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What‘sawonderful another world ! ~なんて素敵な異世界なんだ!~  作者: 詩森さよ(さよ吉)
第2章

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第108話 神力


 夕食後、別室でお茶をいただきながら魔石を見せることになった。もちろん魔石だけでなくアグネス皇女が残したティアラやネックレスなどもだ。俺は部屋に取りに行く振りをして、ストレージから出した。どれも俺の『聖焔』のおかげでピカピカである。


「お待たせしました、エーリアス皇太子殿下、リュート王弟殿下、アリーシア王弟第一夫人、エスメラルダ王弟第二夫人。よろしければ人払いをお願いします」


「魔石を見せるのに、大げさではないか?」


「そちらが信頼できる護衛でしたら残していただいても構いませんが、ヒトに知られない方がいいのは、たぶんそちら様でございます」


 俺の一言で何かを察したのかリュートが応じたので、エーリアスも、夫人たちも人払いしてくれた。

 それを見て目の前にテーブルにアグネス皇女の装身具を並べる。古い型のものだが大粒の宝石を使った美しいものだ。一応しげしげと見ているが彼らの本命は魔石だ。


「それではごらんに入れましょう。こちらが隣国の王子の元に嫁いだのに、苦しみの中でグーラーになるしかなかったアグネス皇女の魔石です」


 俺は手のひらの上でやわらかい鹿革に包んだ魔石を出した。鶏の卵サイズのそれを見たサクリード側はみんな息を飲んだ。アリーシア夫人が聞こえるか聞こえないか程度の小声をこぼす。思わず言ったみたいだ。


「神の石……」


「神の石ですか?」


「いや失礼。こちらのことだ。

 つまり君はそのグーラーが我が国から輿入れしたアグネス皇女だと言い張るのだね」


 リュートが自分の妻のフォローに回った。実は俺の『真実の目』でも同じ鑑定結果だった。だが神の石とはなんぞや? ゲオルグを見ると知らないようだ。異世界人である俺は常識も非常識もわかっていないところがあるからな。つまりこれはサクリードの皇族だけの知識かもしれない。


「はい、こちらの装身具の素晴らしさから考えても、皇女殿下だったのは間違いないでしょう」


「手にとっても?」


「魔石以外でしたらどうぞ」


 彼らに装身具を差し示すと、印章つき指輪や他のアクセサリーの裏の刻印がサクリードの皇族しか持てないものだと認めた。


「こちらはもしかしたら隣国への持参金なのかもしれません。ですがアグネス皇女は死ねない呪いをかけられ、生き延びるために小動物や虫を喰らい、そしてとうとう人間まで食べてしまったのです。それは彼女の記憶を見せてもらったので間違いありません。そのような悍《おぞ》ましいマネをする王子がいた国に渡す必要はないと考えました」


 俺の言葉にエリザとゲオルグも賛同する。


「わたくしも見ました」


「私も見ました。許しがたい所業です」


「俺のスキルで記憶の再現も可能です。ご覧になりますか? かなり辛い記憶です」


「……この場では止めておこう。私の妻たちには見せたくない」


「かしこまりました。もしよろしければアグネス皇女はどんなお方だったのかお聞きしても?」


「なぜそんなことを?」


「結婚したとはいえ、彼女が閉じ込められて連絡も取れないことに何の不審も感じなかったことが疑問なのです。これは隣国の裏切り行為です。それを見過ごす何があったのかが知りたいのです。これはエリザベート殿下の輿入れにも関わる話です。こちらでは姫が他家に嫁入りすると何の連絡も取り合わないのですか?」


「そのようなことはない」


「ではどのような状況なら、あのように捨ておかれるのでしょうか?」


「……たいしたことはない。彼女は100年ほど前に生まれて20歳ごろに隣国へ嫁いだ。皇女の地位を与えられていたが愛妾の子であり、婚姻時はすでに母親を失くして当時の皇帝陛下も持てあましていた。神聖力も使えず、皇族としては下に見られていたのだ。我々は血族の姫は国内の貴族に降嫁させている。外国へ嫁がせるものは神聖力のないものだけだ」


 だから捨て駒の外交カードに使われたってことか。それにしても100年前の親族の名前が言えるなんてさすが皇族。でもこれはカーライル伯爵家でもそうだったんだよな。俺は伯爵家と関係ないのに覚えさせられて辟易したものだ。


「なるほど神聖力と神力とはどう違うのですか?」


「なっ!」


 皆まで言わせる前に、畳みかける。


「今後の護衛のためにも俺たちの聞いていない会話内容をエリザベート殿下にお伺いしました。エーリアス皇太子殿下」


「わたくしも伺いたいですわ。どう違いますの?」


 エリザベートが無邪気な振りして聞く。どうやらエーリアスの事は気にいらなかったみたいだ。まぁカイルみたいな真っすぐなタイプが好きなら、気障で腹に一物ありそうな男はお好みじゃないのだろう。


「神力は神、あるいは神族の力、神聖力は聖属性魔法のことだ。2つはかなり似ているが違う」


「ただそこにあるだけ、ですか?」


 忌々しそうにリュートはエーリアスをちらりと見て答えてくれた。


「そうだ、神とは遍く存在するものだからな」


 確かに魔素はどこにでもあるけど、全くない所もあるらしい。少ないだけでも魔法が使えないのだからどこでも使えるのは大きな違いだ。


「できれば神力を見せていただけませんか?」


「それはできない」


「どうしてですか? エリザベート殿下は不断の努力で聖属性魔法を身に付けられたお方です。強くイメージすれば神力を持つ御子を育めるかもしれません」


「先ほども言った。神または神族しか使えない。我々は神族であったが血が薄まりすぎた。バルティスほど穢れてはいないが、ほぼ人間になってしまったのだ。だから誰も使えない」


 さっきの茶会でエーリアスは自分の力を神力と言ったけれど、ウソあるいは誇張して言ったんだな。


「なるほど、よくわかりました。エリザベート殿下、ご心配なさらなくても聖属性魔法である神聖力ならば得ることは出来るでしょう」


 エリザがそうねと返したので、神力についてはこれ以上聞けなかった。

お読みいただきありがとうございます。

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