んだ。


「俺たちの要求は必ず呑んでもらう。他のもので代用も不可だ。要求を呑まなければサクリードに行く」


 ジャッコさんが上を見ながら、小さくため息をついた。


「また体当たりしてんぞ。王都は『聖女の結界』で守られるにせよ、周辺の村は全滅だな」


「えっ? それじゃあ、昨日泊まった村も?」


「もちろん、ドラゴンブレスで1発さ。まだ我慢してるけどな」


 ええっ! ドラゴン? やっぱりいるんだ! ファンタジーだ‼


「そんなに近くにいるんですか?」


「ちょうど王都の真上を旋回しているよ。時々結界にぶつかって破ろうとしている。猛烈に怒っているな。『返せ』って怒鳴ってる」


 そんなこと冷静に言われても……。つまり王が要求をのまなければ、大量に死者が出るってことだ。場合によっては土地も使えなくなるかもしれない。



「ジャッコさん、ドラゴンの言葉がわかるんですね」


「君以外の全員わかっているよ。俺は言語能力や意思疎通のスキルがあるし、みんなは長生きだからドラゴンと何度も話したことあるし」


 ユーダイ様の勇者チートってやつですね。いや使ってないって言ってたな。


「でも勇者チートを使ってないんですよね?」


「そうだよ、俺の転移で貰ったチートは内緒だけどね」


「では言語能力と意思疎通のスキルはどこから生えたんですか?」


「元々持っていたけど?」


「いや元々って向こうと言語、全然違うじゃないですか! わたしちょっと混乱しましたよ。3歳で記憶を取り戻したので、まだ誤魔化せましたけど」


「ああ……そうだね。ねぇ、ウチのジジイがやっていた『カーライル社』ってなんであんなに急激に大きくなったと思う?」


 うん? はぐらかした?


「驚くことですか? 昔パソコンやスマホが出てきたときに、それまで聞いたこともなかった会社が躍進し始め、インターネット事業の会社が世界経済を席巻したじゃないですか」


「でも生体コンピュータは成熟したIT産業においてデバイスの1つでしかない。なのになぜみんなが熱狂したかのように使い始めたと思う?」


 いやだからそれもスマホの時と同じでしょ?


「すごく便利だからじゃないですか?」


「うん、確かに便利だ。でも注射するだけとはいえ、自分の遺伝子を弄るんだぜ。もう少し警戒されてもおかしくなかったんじゃないかな?」


 そう生体コンピュータはワクチンのように、注射して体内に送り込むことで遺伝子に定着させるのだ。いろんな新しいワクチンが出るたびに反対運動が起こるのを考えれば、スムーズに受け入れられたかもしれない。


「……よくわかりません」


「それはね、あのクソジジイが魔法を使ったんだ。世界中のみんなの警戒心を少し緩めたんだよ」


「そういうステマをしたってことですか?」


「ううん、あのジジイはね、本当に魔法を使えたんだ。30歳まで童貞だったからじゃなくね」


「はぁ? そんなバカな!」


「そんなにおかしなことを言っているかな。俺たちはこうして異世界転移・転生してるじゃないか。ジジイはね、異世界転移の被害者だったんだよ。たまたま友達に誘われて日本に来ているときに集団転移に巻き込まれて、1人だけ残されたんだ。魔法チートを与えられてね」


 確かにクラス転移などで1人だけ残されるラノベはいくつもあるけど……。


「そんな大事件知りません……」


 集団転移のような複数人の行方不明事件なんてあったら、オカルト業界や動画配信界隈で話題になっているはずだ。しかも生き残りが超有名人ならなおさらだ。


「まぁ転移って言ったけど、正確には魂だけ連れていかれたんだよね。でも転生したわけじゃなく、そのままゲームの駒にされただけだったんだそうだよ。これは後でわかったんだけどね」


 つまり一緒にいたヒトたちはみんな亡くなってしまったけど、ユーダイ様の義祖父であるアンドリュー=カーライルだけが生き残ったってことか。


「つまりアンドリューさんは洗脳か何かのスキルを貰ったってことですか?」


「そうだ。洗脳じゃなくて、ジジイは『ガチャ』を貰ったんだ。それを60年以上毎日引き続けていたんだよ。ガラクタもあったそうだけど、そのうち10連ガチャチケットとか、星5以上確定チケットとかも出てね。ありとあらゆる魔法能力やスキルを手に入れたんだ。俺の力はそこから来ている」


お読みいただきありがとうございます。

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