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What‘sawonderful another world ! ~なんて素敵な異世界なんだ!~  作者: 詩森さよ(さよ吉)
第一章

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第18話 見覚えのある風景


 悪魔と転生の話の後、わたしたちはウィル君たちが待つ高級宿屋に行った。それは貴族仕様のすごくゴージャスな宿で、村人Aに過ぎない私では一生泊まるどころか中に入ることもないようなところだ。ただわたしの部屋はお付きの人が泊まる小部屋だったけど。元の人数に入ってなかったし、やってもいない子守りの分際で贅沢は言えない。


 そうして約束通り、ユーダイ様はウィル君たちを連れて冒険者ギルドに行った。もちろんわたしも一緒にだ。入って窓口に声を掛けようとしたら、強面の大男が声を掛けてきた。


「アンタが勇者ユーダイか?」


「ああ、そうだ」


「王宮から着いたらすぐに来るようにのお達しがあった。行ってくれ」


「わかった。でも息子と子守りは置いて行きたいから、預かってくれるか?」


「いや、全員来るようにと言われている。馬車も用意されているから」


 ユーダイ様はチッと舌打ちした。


「レナ、悪い。ついてきてくれ」


「はい……」


 だからわたしは村人Aなんだってば! そう叫びたくてもついて行くしかなかった。



 乗せられた馬車は金ぴかではなかったものの、上質で貴族仕様だった。椅子のクッションがきいていて、ラノベあるあるのお尻が痛くなりそうにもない。特に目隠しもなく風景を楽しむことも出来た。するととても不思議な気持ちになった。

 この街の様子、なんだか見覚えのあるような……?


 それが確信に変わったのは王城が目の前に飛びこんできたときだ。

 わたし、この城知っている! いや描いたことがある‼

 いっぱい描きすぎて作品名が出てこないけど絶対描いたよ!

 しかも隣の教会も! 教皇や司教たちが住まう大聖堂だ。


 ちょっと待って、どういうこと?

 わたしは何かのラノベか、ゲームの世界に入ったってこと?

 何度見ても間違いない。ここの景色はわたしが描いたものだ。どうしてこんなことに?



 先程のユーダイ様の話ががぜん真実味を帯びてきた。

 彼に確かめたくても、いろんなヒトが居すぎる。しかも王宮に行くからか、みんな黙りこくっていて話しかける雰囲気でもない。


 村にいればこんなことにならなかったと痛感したが、やはりわたしに母さんがしたような性接待なんて無理だった。記憶がなければ我慢できたことが、あるから出来なかったのだ。それに今回の事件が起こらなくても、わたしはいつかあの村を捨てて都会へ出ていただろう。この国以外の景色も描いているかもしれない。それを見て愕然とするのだ、


 でもいくら考えてもどのラノベあるいはゲームなのか見当もつかない。プロになって25年程度、有難いことに100冊以上の仕事をさせてもらっていた。まさかこんなところで落とし穴があったなんて。たぶん中華系ではないと思うけど、その中に西洋的な所に行く話もあった。絶対に違うとは言えない。現代ものや近未来系は違うだろうが、10も満たない。


 わたしの絵は中世風から近代にかけての貴族の風俗を描くのが多かった。悪役令嬢とか乙女ゲームとか。RPGもよく描いた。だけど似たような仕事が多くなった時期があって、どれかわかんない。

 レビューでまたヤナギかよって言われていたけど、わたしの固定ファンも多かったので気にしたことはなかった。風景も人物も動物も戦闘シーンも描くのが得意なイラストレーターとして重宝されていたのだ。下手なのはメカものだったが1つしかやっていない。


 仲間がずっと続けてくれていたおかげで薄い本も時々作っていた。仕事が忙しくて毎年は無理だったけどイラスト1枚とか、1Pマンガとかを描いていた。仕事と離れて自分の好きなキャラを描けるってストレス解消なのだ。わたしは根っからの絵師なんだと思う。

 でもこの景色はプロの仕事の時に描いたと思う。


 うーん、いくら悩んでも無理。せめてキャラさえでてくれれば、ストーリーを思い出す可能性が高い。もうすぐ王様が来るならわかるかも。

 でもユーダイ様がモブなわけないよね。魔族たちも。でも名前のない勇者っていたっけ?

 いや名前だけ変えていたのかも。うん、やっぱり思い出せない。



 馬車は王城へ着き、さっそく謁見の間に連れていかれた。見れば見るほど描いた記憶がある。でもそれだけではラノベかゲームかわからない。


 まだ王様は来ていない。ユーダイ様が1人前に出て、その後ろをビアンカさん、フィレスさん、エディさん、ジャッコさんが並び、わたしとウィルくんがその後ろに立たされる。全員片膝をつき、頭を下げているのでわたしもそうする。こんなところに出る予定なんかなかったから、マナーなんて全然わからない。


 結構待たされて足が痛い。他の方々は平気そうだ。ウィル君ですらそうなのに、わたしだけ足を崩すわけにいかない。キョロキョロ見回したくても何が無礼になるのかもわからないし、たぶんそれはNGだ。せめて膝をつく足だけ変えたい。

 そう思っていたらとうとう王様が現れた。


「皆の者、面をあげよ」


 そう言われたので上げようとしたら、ウィル君に服を引っ張られた。ああそう言えば2回言われないとダメってのもあった気がする。慌てて下を向く。

 そうしてもう1度声がかかり、やっと顔をあげられた。


 王様、全く知らない人でした。

お読みいただきありがとうございます。

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